再会は危険の香り−4−
考え事はとりあえず脇に置いて、ひたすら体を動かしたことで、ようやく頭が普通に戻ってきた。
あー疲れた。
夕闇迫る土手の帰り道。河原に沿って歩くと吹く風が気持ちいい。
ただ、歩いていると今日の出来事は何だったのかとまた考え始めていた。
冷静に考えて、まず、あれは昨日の夢だ。そうに違いない。
すっごく恥ずかしくて、思い出すとドキドキしちまうが、夢なんだからそういうこともあるだろう。
俺がそんな夢を見たり、深宮さんが俺のことを知っていそうだったりするのは、たぶん、きっと何処かで会ったことがあるんだ。
俺の中に何となくもやもやした、それでいて懐かしいような気持ちがあるのは、きっと、ずっと昔に会ったことがあるからなんだ。それがいつなのか全然思い出せないが……。
そんなことを考えながらぼんやり歩いていると、何かが土手を駆け下りてくるのが見えた。
いや、違うか?
夕闇迫る景色のそこだけが歪んで見える。そこに透明なレンズがあって光を曲げているような感じ。それが、形を変えながら移動して、急速にこちらに向かってくる。
まるで大型の鳥のように翼を広げ突っ込んできた。
すごい衝撃。
何にぶつかられたかも分からないまま、足が浮き、体が吹っ飛んだ。
痛ってー。
地面にぶつかって頭がくらくらする。
何だーと思って顔を上げた眼のはしに、再び移動する影が映った。
今度もさっきと同じように鳥のような形。それがまっすぐ俺の方にくる。
やばいと思って立ち上がろうとするが体中がずきずきする。
間に合わない。とっさに持っていた鞄を前に出してかばう。
衝撃。鞄と共に体が吹っ飛び、地面の上を転がった。
体中に痛みが増す。カッと胸が熱くなった。
くっそー、何だってんだ。どうしてこんな目に遭わなきゃなんないんだ。
肘をたてて体を起こしたとき、さらに3番目の影がやってくるところだった。
もう目の前に来ている。動けない。
右手が痛い。いや熱いのか?
そう思ったとき、影の動きが止まったように見えた。
同時に、土手を誰かが駆け下りてくる。俺の目の前、影との間に飛び込んできた。
「あぶない!」
俺が叫んだとたん、猛烈な風が俺の左右を駆け抜けていった。
目の前で、制服のスカートが舞い上がる。
両腕を水平に上げた背中越しに、前を向いている顔の両側で髪が舞っている。その髪を右手でまとめながら、振り返った顔。
そのとたん、俺の心臓がドキンと鳴った。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。