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とある貴族の開拓日誌  作者: かぱぱん
~第一章~ 開拓の始まり
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痴話喧嘩×生命保険×昔の馬

目が覚めると、俺もエリーゼも真っ裸でベッドにいた。

まぁ、いつもの事なんだが、途中から記憶がない。

ワインを飲んでいたソファに目をやると、大理石っぽい石で出来た机に、ワインが三本並んでいた。

気付かない内に、結構飲んでいたようだ。

頭が痛い。


俺が起きるとエリーゼも目を覚ます。

エリーゼにおはようのキスをすると、ちょっと顔が赤くなる。

最近は、恥ずかしがる事もなくなってきてたので、首を傾げると


「昨日の事、覚えてる?」


え、俺、なんか変な事した?


いやいや、そりゃ前世ではそれなりに経験あったし、AVと言う知識の宝庫もあったので、俺はそれなりに変態だが、エリーゼに対してそんな事は一切していないし、するつもりはない。


「あんな事、どこで覚えたの?」


え?


まさか。


「娼館とかには行かない。うちの使用人とはそういう関係にならないって約束したよね?」


何か言わなきゃいけないんだが、言葉が出てこない。

口を半開きにして固まってると、エリーゼはバスローブを着て部屋を出て行った。


これはヤバイ。


慌ててバスローブを着て使用人を呼び、エリーゼを見つけて、ちゃんとした服を着せて此処に呼ぶように命じて、俺もちゃんとした服に着替える。


貴族は服を使用人に着させてもらうやつも多いらしいが、俺は自分で着る派だ。

ついでに、服は絹製ではなく木綿。

小さい頃からの拘りは現在でも健在である。

ハリーは、事あるごとに絹にするよう言ってくるが。


エリーゼはちゃんと戻ってきた。

物凄く不機嫌そうな顔をしていたが、そんな顔も、新鮮で可愛いと思ってしまう俺は重症だと思う。


「なにニヤついてんのよ。」


ビクッとするような声で、エリーゼ。

こりゃ相当怒ってんな。


「すまない。だが、エリーゼ、君は勘違いしている。」


「なにを。」


「俺は、浮気はしてない。娼館にも行ってないし、使用人にも手を出してない。」


「じゃぁ、なんで謝るのよ。」


「勘違いさせたのは、俺だからさ。あと、思いの外そういう顔も可愛らしくて。」


そう言うと、エリーゼの顔がちょっと動いた。

多分、自分もニヤけそうになったんだろうが、我慢したんだろう。

だが、顔が耳まで赤くなってるので、バレバレである。


ぶっちゃけ、チョロい。


それから俺は、着替えている間に考えたストーリーを話し始めた。

小さい頃、誕生日にもらった仔馬に会いたくて夜に部屋を抜け出して馬小屋に行っていた事、その時偶然、使用人が行為に及んでいるところを見かけた事、その時のプレイが非常に変な方向に情熱的だった事、それを何度も見かけた事、相手の女性は凄く良さそうだった事etc…


最初の馬小屋の下り以外は全部嘘だが、即席で考えた割にはスラスラ喋れた。

こんだけ喋ったのはいつ以来だろう、と言うぐらい喋った。


「嘘ね。」


あ、やっぱダメか。


「あぁ、でも、浮気はしてない。ハリーか護衛の誰かに聞いてみたら、わかると思うよ。」


ハリーも娼館に行く事や、使用人と関係を持つ事には否定的だ。

とにかくめんどうな事が起こり易い事と、余計な金がかかる為だ。

もちろん、使用人をまとめる立場にあるので、そういった事にならないよう、様々な工夫をしている。


また、護衛達は屋敷を一歩でも出れば必ずついて来る上に、みんな口が軽い。

余程の機密でない限り、良い酒でこいつらから情報が買える。

まぁ、たまに厄介事になって、後始末させられるシュナの部下からは嫌われてたりするが、今回はそれが幸いした。


ハリーと護衛達の証言により、俺の無実が証明された。


エリーゼは謝ってきたが、どこで覚えたのか、と言う謎は残った。

可愛いエリーゼを見る為に妄想していた、と言う事にした。

あと、酔っ払ってて何したか覚えてない事も伝えといた。

俺が何をしたのか、エリーゼに聞いても恥ずかしがってくねくねするだけだった。



これからは、色んなプレイを楽しめそうだ。



さて、朝からそんな痴話喧嘩をした俺だが、昨日の報せの事が頭から消える訳もなく、午後からハリーに相談した。


ゲーリングの遺族に何かできる事はないか、と聞くと、彼の遺族は老いた母と奥さんだけで子供はいないそうだ。

とりあえず、一生困る事がない額の白金貨と未亡人になった奥さんの再婚相手を探すよう言うと、渋い顔をされた。


曰く、そんな事は異例であり、当面の生活に困らないぐらいの金貨を渡しても泣いて感謝して当然。

また、再婚相手を探そうにも、ゲーリングの遺族と俺の関係は、ゲーリングが死んだ時点でないも同然で、そんな事をすれば俺が妾にしようとしているんじゃないかと誤解される可能性もあるとのこと。


子供がいたら、その子をうちで雇って将来的にポストを与えるとか出来るが、いないのならこちらで出来る事はほぼないそうな。


とりあえず、ゲーリングの遺族に金貨を送るように言って、俺はキートスの執務室に向かった。


「うちで雇った者が死んだ場合は、彼らの家族の生活を補償してやりたい。だいたいどれぐらいかかるか、一度試算してくれないか。」


どんだけ時間かかると思ってんだこのバカ、みたいな事をもっと優しくした言葉で言われたが、拝み倒した。


ついでに、デープインパクトを購入して欲しいとお願いしといた。

今朝、言い訳ストーリーを考えた時に思い出したのだ。

親父が買ってくれた馬の事を。

多分、うちが潰された時、どっかに売られてる筈だ。


これも、どんだけ手間かかると思ってんだよオメー俺を殺す気かボケ、と言うような事をちょっとだけ優しくした言葉で言われたが、拝み倒した。


キートスはなんだかんだ文句を垂れる事はあるが、根は良いやつだし、いわゆる断れない性格なので、こうやってよく無理をお願いしている。


ちょっと前まで間違ってもこんな事お願いできなかったが。

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[気になる点] >最初の馬小屋の下り以外は全部嘘だが この「くだり」は「件」と書きます。
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