挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
虐げられた救世主の俺は異世界を見捨てて元の世界で気ままに生きることにした 作者:三木なずな

第三章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

45/54

05.嘘をつく判別機

 ホテルを出て、迎えに来た車に乗り込んで、物々しい建物に連れられてきた。
 後からついてきた車からアルベルトが見知らぬ中年の男と一緒に降りて、俺に近づいてきた。

「ここにあのハイジャック犯連中がいるのか」
「ええ、留置所の様なところだと思って頂いて結構です」
「なるほど。そっちの男は?」
「私の腹心です。……表向きの案内ですから」
「なるほど」

 俺は瑞希―マリアンナのラインでハイジャック犯の面会を申し出た。
 実際にあって読心するためだ。

 それは今回の真の目的と違って隠す必要がないから、部下も連れて来たって事か。

「わかった。案内を頼む」
「はい」

 アルベルトは部下の男に目配せをして、その男が俺たちを先導した。
 留置所の中に入って、一直線に目的地に向かう。

 とある部屋の中に案内されると、壁一面の鏡が会って、その向こうに取り調べをしている光景が見えた。
 マジックミラーで、こっちからは見えるが向こうからは見えない、そんな感じの部屋だ。

 相手は見た事がある、俺が飛行機の中で倒したハイジャック犯の一人だ。
 そのハイジャック犯相手に数名がかりで尋問している。

「どんな感じなんだ?」
「これで終わった訳じゃない、すぐに後悔することになる。と、ずっと言っている」

 アルベルトは部下から何か資料をもらって、それを見て、俺の質問に答えた。

「ホテルの爆破が阻止された事は教えたのか」
「直接は言ってないけど、尋問の内容から察しているらしい」
「まあ、慌てて爆弾の解除とか聞いてないので察するだろうな」

 俺はマジックミラー越しにハイジャック犯をみた。
 声も聞こえる、I国の言葉で尋問していて、それをハイジャック犯がのらりくらりとかわしているのが聞こえる。

 スキル・読心を使った。
 ハイジャック犯の心を読む、ちょうど尋問されているので、聞きたい事が表層意識に浮かび上がっててわかりやすかった。

「なるほどな」
「なるほど、とは?」
「今回はこれで打ち止めだ、ただし次の計画が組織で準備が進んでいる」
「なっ!」

 驚くアルベルト。

「なぜ、そんな事が」

 当然の反応に俺はあらかじめ用意していた答えをつかった。
 スキルは使うが、その事を知られたくない。
 そのためのごまかしだ。

「ある種の嘘判別機みたいなのと思ってくれていい。相手の目さえ見れば嘘ついてるかどうかが分かるんだ」
「まさか!?」

 更に驚くアルベルト、信じられないって顔だ。
 俺は更に用意していた脚本をすすめる。

「例えばそうだな……正直な話、瑞希をだきたいと一度でも思った事はあるか」
「ありえん」
「へえ……本当なのか」
「むぅ」

 驚くアルベルト。
 こういうのはよく聞かれる質問なんだろうな。

 アイドルやタレントに入れ込む人間が一番聞かれるであろう質問。

 正直な話相手を抱きたいと思うか。

 アルベルトの心を既に読んでてそれが「ノー」だって知っている。
 それは一般的に「うそっだー」「またまたー」ってなる答えだったから、使わせてもらうことにした。

「異性の有名人に性的な欲望を持たないのは珍しいな」
「当たり前だ、ミズキ様にそのような想いを抱くなど冒涜以外の何物でも無い!」

 そう言い切ってから、アルベルトは黙って俺をじっと見つめる。
 本当なのか? って顔だ。

「ならもう一つ。さっき引っかかったが確認したかったことを」
「むっ?」

 俺はアルベルトの部下だという(、、、、)男に向かって、質問した。

「あなたは本当にアルベルトの部下なのか?」

 聞いた瞬間アルベルトの眉が微かに動いた。
 一方で、男は特に動じることなく、真顔で答えた。

「はい、その通りです」
「なるほど嘘か」
「むっ?」
「政治家なのか?」
「……いいえ」
「政治家か。しかもこの感じかなりの大物だな。まさか大臣クラスか」
「………………いいえ」
「おいおい。大臣程度じゃないって目だぞそれは」

 俺がズル(チート)して相手を追い詰めて行くに連れて、アルベルトもそいつも徐々に顔が強ばっていった。

 まあ、演技だけどだ。
 男の正体はあった瞬間に分かっている。

 アルベルトの事は信じているが、彼が騙されていないとも限らない。
 涼介のそばにスパイがたくさんいたのと同じだ。

 だから男の事を最初から読心して、正体を見極めた。
 するとびっくり、なんと相手はこの国の王子だったのだ。

 マリアンナの実兄、第一王子。

 変装して紛れて、俺の事を見極めようって腹づもりだったらしい。

 よくある会社の会長が清掃のおっちゃんに化けるっていう、あれだ。

 その答えを知った上で、嘘判別機的な「はい」「いいえ」のていで暴いていった。

 しばらくして、王子は観念した顔で。

「失礼した。私の名はチャールズ。マリアンナの兄だ」
「おいおい、まさかの王子だったのか。首相とかって予想してたのに更に大物じゃないか」

 俺はわざと驚くフリをした。

「試すような事をしてしまってすまない」
「それはいいんだけど」

 俺はそう言って、気にしてないってポーズをとった。

 チャールズ王子の正体を暴いたおかげで、とうのチャールズもアルベルトも。

 俺に期待と尊敬、それらが入り交じった目で見つめてきた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