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虐げられた救世主の俺は異世界を見捨てて元の世界で気ままに生きることにした 作者:三木なずな

第一章

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07.ヤクザと警察

 夜中、金井興業の事務所の外で待っていた俺。
 その事務所の前に一台の軽トラックがやってきた。

 草木も寝静まった時間帯にやってきたトラック、ビルの中から人がぞろぞろと出てきて、何かをトラックに積み込んだ。

 人。

 遠くからでもシルエットレベルでもはっきりと分かる、人間のシルエット。
 手を後ろに縛られて目隠しをされている人間が一人また一人とトラックのコンテナに積み込まれていく。

 ざっと二十人、それを積み込んだ後、トラックが何事もなかったかのように走り出した。
 追わなきゃ。

 俺はスキル、透明人間を発動した。

 透明人間レベル2、20秒間姿を消せる。
 その20秒で猛ダッシュして、トラックのコンテナの上にジャンプして、そこに乗った。
 乗った後はうつ伏せでしがみつき、透明が解除されてもそうそう簡単にはばれない様に息を潜める。。

 さて、どこにいくのか。

 トラックは一時間くらい走って、夜の港にやってきた。
 ほとんど明かりがない港。
 トラックが止まった先に、漁船の様な船が停泊している。

 運転席から金井興業の若い衆が降りて、船からも若い男が降りてきた。

「連れてきたぞ、そっちは」
「ちゃんと二十人」

 船側から更に人が降りてきた。
 男が答えたように二十人、男も女も居るが、いずれも若者ばかりだ。

 その間、金井興業側の別の若い衆がトラックのコンテナを開けて、さっき詰め込んだ人達をおろした。
 こっちもきっちり二十人、数は一緒だ。

 そこから先は会話はなかった。
 漁船側から降りてきた奴らが一緒になって、拘束した人間を漁船に乗せる。
 抵抗するものもいたが、暴力で黙らされた。

 ここまでか。

 俺はトラックから跳び降りた。

「な、なにもんだ!」
「てめえ昼間の!?」

 驚く男達、俺はそいつらを瞬殺した。
 近接戦闘で漁船から下りてきた二十人の男女と若い衆をなぎたおしていく。

『なんだこれは聞いてないぞ』
『ちょっと! あたし戦闘訓練は受けてないのよ!?』

 漁船から下りてきた連中は全員外国語を話していた。
 そいつらがわめいてる間に全員瞬殺する。

 残したのは二人、トラックと漁船から下りて、最初に接触した二人。

 その二人の喉笛を掴んで、トラックのコンテナを壁に見立てて押しつけた。

「な、なんだてめ――」
「どういう事だこれは」
「知らない――」
「いえっ」

 喉笛を掴む手の力を強めて、男達を責問する。

「い、言う……いうから……げほっ! げほげほっ!」

 一人が落ちたから、ひとまず手の力を緩めた。

「いえ、こいつらはなんだ、あの人達を何処に連れて行くつもり」
「こ、こいつらは本国から送り込まれてきた奴らだ。こっちで捕まえた日本人と入れ替えるのが目的だ」
「……なんだと?」

 眉をひそめた。
 人さらいと「本国に送る」って話を聞いて首を突っ込んだけど、予想よりもやっかいな話だった。

「むっ!」

 いきなり強い光に当てられた。

 男達から手をはなし、目の前を覆う。
 逆光の中に浮かび上がったの金井興業の組長と、大勢の手下どもだった。
 手下どもは俺を取り囲んでいる。

「本当にアイツの言うとおりだったとはな……」

 組長が苦虫をかみつぶした顔でつぶやく。
 逆光に薄目で対応して、ヤツに聞く。

「これはどういうことだ? 入れ替わりってなんのために」
「密入国だよ」
「密入国?」
「ああそうだ、ちゃんと使える戸籍つきの密入国手引きは美味いんだよ」
「入れ替わるって戸籍の話だったのか……」
「そういうことだ」

 組長はにやりとわらった。

 密入国しただけじゃ、つかまってしまったら強制送還される、しかし戸籍があればそうはならないし合法的に動ける。

「そんなの上手く行くわけがない、そもそも書類の顔写真とか別人だから一発でばれる」
「ハッ」

 組長が更に鼻で笑った。

「今のご時世、やれ整形だとやれ性転換だの、性別も変えられるんだ、顔なんてな、更新するときにはっきりと整形顔が来たら役所も深くつっこまねえ」
「……」

 多少ショックだが、ない話じゃないぞと妙に納得する俺だった。
 整形でビフォーアフターがものすごく変わっちゃう人間がいる、そういう人が普通に存在して普通に戸籍に登録できてる以上、この入れ替えは普通に通じてしまう。

