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大阪・LOVEテンション
作:桜草



FILE.6想いのtruth


和葉たちが東都タワーにいた頃・・平次は東の高校生探偵・工藤新一の家にいた。




話がある・・と誘って、工藤家へ行ったのだ。
相変わらず豪華な家やなぁとつぶやいてみる。

大きな本棚で埋まった部屋についた時、工藤はいきなりこう言った。


「大丈夫だ!蘭は誰かと出かけてるし、当然父さんや母さんもいねーから」

「は?別に俺はだっ誰がいたってかまわないんやけど・・。」


振り向いた工藤は、俺の友人ではなく、探偵の顔をしていった。
フッと微笑みすぐに笑顔を消す。


「バーロ・・本当は誰もいなくて安心したくせに・・。おめー和葉とでも喧嘩したんじゃねーか?」


確信をつかれて焦る。


「なっなんでわかったんや?・・確かにホンマの事やけど・・。」

「おめーのいつにも無いしょぼくれた顔で分かったんだよ・・こういう顔をするのは好きな人に振られたか、喧嘩したかのどちらかだからな・・。」


はぁっ?また好きな人好きな人って・・・。

なっ何のことだかさっぱりねん・・。


「あっあんなぁ!俺は別に和葉のことなんか・・。」
「原因はそれだろ?」


多少丸い目を切れ長にして、工藤は言った、
何もかも・・見透かしているような・・そんな眼だった。


まったくこいつには・・かなわへんなぁ


「おめーが自分の気持ちをはっきりさせないから・・和葉あいつが耐えられなくなって・・
聞いてきたんじゃねーのか?『好きな奴いるか』って・・」

「おっおい・・なんでそこまで知ってるんや?」

「俺も経験あるから・・怒らせちまったこと・・」



びっくりした。当たっている。確かにその通りだった。

和葉、好きな人がおるから好みの参考にしたいって・・言うてたしなぁ・・
気になって当然や・・。


「確かになぁ・・和葉あいつ、好きな人いるって言うてたし・・。
多分、俺みたいな奴で好みが聞きたかったってわけやな・・。」

思ったことを言ってみる。


「・・服部・・。おめー・・本当にそう思ってるのか?だとしたら相当鈍いな・・。」


鈍い・・?俺が?なんでや?
疑問符が頭の中にたくさん浮かんでくる。


「和葉、ずっと好きな奴いたんじゃねーか?いっつも傍にいる奴・・。」


傍にいた・・誰の事や・・。


「・・ま、まずはおめーの事が先だな・・。何で和葉が怒ったのか・・それを言ってくれねーと・・。」


工藤は、ホームズを指の先でピアノを弾くようにページをめくっている。


「そっそれはやな・・。さっき工藤が言ったように、和葉がなんか俺に聞いてきたんや・・
『好きなやつはいないんか』ってなぁ」

「・・それでおめーはなんて答えたんだよ?」

「『おるわけが無いやろ』って正直にいったんや!そしたらあの女いきなり怒り出して・・。」


ふと指を止めてから工藤は言った。


「おめー・・なんか隠してただろ・・。顔に出たんだな・・。」

「?」


顔に出る・・?
ああ・・・喜怒哀楽・・表情の変化・・か



「『もしかして和葉のこと好きになってしもたんでんがな』とか思ってたとか?」

「アホッ!!それは関西弁とちゃうぞ!」


突っ込みを入れながら焦る。
そうだ・・あの時・・何かを考えていた・・

そう、和葉のこと・・
幼なじみとしてではなく・・気になる女として・・考えていた・・。
腕を組んで、考えてみる。



「すぐにばれちまうんだよ・・顔に少しでもあらわれたならば・・探偵は即座に真実を見つけ出す・・ってな!」


なるほど・・探偵は和葉のこと・・やな?
真実とは・・自分の心の中に潜んでいる・・何かは分からない感情・・。

それはまだ何かは分からない・・。
時には顔であらわしたり・・予測もつかない行動をさせたりする・・。


恐いもんやな・・・

工藤、お前の気持ち・・ちょっと分かった気ぃもすんぞ。


「なっなんだよ服部・・。」

「いや・・あの姉ちゃんと同じこと言っとたなぁと思うてな。」


工藤は目を丸くして聞き返した。


「姉ちゃん・・って?」

「あん?しっとるはずやろ?あのちっこい姉ちゃ・・あぁ今はちっこくなかったなぁ・・。
えーっと・・あ!せやせや宮野っちゅう黒の組織の・・」


言い終わる前に工藤は本をばさりと落として、こう言った。


「しっ志保がいたのかっ?!」

「ん?まぁな。なんや宮野の姉ちゃんお前に行き先教えてなかったんか・・。」


吃驚した。なぜ工藤こいつに言ってなかった?
汗がにじみ出てくるのがわかる。


「ああ・・1年前から消息不明で・・まさかとは思ったけどあいつ、組織の責任をとって・・」

「みっ宮野の姉ちゃん明るくなっとたぞ!最初誰かわからんくらいやったし・・。」


自殺━・・。その言葉をさえぎる。
もしかしたら当時の彼女も、選択肢の中にそれを入れていたかもしれない。
しかし彼女は負けなかった。逃げはしたけれど、勝利を手にした。


「大阪にいるのか・・あいつに悪い事させちゃったな・・。」
「今度あわせたるか?俺、携帯番号教えてもらったんや。かけてみぃ。」
「サンキュ」



工藤に電話番号を渡してから、さっきの思いがまたよぎる。


もし・・追い詰められたあの状況の中で・・俺が宮野あいつだとしたら・・

俺はホンマに勝てるんか・・・?

結論は簡単に出た。

無理やな・・。


自分の弱さを初めて知った。
大切な人が・・もし自分以外の者にとられてしまったならば・・心の揺れには勝つことが出来ない。

事実だ・・。
そう・・その大切な人とは・・

「服部。」

「あん?」

工藤は口端だけを上げて微笑み、こう言った。

「When you have eliminated the impossible, whatever remains,however improbable,must be the truth.」

《不可能なものを・・除外していき・・残ったものが・・たとえいかにありそうに無くても・・それが真相・・やな・・?》


そうだ、というように平成のホームズはうなずき眉を上げた。

そうや・・

和葉あいつにただの幼なじみでも無く・・ただの女だけでもないんやったら・・

残ったのは・・





和葉あいつが・・





和葉あいつの事が・・





好きだということ・・や・・




そう、目の前にあったのに・・それに気づかなかった・・
まるで、足元のコインのように・・。

アホやな俺・・。

大アホやな・・。自分の気持ちに気づかんで・・。



でも・・このまま気がつかんかったら・・自分の気持ちを認めれんかったら・・後悔する事になっとた・・。
そう、まだ遅くは無い。工藤が気づかせてくれたおかげや。


「ありがとな。」


小さな声でつぶやいていた。
工藤は聞き取れなかったようだ。

「え?なっなにか言ったか?」

「別に何でもないわ!じゃ、帰らせてもらうで。こんな本ばっかりぎっしり詰まった部屋におったら気ぃくるうてしまうかもしれひんからなぁ。」

「ハハ・・悪かったな。」

そう言って立ち上がって俺を見送るとき、工藤は言った。



「真実・・見つけられたか?」



振り返り帽子をかぶり直してみせる。
微笑んで、言い返した。



「ああ・・お前のおかげで見つけられたで。ありがとな、工藤。」



今度ははっきり礼を言えた。












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