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REGAIN HEROES ―本当に世界を救うRPG― 作者:本堂ゆうき

AREA 1 今、そこにある危機

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stage 5 教えて! 高峰さん その1


※ 連続更新中ですのでご確認の上、お読みください。
『ということなんでこのスキルの変化や妙なスキルの取得について教えて欲しい』
『教えてくださーい、高峰センセー』
『物凄くやる気の無くなるコメントをどうも』

 幸いと言おうか、程なくして高峰もREGAIN HEROESを始めたようなので早速ゲーム内チャットにて質問をぶつけてみる俺達だった。フレンド登録は事前に済ませてあったのが功を奏したという訳だ。熟練度を稼ごうとしていた高峰からすればいい迷惑だったかもしれないが。
 ちなみに高峰のゲーム内キャラクターは女性キャラのデフォルトほぼそのまんまという遊び心のないメイキングだった。折角弄れるんだから色々やってみればいいのに、と思う反面、外見にこだわりのないゲーマーなら微細な調整が可能で弄る項目が膨大なキャラメイクしてまで凝ったアバターにしようと弄ったりはしないかとも思う。

『その変化についてはこちらでもまだ検証段階であるという前提に話をするわよ? 過去に確認されている事例からは、貴方達の行動や思考、置かれた状況などあらゆる情報を下に本人が受けた影響によって起こりうる特殊成長のようなもの、という事よ。今後貴方達が経験するであろう本当の実戦の最中であっても突拍子も無くスキルが覚醒したりする可能性はゼロではない』

 つまり、ある日突然俺の中で何かが目覚めた、的な事が起こる事もありうると。

『貴方達が持つ資質がソウルフォームで得た情報と経験を元に変質を起こしその情報をREGAIN HEROESのデータ上で更新し最適化すると同時に名称も自動的に決定付けられ……と、色々と細かいメカニズムが存在するんだけど、その辺は別にいいわね?』
『そういう仕組みなんだー、で済ませるので俺は別に』
『オレは多分聞いても分からん!』
『なら簡単にまとめると、貴方達の持っている戦士としての可能性が専用の力となって覚醒した、というだけの事よ。REGAIN HEROESでの力は過去の戦士達の借り物な訳だけど、それを私達が持つ資質に応じて専用化した事でより最適化されたとも言うわね。そしてこの変化こそがREGAIN HEROESの最大の目的であり可能性でもあるの』
『どういうこった?』

 ゲーム内で瞬のキャラが首を傾げていたが俺も同様の疑問を持った。このゲームは単に戦士としての育成期間を短縮するだけに留まらない目的があるという事なのか?

『ソウルフォームでの訓練とこうしてゲームとしてアバターを起動する、このプロセスを交互に繰り返す事で私達の中にどんな能力が眠っているのか、どんな力が覚醒するのか、それを手探りで行うのではなくある程度の方向性を定める事が出来る。つまりどんな戦士として成長するのが望ましいのかをわかりやすい情報で得る事が出来る』

 そういう事か。自分に何が向いているのか、どんな能力が伸びやすくどんなスキルを得たらいいのか、本来であればあれこれ試してみて見出さねばならない膨大な選択肢を極めて少なく出来る。それは確かに効率の良い修行方法に繋がるだろう。

『でもそうなると俺のスキル欄には全く変化が無いんだが』
『まだ切っ掛けが足りないのか、それとも適性が無いのかのどちらかね。ただ……』
『ただ?』
『和奈の話ではスキルが変化する「トリガー」となりうるスキルはスキル欄に「?」のアイコンで表示される仕様になっているそうよ。もっとも関連性のあるスキルを取得していなければいけないそうだし、切っ掛け次第で変化するという仕様上、今表示されてないからこれは関係ない、と判断できるわけでもないのだけど』
『……ざっと見たけど見当たらないな。スキルのレベルも関係してるとか?』
『恐らくそれも条件の一つかもしれないわね。スキルを手当たり次第に取得して、そこから総当りで探すという手段では見つけにくいと思う』
『いい事ずくめでもないんだなあ』
『まだまだ手探りのシステムなのよ、これでも。私の場合は偶々刀術マスタリーのレベルを上げたら変化したものだから。自分の経験に基づいた意見だから低いレベルだとダメ、っていう見立てが正しいとは限らないけど、それなりのレベルは必要なんじゃないかしら』

 いや、そういうのは多分当たってるもんだ。実際スキルの取得だけはそこまで難しくないからなこのゲーム。自分の適性を探すのに下手な鉄砲数撃ちゃ当たる、な方法で見つけられはしないだろう。むしろ特化型の二人に対して、器用貧乏な育成をしていた俺が下手を踏んだというだけに過ぎない。

