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虐げられた救世主の俺は異世界を見捨てて元の世界で気ままに生きることにした 作者:三木なずな

第二章

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17.電子戦(物理)

 翌日、エグゼクティブ1の中。
 100インチプラズマテレビでチャンネルを回している俺。

 朝のワイドショーを一周した後、リモコンをテーブルに投げ出した。

「どこもほとんど報道してないな、予想通りだが」
「新聞もほとんどそうだ」

 相づちをうったのは涼介。
 渋面の涼介、当てが外れたって顔をしている。

 その涼介の視線の先――テーブルの上に新聞がいくつも置かれている。
 今日の朝刊、それを一通り揃えたのだが、どこも北大路の死をさらっと報道してるだけで、内情にはほとんど触れてない。

「そうだろうな。この件を深く突っ込むとどこもやばいって事だ」
「ネットのメディアはそれに触れてるが、あまり話題になってるとは言いがたい。あなたの動画も、望遠で撮ってしまったがため声が入らず。パンドラがヤクザを始末した、にとどまってしまっている」
「だろうな」

 予想出来ていた事だ。
 涼介がハッキングして俺のアカウントで生放送をしたのはいいが、あれじゃヤクザと戦ってる事にしかならない。

 テレビ、新聞、ネット。
 この流れは、確たる証拠がなくて最終的に話がうやむやになってしまう流れだ。

「申し訳ない……」
「いや、あんたのせいじゃない。予想通りっていったろ?」
「……そうか」

 ハッとする涼介。
 時価一兆円グループの首脳陣にいるだけあって、頭の回転が速い。

「そう、元総理の死がこの程度の報道。これは種まきだ、そこに真実を暴けばどうなる」
「一気に火がつく、隠し立てしてたもの達がまとめて吹っ飛ぶくらいの」
「そういうことだ。子どもでも分かる理屈だ、最初から正直に打ち明けるのと、嘘を途中から暴かれるのとじゃどっちがよりまずいのかくらいな。しかも」
「自分の口からは言わせない」

 同時に笑みを浮かべ合うおれと涼介。

「そこはまあ誤差レベルだけどな。追い詰められて自分で白状するのと、追い詰められて他人から暴露される」
「確かにそうかもしれない」
「と、言うことで」

 俺は立ち上がった。テレビ、新聞、そして涼介の順に見回す。

「パンドラの箱を開けようか」

      ☆

 涼介が帰った後、俺はエグゼクティブ1の中でスキルをチェックした。

-----スキル-----
スキルポイント:452/999

取得スキル(13/∞)
近接戦闘LV7
遠距離戦闘LV4
攻撃力アップ(回避)LV6
先制攻撃
透明人間LV3
カウンター
必要ポイント減少(80%)
スキルポイント増加(200%)
完全翻訳
自由訪問
金銭ドロップ
読心
破壊王
-------------

 大量に倒した山木組のおかげで、ポイントがどっさり溜まっている。
 強くてニューゲームの瞬間に戻ったみたいだ。

 これからやる事を予想したら――まずは近接戦闘を上げきることにした。
 レベル8は80の8割、レベル9は90の8割。
 それぞれ64と72でとれた。

 そして肝心のスキルをとる。

 仮想空間。

 必要ポイントは200その8割の160でとれた。
 取った後、テーブルの上に置いたスマホに手を乗せてスキルを使った。

 瞬間、景色が変わる。

 世界一豪華なキャンピングカー、大理石張りのエグゼクティブ1の中からまるで海中の様な空間に飛んだ。

「やっぱりいけたか」
「お久しぶりでございます、ご主人様」

 声と共に現われたのは白いうさぎ。
 見た目は普通のうさぎだが、瞳には知性があり、何よりしゃべれる。

「久しぶりだな、シロ。ここでもお前が出てくるとはな」
「当然でございました。わたくしはご主人様の分身。潜在意識で作りあげられたもう一人のご主人様。どの世界のどの仮想空間であっても出てくるのはわたくしです」
「なら俺がやろうとしてることも分かるな」
「はい」

