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虐げられた救世主の俺は異世界を見捨てて元の世界で気ままに生きることにした 作者:三木なずな

第一章

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19.指パッチン

 都内の運河、車で志穂とスレイ、二人を連れてここにやってきた。
 車から降りて運河沿いに降りると、散歩をしたりジョギングをしたり、そして釣りをしたりしている人々が見えた。

「ビンゴ」
「何か当たったんですか?」

 メイド姿の志穂が聞いてくる。
 運河沿いというロケーションでは死ぬほど目立っている志穂のメイド服。
 本人は最近これが気に入っているらしく、今日も出かけるからと誘ったが、普通にメイド服で車に乗った。

 まあ、可愛いし問題はない。

「あそこに釣りをしてるおっちゃんたちが見えるだろ」
「いますね。釣り竿を立てかけたり……あっ、一人で三本の釣り竿を立ててる人もいます。そんなに釣れるんですか?」
「わりとな。運河のっては意外と魚がいるもんだ」
「へえ、そうなんですか」
「とくにああいう鉄橋の柱、あの下は貝とかがびっしりくっついて生息してる。そこを狙って魚が集まってくるんだ」
「そうなんですね……どころで風間さん、どうしてここに?」
「みてな」

 俺は志穂を連れて、運河沿いの遊歩道、その外れに移動した。
 これからやる事は別に見られても大して構わないが、一応って所だ。

 移動したあと、あらかじめ買ってきていたビニール袋を取り出した。

「なんですかこれ……ビー玉?」
「ああ、ビー玉だ」
「どうするんですか?」
「見てな」

 ビー玉を一つ手にとって、水面を見つめる。
 こういう運河に生息してる魚って意外とよく見えるもので、少し目を凝らせばすぐに見つけた。

 俺は見つかった魚に向かって、ビー玉を弾いて狙い撃った。
 ポチャン! 水音をそれなりの水柱を立てて、ビー玉が水中に飛び込んだ。

 しばらくして魚が腹を見せて浮かび上がってきて。

 ――スキルポイントを2獲得しました。

 スキルポイントをゲットした。
 ちなみに魚を倒してもお札は待ったが、水しぶきに隠れて、凝視しなかったほとんどみえなかった。

「すごい! まるでマンガみたい」
「とまあこんな風に、狩りに来たんだ」
「狩りですか? 釣りじゃなくて」
「ああ」

 頷く俺、一応周りにほかの人間がいないことを確認してから、志穂に言った。

「昨日も言ったが、俺はちょっと前まで異世界にいた」
「――っ、はい!」

 志穂は真顔になって、俺見つめて頷いた。

「その異世界にいった帰りで持ち帰った能力、狩りでスキルポイントを溜めて、スキルを獲得する能力だ。こんな風に何かを倒すか狩る度にスキルポイントがたまっていく」
「なるほど、だからクマだったんですね」
「ああ、クマは美味しかった。あれは一体で20ポイントだった。それに比べてこの魚は一番少ない2ポイント」
「なるほど」
「驚かないんだな」

 志穂はにこりと笑った。

「今までの風間さんを見てると色々納得しちゃいます」
「……そうか。ちなみにこの事は――」
「はい。内密に、ですよね」

 志穂はイタズラっぽい笑みを浮かべた。

「私と風間さんとの秘密です」
「後スレイ……この子もな」
「そういえば、異世界の人なんでしたっけ」

 二人揃って、足元にいる子犬――スレイを見た。

「ああ、訳あって預かってる。満月の日だけ人間の姿に戻れる」
「ソウナンですか!? ほえ……」
「今の説明で信じてもらえなかったら次の満月まで待ってくれ、っていうつもりだった。さすがにアレを見てもらえば色々信じざる得ない」
「そうなんですか。それは楽しみです」

 志穂はニコニコしながらいった。

「でも人間なのにわんちゃんになって大変ですね。言葉も通じませんし」
「そうだな、しゃべれればいいんだが」
「そういえば、風間さんは心を読むスキルありましたよね。あれだとどうなるんですか?」
「……」
「え? ど、どうしたんですか? 私なんか変な事言いました?」
「いや、それは試してなかった。俺としたことがうっかりしてたって思ったんだ」
「そうなんですね」
「とにかくやってみる――スレイ、この状態で俺の言葉が分かるか?」

 足元のスレイに聞きながら、スキル・読心を起動。すると。

『わかりますワン、勇者様の言ってる事はいつも聞いてますワン』
「……」
「ど、どうしたんですか風間さん、また複雑そうな顔をして」
「いや……本当にいつも聞いてるのかスレイ」
『本当ですワン……って、会話が出来てるワン?』
「出来てるのはいいけど、なんだその喋り方は」
『どういう事ですワン?』
「……いや、なんでもない」