「そのついでに身寄りの無い、借金漬けの連中を集めて向こうに売り飛ばす。一石二鳥の美味い商売だ」
「……そこまでベラベラ喋っていいのか?」」
「はっ、今から死ぬ人間に気を使うこともねえ」

 組長は手をあげた、すると手下どもは銃を構えた。
 拳銃じゃない、マシンガンだ。
 それが人数分、合図一つで俺は蜂の巣ってわけか。

「安心して死ね、てめえの戸籍もちゃんと美味しくいただくからよ」

 組長は手を振り下ろそうとした――直前。
 俺はクールタイムあけた透明人間レベル2を発動させた。

「なに!? どこいった」

 驚愕する組長、すかさずそいつの手下どもに肉薄する。
 時間は二十秒、一秒たりとも無駄には出来ない。

「ぐわっ!」
「ごふっ!」

 俺は全力で走り回って、マシンガンを持つ組員どもを瞬殺した。

「明かりをもっとつけろ! どっかにいるはずだ!」

 わめく組長、好都合だ。
 スキルなんてばれないほうが都合がいい。
 向こうが混乱している中、俺は組員を全員始末した。

 マシンガンを持ってたからかポイントも普通のザコ組員よりは美味しくて、全部で64ポイントあがった。

「ぐふっ!」

 姿を現わして、組長の喉笛を掴む。

「終わりだ、このまま警察に突き出す」
「ふ、ふん! そんな事をしても無駄だ……」
「どうかな」

 今度は俺がにやりと笑った。
 組長の喉笛をひっつかんだまま、ポケットからスマホを取り出す。

「さっきの会話は録音した、法的証拠にはならないだろうが人間の心証は作れる。なんだったらマスコミに送りつけてもいい」
「ふっ、やってみろ」

 強がる組長、その強がりは根拠のないものじゃないように見えた。
 それも、予想通りだ。

「ちなみに、録音は事務所の時もしてる」
「……え?」
「ヤクザの事務所に入るんだ、当然これくらいの事はしてる。つまりあんたとあの男の会話も録音してある。母国語でなんて言ってたっけ?」
「くぅ!」

 ようやく組長の顔色が変わった、それを確認した俺は当て身を食わせて気絶させた。
 焦る程の証拠、有力な証拠になると分かった俺は組長を()として、そのまま通報する。
 漁船に乗せられた、さらわれた日本人達も助け出す。

 これで一件落着かな?

 しばらく待って、サイレンと共にパトカーがやってきた。

 埠頭にやってくるパトカー、それが少し離れた所に止まった、警官が降りてきた。
 パトカー一台に警官が二人……少なくないか?。

「通報したのはあなたですか」
「そうです、こいつらが――」

 相手が警官だから気持ち敬語になりつつ、振り向いて倒した組長と組員を指さした瞬間。

 ゴッ――。

 後頭部に強烈な痛みが走った。
 目の前が真っ白になる、前のめりで倒れそうになる。

 歯を食いしばって、かろうじて踏みとどまる。
 ぱっと振り向こうとした――瞬間。

 またも先手を取られた、今度は手錠をはめられた。
 唖然とした、状況をよく飲み込めなかった。

「……偽の警察なのか?」
「被疑者一人確保、連行します」

 俺に手錠をかけた警官が事務的にほかの警官にいった。

 ……偽物じゃ、ない?
 偽物なら奇襲した後にそんな警官の演技をする必要はない。
 する必要があるのは、相手が本物で、俺を本当に容疑者にするためだ。

 つまり本物、そして……。
 ちらっと見える金井興業の連中。
 こいつらとグルって訳か。

「――ふん!」

 俺は手錠を引きちぎった、近接戦闘レベル7で上がってる攻撃力を応用しての破壊だ。

「なっ! 抵抗するのか!」
「構うな、確保しろ!」

 警官の二人が驚き、拳銃を抜いて俺に突きつけた。

「おそい!」

 手錠を引きちぎった瞬間から攻撃をするつもりだった俺、警官が拳銃を抜いた瞬間にはもう踏み込んで、それぞれにパンチを叩き込んだ。

「がはっ――」
「おま、え……」

 瞬殺された二人の警官、そのままドサッと倒れる。
 しゃがんで装備品を確認、やっぱり本物のようだ。

 つまり……警察も共犯ってことか、世も末だな。

 それはまあ、いいんだけど。
 問題は、どのレベル――どの階級の警官までが共犯だって事だが……。

「関係ないか」

 俺は微苦笑した。
 どこまでだろうと、ここまで首を突っ込んだ以上やるだけだ。
 異世界にいた時もそうだったしな。
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