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虐げられた救世主の俺は異世界を見捨てて元の世界で気ままに生きることにした 作者:三木なずな

第一章

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06.裏商売

 車に乗って、彼女から聞いた「怖い人」の本拠地にやってきた。
 市街地のちょっと外れた所にある三階建ての小さなビル、表に「金井興業」って看板が掲げられている。

 字面は普通の会社だが、ちょっとでも知識がある人間はタダの会社じゃないって分かる名前だ。
 その証拠に、このあたりで急に人気がなくなり、たまに通りかかる通行人も足早に通過している。

 間違いないな、と俺はドアを押して中に入った。

 一階はロビーになっていて、小窓のついた管理人室がいる。
 中で若い男がテレビを見ているが、無視して奥に進む。

「おい、ちょっと待て。何もんだてめえ」

 男は管理人室からでてきた。
 格好は普通だが、物腰と口調がいかにもチンピラ風だ。

 そいつをさっくり倒して、階段を登る。ちなみにポイントは2入った。

「あん? なんだてめ――」
「ダイゴのヤツ何を――」

 途中でまた二人遭遇して、問答無用に倒す。
 解決のプランはいくつか考えてるが、どれもこれもそこそこ上の連中とやり合わなきゃいけないものだ。

 俺は途中のチンピラをスキルポイント2に変えながら上に進んでいく。
 最上階の一番奥、それっぽい部屋に入った。

 部屋の中はいかにもな作りだった。

 でっかいプレジデントデスクに、後ろの壁に「任侠」って書かれた額縁。
 今どき極道映画でももうちょっとひねってるぞ、と思ってしまう作りだ。

「邪魔するぞ」

 中に入ると、「任侠」の前に男が一人、そしてその前の客用のソファーに男が一人。
 合計二人、部屋の中にいた。

「なんだお前は。おい誰か! 何やってんだてめえら!」

 部屋の主、多分組長らしき男がわめいた。
 それに呼ばれて、チンピラがぞろぞろと入って来た。

 一直線でここに向かってきたから、別の部屋にいた討ち漏らしだ。

 いかにもなチンピラ達だが、状況はすぐに理解したようだ。

「おいてめえ! こんな所で何してる」
「こっち来い!」

 一人が俺の方に手をかけた瞬間、ぐるりと振り向いて五人を瞬殺。
 文字通りの三下で一人につきパンチ一発、スキルポイント2の処理だ。

 俺は再び組長の男に振り向き、口をひらく。

「お前がここの組長だな」
「な、なにもんだお前は」
「俺が何者かはどうでもいい。佐山志穂、知ってるよな」
「佐山……」

 男は眉をひそめて首を傾げた。

「農家の娘だ、お前らが親の借金を取り立てているって聞いた」

 そう話してやると、男は「ああアレか」って顔をした。

「だったらなんだって言うんだ」
「親の借金は娘には関係ない、そう言いに来た」
「はっ」

 男は鼻で笑った。
 そんな事なんて向こうからすれば百も承知って所だろう。それでも取り立てをしてるんだ。

 言われて鼻で笑う、ある意味当然の反応だ。

「若いの、多少出来るようだけど、本職をあまり舐めない方がいいぜ」

 男がいったあと、更に数人、チンピラが入って来た。

 今度はさっきよりも殺気立ってて、全員がドスを抜いた状態で入ってきた。

「おい」
「へい!」

 男があごをしゃくると、チンピラがドスを腰に構えて、突き刺す姿勢で突進してきた。
 スキルに防御系はない、刺されば大事だ……まあ刺さらないけど。
 刺さってやらないし、むしろ攻撃力が増す。

 ドスをサッと避けて、横っ面をはっ倒す。
 チンピラは横に二回転、綺麗に回って地面に顔から突っ込んだ。

 ほかのチンピラが一斉に襲ってくる、丁寧に避けて、カウンターと攻撃力アップ(回避)の乗算が乗ったパンチで全員倒す。
 またスキルポイント10ゲットだ。

 そして組長に振り向く。

「な、なんだてめえは。何処のもんだ!」
「一般人、ただのお節介焼きだ」
「ふざけんな!」

「組長」
「え?」

 ふと、ずっとソファーに座っていた男が口を開いた。
 落ち着き払った口調だ。
 気になってそいつの格好を改めてチェックした。
 スーツを着ている、この場にはふさわしくない青年だ。

 街中で会えばただのサラリーマンに見える、この場だと堅気の男、そんな風に見える男だ。

「その娘――ああ違いますね。その娘の親の借金はいくらなんですか?」
「確か……五百万だが……」

 それがどうした、って顔をする組長。

「私につけて下さい」
「なに?」

 今度は俺が反応した。

「堅気さんにはわかりませんが、法的に返済義務がなくても関係ないのですよ、こういう所から借りていればね」

 関係ない、か。
 日本語って便利だな。確かに連中からすればそんな事関係ないか。

「ですので……組長さん、それは私につけて下さい」
「しかし――」
『――もう一つの商売、人さらいしてるのがばれてもいいのですか?』

 俺は首を傾げた、聞こえてきたのは外国語だったからだ。

 だから、首を傾げた。
 わざと傾げた。
 言葉なんて、分からないって言わんばかりに。
 そういう内容、俺の頭がそうしろって強くアピールしてきた内容だ。
 実際はスキルの完全通訳でわかるけど、だからこそすっとぼけた内容だ。

 青年に言われて組長はハッとした、そして苦虫をかみつぶした顔をした。

「……分かった」
「と、いうわけ。証文は私が受け取ります。その娘には取り立てしないのでご安心を?」
「いいのか? 太っ腹だな」
「ええ、両親に取り立てすればいいことですし――それは構いませんよね」
「……ああ、借りた張本人だ、それは止めない」
「よかった。あなたのような方とお近づきになれるのなら、これくらいの投資安いものです」
「……礼は言わないぞ」
「それは残念」

 これで、佐山志穂の借金の件はひとまず解決した。
 正直アレを聞いていなければ、ひとかどの男がここにいた、という事で納得しそうな、そんな流れだった。

 そして、部屋を出た直後、壁越しの組長の、

『今度は本国に何人送ればいい』

 って言葉が聞こえてなかった、一件落着ってすましてるところだった。

 ヤクザ、外国語、本国、人さらい。
 ……このまま放っておけないな。
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