『参考までに現実世界での貴方達の嗜好や経験も反映されているのでは、って推測が立てられていたんだけど……』
『そりゃ瞬の変化を見れば一目瞭然だと思うぞ? むしろ条件としては確定したと見てもいいんじゃないか?』
『そうね、否定できる材料は無いわ。私のスキルの変化も踏まえれば判断するサンプルとしては十分でしょう』
『高峰はどんな変化を?』
『柏谷君と一緒でマスタリースキルの強化というところよ。刀術マスタリーが古流剣士の刀術ってスキルに変化しているの』
『つまり高峰は現実でもこう、剣術を習ってたりすると?』
『ええ、組織の一員として基本的な武術は会得しているわ。これでも一応和奈の護衛でもあるもの。現実の世界では流石に本物を振り回したりはしないで格闘術でやり合うけどね』

 普通の女子高生は護衛するのに格闘術は使いません、多分。

『柏谷君の例も考慮すれば本人の趣味嗜好も踏まえる必要があるというのは確定したと見ていいでしょうね。和奈にもメールを送っておくわ』
『けどよ、高峰。そうなるとタケの条件を満たすのは結構ムズいんじゃねーの? こいつ、この手のゲームじゃゲームによってコロコロスタイルを変えてプレイしてるんだぞ?』
『別にゲームでの構成の好みだけで決まっているわけじゃないから……けれど、柏谷君の心配ももっともね。より取り見取りが好みなのでしょう? 何か一つに拘らないということはREGAIN HEROESでも最終的には器用貧乏の中途半端な戦士で終わる可能性が……』
『おい、高峰、追い討ちはやめろ』
『取得できるスキルの幅が随一な代わりに、どれも経験値を平均より大目に要求されるから成長が遅い、攻撃、防御、支援、どれをやっても専門の仲間に今一つ劣るから存在感が薄い。結果としてイマイチ戦力としては数えにくい』
『やめてくださいしんでしまいます』

 分かってるよ、分かってるんだよ万能型という響きに隠されたどっちつかずの中途半端、という罠は!
 けど、仲間を組んでプレイするゲームなら、一人くらいはこう必要だろ? 状況に応じて役割を変えられるようなキャラは! 実際スペルナイトに適性があるからこれでも必要な経験値が減ってるスキルだってあるんだし! そうだと言ってくれ!

『にしても高峰も結構ゲームの話通じるのな。この組織とやらでお仕事的にやってるわけじゃねーの?』
『REGAIN HEROESのテストプレイヤーもしていたし、世に出ているゲームには一通り触れているわよ。柏谷君の言うとおり、貴方達と違って趣味というよりは半分は仕事に近いけれどそれでもプレイする事自体は楽しめているわね』
『ちょっと意外だな。やっぱ女ゲーマーって少ないし』
『実際に俺達が思うほど少ないわけじゃないんだろうけど、男に比べたら前面に押し出してる人は少ないだろうしなー』

 昔よりも偏見は減ったとは言うけど、ゲームってやっぱメジャーな趣味って感じじゃないしな。同じインドア系趣味の中でもやっぱ色眼鏡で見られるというか。
 老若男女問わずやってるような国民的ゲームとかならまだ違うんだろうけど、多岐に渡るジャンルがあるから微妙に世間からズレたゲームが好みってカミングアウトするのって結構勇気もいるし。

『和奈だって仕事とは別に趣味でも遊んでいるわよ』
『へー、それもちょっち意外』
『お役目柄、あまり親しい友達を作れなかったから自然と自己完結できる趣味に走っちゃったのよね。今でこそこうしてチャットとかが搭載されているゲームもあるし、ネットゲームもあるけど、そういうので出来た繋がりと、現実はまた違うでしょう?』

 その一言は俺の心の中に火を点けた。

『瞬、目下の問題が片付いたらこの四人でパーティゲー祭りをやるぞ』
『おう、やっぱボードゲーム系がいいかな? 最近じゃ敷居の低いドタバタアクションゲーもあるよな』

 ゲーマーは同じ趣味を持つ者を見捨てない。まして、その生い立ちや立場のせいでぼっちを強要されていたというのならば尚更だ。あの小さな身体(一部は高峰を圧倒的に上回るが)にそんな責務を背負っていたとなれば、ますます楽しんでゲームをプレイしていただきたい。
 だが、そんな俺達の反応が意外だったのか、高峰から返って来たメッセージは、

『……貴方達本当に精神的にタフなのね。数日後には生きるか死ぬかの戦いが待っているのに、もうその先の話?』

 という呆れとも驚きとも取れないメッセージだった。
 いやまあ、疑問はごもっともだろうけど、それについては今更言うまでもないだろう。
 今日の午後に、二人にやる、と返事をした時から後ろ向きな考えは一切シャットアウトしたのだ。
 男が一度決めた事に対してグダグダ悩むなんて女々しいにも程がある。やせ我慢でもいいから恐怖をどっかに置いてこないと先にプレッシャーに負けてしまうだろう。

