FILE.10戦い予告
走って走って。
本来ならば歩かなければいけない廊下を、懸命に走る。
3―D組・・・ここやな!!
早速『風上秀樹』を呼んでもらおうかと思い、声をかけようとすると・・・
「ん?確か君は服部平次君・・・かな?」
ブラウンの髪に細身な体。
背は自分と同じくらいのものだろうか。
確かに眼は切れ長で、鼻はスッとしている、中々の顔立ちだった。
「おおそうや。何や自分、見かけたこと無い顔やな・・・。」
「それはそうだ。僕は東京から来た転校生・風上秀樹さ。宜しく。」
風上・・・秀樹
こいつやな、和葉に言い寄ってるっちゅう男は・・・。
「なら少し話でもさせてくれんか?聞きたい事もあるしなぁ・・・。」
「・・・別にかまないけど?君に言いたいこともあるんだ。
でも今からホームルームだから無理だしねぇ。放課後の5時に屋上に来てくれないか?」
ほ〜・・・呼び出しか・・・。えらい自信持ってくれるやないか・・・。
「ああ・・・別にかまわへんで?ほんならビビってこれなくなる事が無いようにお願いするで。」
「・・・。」
自分で言って背を向け、あとにした。
あの軽い態度・・・。よっぽど余裕があるんやなぁ・・・。何様のつもりや。
何もかも全てが腹立たしい。
問題はどうして和葉と喧嘩しているということが、学校中に広まってるという事・・・
もう一つは風上秀樹が、なぜ和葉に言い寄ってるということ・・・。
頭ん中がごちゃごちゃしうて整理できへん!!
「あれ平次・・・こんなとこで何してんの?」
幼なじみ・・・いや初恋の人と言うものだろうか・・・とにかくあいつが声をかけてきた。
「いや別に何でもないわ・・・それより和葉、風上秀樹っちゅうやつしっとるか?」
和葉はなぜか少し顔を赤らめて答えた。
「あ、あ〜あの人のことやね?この前、あの人、アタシの美術作品をものすごく褒めてくれたんや。」
「めっ面識あるんか?」
「あるも何も・・・こっ・・・いや何でもないわ!その人がどないしたん?」
「いや…何でも無いわ。」
妙にもどかしかった和葉が一瞬不思議に思えたが、今はそれどころじゃないと思った。
ほ〜・・・言い寄ったってのはやっぱ嘘やったか・・・。
面識あるだけで、そないな噂流しよって・・・。
怒り・・・それとも嫉妬だろうか。
心の中で何かがわいてくる。
激しく、強く。
何が何でも負けたくないという、感情だった。
改方学園屋上、午後5時。
戦いが始まる。
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