 頷く白ウサギ――シロ。
 俺は改めて周りを見回した。

 海中の様な空間だが、至る所にドアがある。
 そしてドアの上には数字がある。

 点を挟んで、三桁の数字が四つ並んでる。

「異世界の時の仮想空間とはちょっと違うな」
「ネットの海、というご主人様の知識がこの仮想空間の大本となっております。ドアはコンピュータか端末と繋いでます、数字はIPアドレス……住所の様なものとお考え下さい」
「なるほど、で、例の新聞社の社内情報が入ってるコンピューターはどれは?」
「こちらです」

 シロがそう言って、先に泳ぎだした。
 周りは海に見てるから泳ぐって思ったが、その姿をよく見たら飛んでるって行った方がいいかもしれない。

 俺も飛んで(、、、)シロの後についていった。
 バタ足してもしなくても進む、飛ぶも泳ぐもどっちでもいいのかもしれない。

 しばらくすると、シロはとある扉の前に止まった。

「ここでございます」
「ふむ……鍵がかかってるな」
「企業のコンピューターですので、当然かと」
「以前通りでいいな?」
「はい。ご主人様のスキル・仮想空間は、ご主人様のイメージを通訳するものです。この場合セキュリティを破る(物理)からセキュリティを破る(電子)に自動変換されます」
「うん、向こうの時と同じだな」
「この程度のセキュリティ、ナイトメアサキュバスの精神障壁に比べれば子供だましも当然です」
「はは」

 俺は少し笑って、拳を握った。
 このために近接戦闘をレベル9、MAXまで上げてきたのだ。

 拳を握って、腰を落として、全力で殴る。
 とアガひしゃげて吹っ飛んだ。

 中に入ると、今度は燃えている壁が立ち塞がった。

「ああ、これは俺にも分かるぞ。ファイヤウォールだろ」
「はい。ご主人様が持っているイメージそのままでございます」
「これもぶっ壊せばいいんだな」
「はい」

 シロの太鼓判を得て、俺は燃える壁をぶっ壊していった。
 近接戦闘レベル9、そして破壊王。
 それらのスキルが仮想空間を通して、電子戦(物理)に変換される。

 壁を粉々に割って進むと、更に扉があった。
 こちらはすぐに開いた、中は図書室のようになっていた。

 本の一冊をとって開く、新聞社の社員のパーソナルデータだった。

「よし、見つけたぞ」
「持ち帰りますか、ご主人様」
「いや、ここに置いておく。二つやって欲しいことがある」
「何なりとお申し付けください」
「一つはこの中から日本人じゃない社員のを見つけ出すこと」
「出来ました」

 即答するシロ、ほんの一瞬の出来事だった。

 図書室だった中の5割の本が消えて、本棚が歯抜けっぽくなった。

「早いな」
「簡単な分類でございましたので」
「そうか。もう一つはここの存在を喧伝すること。ネットを使ってる関係のない人達に」
「了解いたしました」

 シロは身を翻して部屋をでた。
 崩れた壁を越えて、一番大本の扉の外まででた。

 そこで――

「らっしゃいらっしゃいらっしゃいへいらっしゃい!」

 と、八百屋の様な呼び込みをはじめた。
 スキル幻想空間、シロのこの読み込みがどういう風に、コンピュータとかネットワークとかの行動に変換されるのかちょっと興味があった。

「じゃあ後は任せる」

 頷きつつも読み込みを続けるシロを置いて。
 俺は最後に、「sinji」とかいた紙を図書室の中に残して、仮想空間から離れた。

     ☆

 俺が持ち出して散布するよりも、セキュリティーを破ったままの状態にしておいて見られた方が効果が高いと判断した。

 最初は物好き、後に一般の人々。
 あの新聞社の大半が外国人であるということがその日のうちに知れ渡った。

 新聞社の機密情報が何故こんなオープンにって疑問がでたが、情報ファイルの中にsinji=パンドラの証明があったということで、ネット上でこの一件が加速度的に燃え広がった。

 パンドラが暴いた、ほとんどが外国人であるという事実。
 それが山木組、ひいては北大路死亡の件と結びつくまでに半日もかからなかった。

 マスコミに、かつてない激震が走った。
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