#24・ミッドナイトライダー
私立神知学園。
他の施設とは比較できないほどの条件の良さがあることで有名だ。
学生寮付近にあるデパートには種類豊富な品が並んでいる。
しかし、それでもコンビニは欠かせない。
たとえ、種類豊富な品が並ぶデパートより品数が劣るとしても、コンビニにはコンビニ限定の品が並ぶのだ。
そういうわけで、学園に通学する者達(特に女子生徒)には、毎日のように使われている
深夜。さすがに女子生徒はいない。客足も疎らな感じだ。
この時間ともなると、来店する客は言わゆる『不良』と呼ばれる者達だけとなる。
理由については深く語る必要はなかろう。
成績優秀な生徒が大勢通う、神知学園の生徒が、この時間帯に勉強しないわけがない。
勉強しないのはごく一部の生徒、たとえば夜な夜なコンビニの前で屯する者とか。
店外を照らす中の白い灯かり、駐車スペースの枠を表す白線が、くっきりと浮かべている。
頭だけが光った、坊主のように頭が丸いゴミ箱が四つ、横に並ぶ。
制服姿の不良達が5名、カップ麺や中華まんを食べたり、酒や煙草でいたずらに時間を潰したりしていた。
駐車スペースの二つの枠を占領して、バイクを置いている。
中で働く女性の店員は、嫌そうに彼らを見ながら、雑誌コーナーの掃除をしていた。
レジには男性の店員が一人、“ある男“を接客している。
左右に分けられた髪は波のように不規則な流れをつくっており、肩に紙一重で触れるくらいまで伸びている。色はメタリックレッドだ。
服装は、上は黒いライダースジャケットに下はジーンズを着こなしていた。
黒いサングラスを掛けているせいか、何とも不気味な雰囲気が漂っている。
購入しているものは、アルコール度数の高い酒と身体への負担が大きいと言われている赤い箱の煙草、どれも未成年者には禁じられている品だが、店員は見過ごしていた。
単純に、恐れを感じたからだ。
客に対し恐れを感じるのは失礼な話だが、店員も一人の人間、客も一人の人間、それは絶対に変わらないことだ。
感じてしまったものは、しょうがない。
店員はぎこちない感じで言う。
「ありがとうございましたー」
深く溜め息をつく店員、まるで上司達の飲み会から解放されたような気分だ。
きっと、外にいる不良達の仲間なんだろうと、店員は思う。
赤髪の客は店を出て、不良達の横を通り過ぎていった。が、運悪く、置いてあったバイクにぶつかってしまった。
運悪く。
今は怪我をしていない。だが、今から怪我をするかもしれない。
不良達が。
不良達は総出で、その客に眼を飛ばす。
それっぽい雰囲気を出した低い声で威嚇する。
「おい、ぶつかって何も言わねぇのかよ」
赤髪の客は振り向くどころか、足も止めもしない。
その態度に、一人の不良がキレた。
堂々した態度で前進し、客の肩を強く握り締める。
離れない。離せない。
諦めたのか、客は歩む足を止めた。
客を止めた不良が言う。
「ちょっとこっち来て話そうよ、君」
はぁ……、とわざとらしく溜め息をした。
その赤髪の客が。
「まぁいいんじゃね? これも社会勉強の一つになるし?」
不良の一人は赤髪の客の脹ら脛に足を掛け、体勢を崩す。
そして、腹部目掛けて膝蹴りを与える。
刹那、赤髪の客は振り向く、赤き眼光が夜の闇に残像を生む。
膝が、止められている。
触れた瞬間、痛く生々しい、皿が割れたような音がした。
赤髪の客は、いやらしく牙を浮かべながら、不気味に笑う。
生暖かい吐息が、タールの染みた歯の隙間から、溢れる。
「教えてやるよ。上下関係をよ」
今宵も物静かな夜だ。
寒空に瞬く星は光を失わず、世界に癒しを与えてくれる。
けど、何故だろう、光が赤い。
そう、まるで鮮血でも帯びたみたいに真っ赤なのだ。
真っ赤なのだ、鮮血を帯びたみたいに。
ずっしりと重い物が倒れたような音が、一斉に聞こえた。
鮮血が飛ぶ。
鮮やかな血は、世界を赤く染める。
ああ、これのせいか。
そうか、コイツのせいだったんだな。
大十字鉄のせいだったんだ。
地獄の世に重鎮する、
史上最凶と恐れられる存在、
悪魔はそれを――
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