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とある貴族の開拓日誌  作者: かぱぱん
~第一章~ 開拓の始まり
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開拓会議その2

さて、次はこちらの現状だ。


「フィリップ。」


言うと、フィリップが話し始める。


現在、エンリッヒ家の資産は白金貨に換算しておよそ一千六百万枚。

今年度は既に白金貨四百万枚の大赤字である。

現金は、白金貨四百万枚しか残っていない。

開拓に必要な人間や物資にだけ費やした訳ではなく、商いの中で資産を増やそうと、色んな所に融資したり直接商売したりと、この辺はフィリップが詳細を把握している。

話し出すと日が昇るまで話し続けるハメになるので、今回は省略された。


他にも、ダルトンが、エンリッヒ侯爵家の御用商人候補を密かに探している。

食料品、薬品、魔道具、骨董品、武具に強い商会を、それぞれの分野でうちの御用商会にする予定である。

このうち、うちが買い求めるのは食料品だけで、残りはこちらが売る側である。

薬品は、王国の他の地域では希少な薬草が、うちの領内に自生しているのがわかっている。

これを栽培し、薬品に加工もしくは薬草そのものを販売する。


魔道具と骨董品は、俺が古代遺跡を掘り当てた際に売りさばくルート確保の為である。

家臣達は、本当に見つかるのか、と半信半疑だが、俺は絶対の自信がある。

時間はかかるだろうが、必ず見つける。

人類の文化的痕跡がない方がおかしいぐらいなので、最低でも赤字は出さない程度には稼げる筈だ。


武具に関しては、既にうちの領地には鉄鉱山や銅山、果ては金山や銀山も、と鉱物資源が豊富である事をシュナが確認している。

常に南北の国境で戦線を抱えている王国では、武具の需要は大変なものだ。


こんな感じで、資金に関しては減ってはいるが、どうにかなる目処はついている。


次は、ドワーフである。

これについては、今やドルーアン一族から何名、どういった職人を、どんな条件で、と言うところまで話しは進んでいた。

後は、向こうの長と俺が話し合い、全ての決定をすれば良い。

確定ではないのだが、これで開拓のスピードが劇的に上がる事、渓谷ルートの安全が増す事が予想されている。


「これで、他の貴族の援助が受けられれば、言う事はないのですがね。」


フィリップが嫌味を言ってきた。

悪かったな。付き合いが悪くて。


ちなみに、ラフィット家からは援助の申し出があったが、断った。

これ以上、世話になるわけにはいかない。

今度は、こちらが流す物資で多いに儲けてもらいたいものだ。


「言っても仕方ないだろ。俺は、あぁいう奴らは苦手だ。」


言うと、マンシュタインが苦笑した。


みんな、去年の今頃は、まだ俺が奴隷だったって事忘れてないか?

貴族同士の付き合いなんて無理に決まってんだろ。


その後、細かい話を少しして、会議は終わった。



少し遅くなったが、昼飯の時間だ。



「大したモノはありませんが。」


マンシュタインはそう言っていたが、中々美味かった。


村の広場までみんなで歩き、そこで締めた羊が昼飯だった。

肝臓やら心臓やら、食える臓物は洗ってから鍋で塩と香辛料で、芋と煮込み、肉も香草をふりかけて丸焼き。

めちゃくちゃ簡単な料理で味付けもシンプルだが、こういう味付けの方が、俺は好みだ。


普段、うちのシェフが作る料理も美味いっちゃ美味いんだが、なんというか、堅苦しい。

見た目から料理は味わうんですよ、と言わんばかりの盛り付け。

深みこそ至高、と言わんばかりのやたらコクのある味付け。

スープも具は種類が多ければ多いほど味わい深いとか言いたいんだろうなってぐらい、色んなものが入ってる。


いや、マズくはないんだよ?


ただ、料理の方向性が常に一方通行なので、飽きるのだ。


久々に食べたシンプルな肉料理に俺は満足だ。今度、こんなの作ってくれと、だだをこねてみよう。


エリーゼに。

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