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虐げられた救世主の俺は異世界を見捨てて元の世界で気ままに生きることにした 作者:三木なずな

第二章

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08.上には上が

 女を捕まえて、首筋に手刀を落として気絶させる。
 おいおい色々聞き出さないといけないだろうが、「読心」がある限りいるでも出来るし今やらなくてもいい。

 当面の問題は――。

「どうして分かった……と聞いてもいいのだろうか」

 複雑そうな顔をする涼介の当たり前の質問に答えるのが先だ。

「風間さん……」

 志穂のつぶやきと、ハラハラしている顔が見えた。
 俺の能力、異世界帰りのチートは基本秘密だ。

 第三者には内密に、と志穂に口酸っぱく言ってる。

 それをどうするのか、ってハラハラしてる顔だ。

 改めて涼介を見た。
 時価総額一兆円超の前森グループ、その関連企業の社長で一族の人間。
 こういう人間は……。

「心を読んだんだ」
「――っ!」

 志穂が息を飲んだのが聞こえた。
 手をかざして安心させつつ、涼介向き合う。

「心を……読む」
「ああ、そうだ。彼女の心の声でスパイだって分かった」
「そんな馬鹿な……心を読むなんて、そんな事が……」
「俺が人を超越した力の持ち主だって分かってたんじゃないのか?」
「それはそうですが……それにしても心を読む……そんな事が可能なのか……」

 信じられない表情、ものすごい怖い物を見てしまったような顔をする涼介。

「信じられないって顔をしてるな」
「有り体に言えば。そんなのが出来てしまったら……」
「証明は簡単だぞ? やってみるか?」
「やってみるって……どうやって?」
「簡単だ。今からしばらく黙ってればいい」

 涼介は眉をひそめた、そして。

『そうか、私が心の中で思っていることと』
「そういうこと。それと会話が成立すれば証明になるだろ?」
「――っ!」

 盛大に目を見開かせて、息を飲む涼介。

『本当に読めている……のか?』
「なんだったら固有名詞を頭で考えればいい。今までのはまだ表情を読むのでも成立するラインだ」
「……いや、もう十分だ」

 軽くため息をついた涼介。

「認めざるを得ないようだ。今でも信じられないが」
「まあ、そんなもんだ」
「か、風間さん」
「うん?」
「どうして話したんですか?」

 おずおずと聞いてくる志穂。
 当然の質問だな、彼女には「内密に」って言い続けてきたんだから。

「この人は頭がいい、そして地位もある」
「はあ……」
「そういう人間はこういうことを無駄に吹聴しないもんだ。本気で『百害あって一利なし』なんだよ」
「そうなんですか!?」
「大企業の社長が『この人読心能力者です!』って言いふらして得するパターンって思いつくか?」
「え? うーん……」

 首をひねって考え込む志穂。
 うんうんと唸った後。

「ない、ですね」
「だろ? それにだ、俺の読心能力、俺が協力しなければ第三者に証明のしようが無い」
「あっ」
「言いふらしたところで俺がすっとぼければ、狼少年になるのがオチだ。だから話せた、この人は言いふらさないって確信したからな」
「複雑ですよ。今でもまだ信じられない。いや、気持ちでは受け入れきれていない」
「せっかくだ、もう一つ見せてやる」
「……」

 眉をひそめて何が出てくるのか、と身構える涼介。

-----スキル-----
スキルポイント:27/999

取得スキル(12/∞)
近接戦闘LV7
遠距離戦闘LV4
攻撃力アップ(回避)LV6
先制攻撃
透明人間LV2
カウンター
必要ポイント減少(80%)
スキルポイント増加(200%)
完全翻訳
自由訪問
金銭ドロップ
読心
-------------

 スキルを確認して、透明人間をつかった。
 透明人間レベル2、姿を二十秒消せるスキル。

「なっ! き、消えた?」
「ちなみにここにいる」
「声が!? 姿を消しているだけ?」
「そういうことだ」

 戦闘ではなく、ただ見せただけ。
 何もしない二十秒間はあっという間に過ぎて、俺は再び涼介の前に姿を現わした。

「なんという……心を読む上に、姿まで消せるとは……。あなたという人間を過小評価しすぎていたようだ」
「あの……風間さん」
「どうした志穂」
「そんなに色々見せてもよかったんですか? その……」
「志穂さん、だったかな」

 俺が答えるよりも早く、涼介が志穂に話した。
 あきらめが少し混じった、半笑いの顔で。

「惜しげもなく見せられるのは、余裕で見せられるのはまだまだ切り札を残しているからなんだよ」
「そうなんですか!?」

 びっくりして俺をみる志穂。
 俺は即答した。

「ああ」

 もちろん今じゃない。
 こっちの世界に戻ってきてスキルはリセットしたから、前よりはだいぶ減った。
 それでも、時間をかけてスキルを溜めれば全部取れるものだ。

 切り札になるようなものももちろんある、透明人間や読心より強力なのも。
 スキルポイント999――本来は1250と、必要ポイント減少スキルをとっていなければ取れない超強力なものも残ってる。

「予想を遥かに上回る人だった」

 涼介は床に落ちたままの、女が落とした小切手帳を回収して、自分の懐にしまった。

「いまとなっては『空白の小切手をおいていく』も過小評価、いや失礼にあたいするな」
「俺は別に気にしないぞ。受け取るつもりもないけど」
「その器の大きさも、今となっては更に大きく見えてしまう」

「わぁ……」

 なにやら感動する志穂。
 彼女をその顔にさせたのは間違いなく涼介が持ち上げてくれたからだ。
 そんな涼介に。

「協力しようか」
「え?」
「スパイ、読心で全部いぶり出してやろうか」

 少し協力してやろうかとおもった。
 相手はスパイを放り込んでくるようなヤツだしな。
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