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とある貴族の開拓日誌  作者: かぱぱん
~第一章~ 開拓の始まり
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宴の後で。

パウロは当家一の酒豪である。

俺もそこそこ飲める方だが、パウロには敵わない。

オーガスタ神、キートス、ハリーが三人がかりで潰そうと飲み勝負を挑んでいるが、一歩も引かずにビールを一気飲みしている。

と言うか、飲むか食う事しか頭にないのか、こいつらは。

まぁ、放っておこう。

関わると俺まで潰されそうだ。


フィリップとシュナは何やら話し込んでいた。

二人共、お喋りばかりで飲む量も食う量も非常に少ない。

俺が勧めると、フィリップは歳のせいで、シュナは任務の為に日頃から食事量を制限しているそうな。


俺はこの二人の三倍は食う。

奴隷だった頃の習慣か、食えるものなら出された分、腹に詰め込んでしまう。

おかげで、最近ちょっとお腹の肉が気になり始めたので、従士達を相手に武芸の稽古したり、素振りしたりして運動するようにしてる。

その分、食う量も増えたので、効果の程は不明なのだが。



そんなこんなで楽しい時間を過ごし、宴は第二部に突入した。

会場は庭に移り、パウロ達が仕留めてきた猪と鳥型魔物の丸焼きをみんなで食うのだ。

屋敷にいる使用人や従士達も含めた、みんなだ。

全員に配るとなると、ちょっとしかないのだが、まぁ他にも料理はたくさんある。

警備の当番以外に酒も配られる。

そこからは結婚式の時のように、お祭り騒ぎだ。


ハリーとキートスは早々に地面に転がされていた。

初っ端から一気させられてたしな。

むしろ、今までよく頑張った。


オーガスタ神とパウロは向かい合って地面に座り、まだ飲んでいた。

その周囲には大量の酒瓶とジョッキが転がっている。

どうやら、戦いは一騎打ちに移行したらしい。

使用人達は二人が飲み干す度に、喝采を送っている。


フィリップは使用人や従士に声をかけて回っていた。

いくら無礼講でも、羽目を外し過ぎないよう、見回ってるんだろう。

色々と話したい事はあったが、明日にして今日は退散する事にしよう。


禁酒中のエリーゼに、そろそろ我慢の限界がきそうだ。


「みんな、今日は祝いの宴だ。俺とエリーゼは先に部屋に戻るが、皆は好きにやってくれ。」


主賓がいなくなるのもどうかと思ったが、そろそろ良い時間だ。

妊婦に不規則な生活はよろしくないと、前世で聞いたような気がするし、主がいない方がみんなも緊張しなくて済むだろう。


俺とエリーゼが部屋に戻ると、シュナが控えていた。


「殿、少しお話ししたい事がございます。」


「明日じゃダメか?」


「日が昇る前に、この屋敷を出ねばならりませんので。なるべく、手短に致します。」


俺はエリーゼに先に寝ておくように言って、俺の執務室に場所を移した。


「で、どうしたんだ?」


俺が席に着くと、シュナが話し始めた。

相変わらず特徴のない顔だ。


「山脈に住まうドワーフと繋ぎをつけました。今後の関係がどうなるかわかりませんが、少なくとも話しをする事は可能です。」


ドワーフ。

山や地下に住まいを作る亜人種族で、身長は人間の半分ほどだが、横幅は倍。

総じて毛むくじゃらで、怪力であり、体重は150kgほどが普通だ。

金銀財宝が好きで、それらを発見、採掘、加工する技術はこの世界では、他種族の追随を許さない。

また、対魔物での戦闘を得意としており、それには対竜戦闘も含まれる。

もちろん、大の酒好きであり、人とは格が違う肝臓の持ち主達でもある。


味方になるのであれば非常に心強い。


「なるほど。で、氏族は?」


亜人は、人間のようにどこにでも集落を築ける訳ではない。

エルフが金属に触れられないように、ドワーフにも欠点がある。


一つは、気難しい職人気質だ。

個人差はあるものの、これはすべてのドワーフに共通する。

彼等の多くは、新しい鉱脈を見つけたり、新しい作品を作り始めたりすると、基本的に自分達の住処から何年も出てこない。


二つ目は、アルコールが彼らにとって、必須栄養素である事だ。

いつでも基本的に酔っ払っていて、真剣な顔をするのは自分がやりたい事をやっている時だけ。


エルフよりはマシではあるものの、付き合うのが難しい種族ではある。


ドワーフ達は気に入った土地を見つけるとそこに住処を作り、何百年もそこに留まり一つの集団を形成する。

人間はそれを氏族と呼んでいて、比較的付き合い易い氏族は、割と名が知られている。


「残念ながら、ドルーアンと言う記録に残っていない種族でありました。」


「まったく情報なしか。」


まぁ、ないもんは仕方ない。

明日、会議にかけるか。

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