*9 「口移しやて!」
ホンマに真っ暗やった。
いつの間に雨はやんでいた。
真っ黒な雲も無くなって
月が顔を出した。
けど、家は真っ暗や。
ブレーカーでも壊れたんやろか・・・。
「なぁ・・・平次。」
やっと和葉が喋った。
「なんや・・?」
「ここにいて欲しいんや・・・・。」
「分かったから・・・。」
息苦しい。
心臓がバクバクいっとる。
和葉が近くにいるからか・・・・?
子分やなかったらなんや?
兄弟か・・・・・?
いや、兄弟やったらドキドキせーへんやろ。
アカン・・・・。
俺・・・和葉のこと?
違う・・・・。
きっと・・・・。
きっと・・・・。
「・・・くれはさんは平次のこともっと知りたいって言ってる。」
「えっ?」
「けど、知って欲しくない。」
「・・・・。」
「くれはさんと平次が仲良くするのはいやや。」
「和葉・・・。」
そや・・・。
俺やって・・・。
「あんな・・・和葉。」
ピンポーン!
なんや・・・タイミング悪い訪問者やなぁ。
「はいはい、和葉ちょっと待っててや。」
俺は部屋を出た。
廊下も真っ暗でほとんど何も見えなかった。
「はい?」
「服部か?」
俺は戸を開けた。
「工藤!ねーちゃん!」
「よぉ、真っ暗だったから寝てるかと思ったぜ。」
「どうして真っ暗なの?」
「分からへん、さっきの雷が原因やと思うんやけどなぁ。」
「そーいえば雷鳴ってたなぁ。」
「和葉ちゃんは?」
「俺の部屋にいるで・・・・。」
アカン・・・。
またフラフラしてきた。
目が・・・霞む。
バタンッ!!
「服部!?」
「服部君!!」
ガチャ・・・。
服部の部屋から誰かが出てきた。
「・・・あれ?工藤君と蘭ちゃん・・・!!平次!!」
平次は倒れてしまった。
熱があるのに寝てなかったからだろう。
新一は平次をベットまで運んだ。
蘭は静香に氷枕を貰ってきた。
和葉は必死に看病した。
ピピピピピピピピピピピ
「えっと・・・八度七分!?」
「アカン・・・熱が上がってしもうた。」
なんでやろ・・・。
さっきまで元気やったのに・・・。
「新一!薬買ってきたよ!」
蘭は近くのコンビにまで風邪薬を買いに行ってたのだ。
和葉は急いで平次に飲ませようとした。
しかし・・・平次は口を開けなかった。
「服部、口開けろ!」
蘭は和葉に小さな声で言った。
『口移しで飲ませたら?』
和葉は真っ赤な顔して
平次を見つめた。
平次に口移しやなんて・・・・。
けど、平次・・・苦しそう。
どないしよう。
「しゃーねーなぁ・・口移しして飲ませるか。」
「!」
アカン・・・それじゃあ。
平次のファーストキスが工藤君になってしまうやないか!
いやや、そんなのいやや!
「待って・・・工藤君。」
「あん?」
「私が・・・やる。」
和葉はコップの水に薬を溶かした。
そして口に含む
「平次・・・ごめんなぁ。」
和葉の唇は平次の唇と重なる。
ゴクン・・・・。
平次は薬を飲んだ。
「よかった・・・。」
バタンッ
「和葉ちゃん!」
和葉ちゃんまで倒れてしまった。
おそらく服部の風邪が移ったんだろう。
「お疲れ・・・和葉ちゃん。」
俺は静香さんに頼んで和葉ちゃんを布団に寝かせた。
和葉ちゃんはぐっすり寝てた。
それにしても・・・服部。
お前はいいよなぁ。
ファーストキスが和葉ちゃんで。
パッ
いきなり明るくなった。
電気が点いたのだ。
「静香さん・・・・。」
「あら、新一君に蘭ちゃん。」
「そして・・・あなた。」
「上野くれはです。」
「大事な話があります。」
空には星が出ていた。
きれいな星達は俺等を見守ってくれていた気がした。
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