 深く突っ込まない方がイイって気がしてきた。
 俺は志穂に向き直って、テストの結果を話した。

「話せるみたいだ。どうやら心の声は普通に通じる」
「わあ、すごいです! わんちゃんとも話せるなんて」
「ほかの動物はどうなのかな?」

 俺は周りをきょろきょろした。
 すると散歩の老夫婦がつれている、服を着せた犬をみつけた。
 小型犬で、キャンキャン鳴きながらリードの範囲内で走り回っている。

 その子犬に読心を使ってみた――。

「ダメだ、こっちは分からない」
「スレイさんだけなんですね」
「どうやらそうみたいだ」

 意外な指摘でスレイとはいつでも会話できるようになった。
 その後、俺は魚狩り(、、)でスキルポイントを上げた。

-----スキル-----
スキルポイント:129/999

取得スキル(11/∞)
近接戦闘LV7
遠距離戦闘LV1
攻撃力アップ(回避)LV1
透明人間LV2
カウンター
必要ポイント減少(80%)
スキルポイント増加(200%)
完全翻訳
自由訪問
金銭ドロップ
読心
-------------

 当面は「攻撃力」をあげるつもりだ。
 この世界のチンピラやらなんやらだとそこまではいらなくて、特殊な状況に対応出来る特殊スキルを増やした方がいいんだが、ペインが現われた以上攻撃力をあげる必要がでてきた。

 近接戦闘は7まで言ってるから、それはひとまず後回し。
 遠距離戦闘と、回避を交互にあげていく事にした。

 現在残ってるポイントを使って、まずは両方とも3まであげた。

 そしてビー玉を使い、水中の魚を狙い撃ちにしていく。

「夏だったらよかったな」
「どうしてですか?」
「夏だったらクラゲが大量に発生してたからだ。東京の汚い運河に白いクラゲ、目立つから狙いやすいんだ」
「なるほど!」

 無い物ねだりをしてもしょうがないから、俺はビー玉で魚を、2ポイントずつ稼いでいった。

 たまに、散歩者や、ジョギングするもの達が通りかかる。
 それはつまり見られているって事だが、俺がやってる事は傍から見ればビー玉を指で弾いて水に投げ入れる事。

 なんか気になるな、でも立ち止まって見るほどでもない。
 そんな感じで大して注目を集めず、スキルポイントを溜めていった。
 弾いて2ポイント、弾いて2ポイント。

 志穂とスレイがそばにいる中で稼ぎ、まとまったポイントになったから、両方を一遍に4まであげた。

「よし、遠距離を4まであげたぞ。これならあれが出来る」
「あれって何ですか?」
「ああ、そうだな――」

 説明するよりも実際に見せた方がイイかもな、って思っていた所に。

「おー、なんだ? メイドがいるぞ」
「マジでー? うおお、マジメイドだ」
「なんだおっさんメイドつれて、ここアキバじゃねえんだぞ」

 堤防の上からロクデナシが三人降りてきた。
 三人は軽薄な台詞を吐きつつ、こっちに向かってくる。

「丁度いい。見てろ志穂」
「はい!」

 ロクデナシの出現にちょっと怯えた志穂だが、俺が「見てろ」と言ったら一変、恐怖など最初からなかったかのレベルですっ飛んで、逆にわくわく、キラキラした目をし出した。

 俺はロクデナシ三人に向かって、右手を突き出した。

「ああん? なんだおっさん」
「可愛い姉ちゃん連れてるからってはしゃいてんじゃねえよ」
「アキバ系は大人しくアキバに帰れ」

 相手の軽口を無視して、親指を中指をそっと触れあわせた。
 遠距離戦闘レベル4ならいける。

 パッチーン!

 俺は指を鳴らした。
 周りにいい音で響く、綺麗な指パッチンだ。
 次の瞬間、ロクデナシの一人が倒れた。

 直前に白目を剥き、気絶して崩れ落ちた。

「なっ――おいタクどうした」
「何ふざけてんだよ」

 残った二人は慌てた、俺は志穂に目配せして、更に指パッチン。
 今度は二連続、すると残った二人もパタパタと倒れた。

「えええええ!? い、いまのってそういうこと……ですよね」
「ああ、そういうことだ。遠距離戦闘、レベル1で指弾を飛ばせるが、3か4あたりで指パッチンでも衝撃波を出せる様になる。今のレベルだと威力はパンチ程度だがな」
「すごーい……指パッチンで人を倒せるなんて」

 志穂は尊敬の眼差しを俺に向けた。
 レベル9になると指パッチンだけで鉄パイプとか真っ二つにできるようになる。
 もちろんほかの遠距離攻撃も相応に攻撃力が上がる。

 ペイン対策に、まだまだレベルを上げなきゃな。
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