『それについてはもう今更だぜ、高峰。タケもオレもとっくに腹はくくってんだよ』
『そうそう、男は黙って虚勢を張りましょうってな』
『頼もしいと答えるべきか、ただのお馬鹿さんなのか判断に悩むところね』

 手厳しい。だが、不思議とあのアバターの向こうにいる高峰は苦笑いを浮かべているのではないかと思えてしまった。いや、出会ったばかりのあいつにそれを望むのは願望が過ぎるか。きっと本当に困りきった顔をしているだろう。
 などと少し脱線した雑談に興じていると、またしても誰かがログインしてきた音が鳴る。

『柏谷さんのスキルが変化したと八千代から連絡があったのですが』

 あれ? 多分メッセージ的には和奈なんだと思うけど名前の欄に書かれているのはゲスト、である。

『和奈はREGAIN HEROESのアバターを持っていないから、こうしてメッセージをやり取りするためのゲストアカウントで登録しているだけよ、沢木君』
『俺の疑問に即座に答えてくれる高峰の反応の早さたるや恐るべし。出来る女はこうも違うのか』
『聞き飽きた褒め言葉ね。もう少し工夫が欲しいわ』
『あしらい方も完璧だな!』

 それはさておきわざわざログインしてまで確認しに来たって事は、やはりこれに関する情報は早めに欲しいのだろうか、しばらくメッセージによる反応は無かった。

『多分、八千代の推測通りスキルの専用化はやはり個々人の嗜好や隠れた資質が反映されると見て間違いないでしょう。その、柏谷さんの今後の戦いは大変になるかもしれませんが』
『え? 何で?』
『いえ、やはり攻防の両方の主軸となるのがそもそも武器ではない盾というのは大変ではないでしょうか?』
『大丈夫だ、レベルを上げて盾で殴ればいい』
『物理で殴ればいいみたいに言うな』

 一応ツッコミを入れたものの、俺は和奈ほど心配はしていない。
 実際、盾を用いた攻撃スキルは存在する。今日だってあのデカいミノタウロスを吹っ飛ばしたパワーチャージだって十分通用した。対人戦闘となると話は別だろうが、いわゆる一発がデカイが当たりはずれが激しい武器のカテゴリーと同様と考えれば瞬の育成方針は言う程困難な道ではないと思う。
 その理由を筋道立てて説明したところ、

『た、確かに沢木さんの言う事にも一理あります。わたしも八千代もあんまり変わった遊び方をしないので盲点でしたっ』
『和奈は性格そのまんまでゲームをプレイしてそうだからな』

 基本に忠実、かつ堅実に、というやつだ。いや、瞬が尖りすぎているだけかもしれないが。

『ですが、そうなると沢木さんの方が心配ですね……最初の「防衛戦」まで五日程しかありません。あまり複数のスキルの育成はオススメできませんが……』
『防衛戦ってのはいわゆるボス戦のようなものか?』
『はい、皆さんにはこれから訓練と調達を兼ねて別世界からの接触をREGAIN HEROESの世界に落とし込んだ世界で修行に励んでいただくわけですがこれら小さなものは世界へ与える影響は大きくないのです』
『逆に長々と放置が許されないのが「防衛戦」と名付けられた大規模な現実世界への侵攻よ』
『俺の育成もそうだが調達ってのは?』
『そういえば説明してませんでしたね。ゲームでもやっていることと同じですよ。装備品の強化には向こうの世界で調達できる物質をこちらの世界の機器で加工しますので。こちらの世界での物質ではあちらの世界で与える影響が小さすぎて武器にも防具にもなりませんから』
『……そうか、育成と武器の強化も並行して行うっていうところまでまんまゲームと一緒なんだな』

 しかし、そうなるとここで俺に更なる問題が浮上する。

『……俺のステータス、均等に伸びてるからワンランク上の装備の要求ステに一歩届かないんだけど』
『……公園ではああ言ったけど、本当に私達三人で大丈夫かしら』
『おーい、タケ。とりあえず余ってるポイントと伸ばすステータスを考慮して何か一つか二つ、武器になるようなスキルを手に入れるしかねーんじゃねーの?』

 ヤバイ、俺の命がマッハでピンチだ。
 早急に対策を立てないと!
ということで、現代設定をゲームメインで進む
作者の趣味丸出しの作品です。
主要四人のキャラの立ち位置などは概ね
この更新で出せたとは思いますが、今後も
システム系用語が飛び交うようなお話にしつつも
ボーイミーツガールを忘れない、という
作品になるよう努力していく次第です。
皆様、応援よろしくお願いいたします。

※ 明日以降の更新は基本的に18時になります。
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