桜花爛漫
ふと、学生は窓を見た。
桜の花が咲き乱れていた。
学生には何もなかった。
いや、少し違う少年の周りには多くの人がいた、親しい友達もいた。
しかしそれは上辺だけということを除けばであるが。
だから正確には学生の心には何もなかった、というのが正しいだろう。
学生には夢も願望もなかった、故に空っぽであった。
学生はその空っぽの心を埋める様に勉学に励んだ。学生の本分は勉学であると親にいわれてたから。
その結果、全国模試で上位の成績を取った。
周りの人は褒めてくれたり尊敬してくれたりした。
しかし、学生の空っぽの心は満たされなかった。
学生は部活動に力を入れた。学生は部活にも力を入れるべきだと教師に言われたからだ。
故に様々な部活に入り、大会で結果を残した。
心は満たされなかった。
学生は何故心が満たされないのかわからなかった。
故に周りの人を観察する様になった。
そうすれば心が満たされない訳がわかると思ったから。
周りの人を見ているうちにその人達と交流することが多くなり、多くの経験をした。
多くを経験していくうちに学生は笑うことが多くなった。
時には深夜徘徊する事もあり、親や教師に怒られる事もあったが学生は気にしなかった。
学生は成績は落とさなかったし部活でも結果を残し続けた。そして犯罪に手を染めなかったため言われる事も少なくなっていった。
ふと、学生は窓を見た。
桜の花が咲き乱れていた。
しかし、あの時よりも美しかった。