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とある貴族の開拓日誌  作者: かぱぱん
~第一章~ 開拓の始まり
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渓谷ルート

俺達は再び渓谷を訪れた。

行きは飛竜やら兵士達の動きなんかに気を取られていたが、今回は自然の美しさに目を奪われた。

岩肌が露出した岩山に挟まれ、その間にびっくりするほどの透明度を誇る川が流れている。

所々、思い出したように生えている灌木が、味のある景色を演出していた。。


一応、川に沿ってアインシュタインとラドマンが道を拓いたので、六頭立て馬車が二台ぐらいなら並んで通る事ができる。

今後、さらに拡張する予定だが、何年も先の話しになるだろう。

この景色は今だけのモノになる。


「フィリップ。」


呼ぶと、すぐにフィリップが馬を寄せてくる。

今回はナヴァレがいないので、前回よりも早く渓谷を抜けられる筈だ。

抜けた先に、ドワーフの長が待っている。


「何かございましたか。」


「心を打つな。自然と言うのは。」


言うと、フィリップは微笑んだ。


「アルマンド様には、よろしいのでしょうな。随分と長い間、苦労されましたし。」


こういった、ただの雑談をしたい時、フィリップはどこか哀愁を漂わせる。

何かを慰めるような、そんな感じだ。

それが、俺の中の何かを、癒す時がある。


「奴隷だった時、周りを見る余裕なんかなかったからな。あそこも、山の上だったから何もなければ、良い景色が見れたと思うんだが。」


「私は、山は懲り懲りですよ。恵みをもたらしてはくれますが、山は人を内に向かわせますので。」


あぁ、そうだった。

フィリップは山奥に逼塞したんだったな。

きっと、思い出したくない事の一つや二つ、あるのだろう。


「山の暮らしは、長かったか?」


「どうでしょうな。長かったような気もしますし、あっという間だった、と思う時もあります。」


「わかるよ。俺も似たようなもんだ。そういえば、山から連れ帰った連中は、どうしたんだ?」


「ほとんどマンシュタインにつけてしまいました。サルムートぐらいでしょうな。今使える者は。いずれ、その者達にも仕事を割り振るつもりでおります。」


「そうか。」


その辺は、任せておけば良い。

俺に会わせようとしないので、重要な仕事を任せるほどではないのだろう。



俺達は、二日と半日で渓谷を抜けた。

飛竜に二度ほど襲われたが、行きと同じくほぼ被害なし。


まったく、数の暴力とはエグいものである。

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