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とある貴族の開拓日誌  作者: かぱぱん
三章 〜心と領地〜
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神話と未来。

自室に戻り手に取ったのは、神話を描いたものだ。

何もない世界に、空と陸と海を創造した事から始まる、神と始祖の物語。


その神は、溶岩で竜を、木でエルフを、鉄でドワーフを作った後、最後に泥で人間を作り、陸には生命を、海には死を与えて、彼らを自らの世界に住まわせた。


やがて、神に作られた始まりの四人は、争いを始める事になる。


最も力があり、誇り高い竜。


最も賢く、慈愛に満ちたエルフ。


最も器用で、豪気なドワーフ。


全てを求める、欲深い人間。


四人は激しく争い、神が創った陸は4つに分かれ、空も昼と夜に分かれてしまった。


悲しんだ神の涙は、やがて川と湖になる。

神の悲しみに、己を恥じた竜は死を求めて海の奥底へと旅立ち、エルフは自らを森に、ドワーフは山となり、陸には人間だけが残った。


一人きりの、永い孤独に耐え兼ねた人間は、神に許しを願ったが、二つに分かれた空の内、人間が眠る夜に身を隠した神に会う事は叶わなかった。


だが、諦めなかった人間は、眠る事をやめ、日夜問わず毎日のように神に嘆願を続け、ついに人間の願いは神の耳に届いた。


神は、人間のもとに他の者達を呼び集め、共に暮らすように諭し、それぞれに伴侶と魔法を創造した。


始まりの竜には、青の鱗を持つ竜と、海と死を支配する水の魔法を。


始まりのエルフには、緑の髪を持つエルフと、木々と共に歌う風の魔法を。


始まりのドワーフには、赤の手を持つドワーフと鉱石を溶かす火の魔法を。


そして、始まりの人間には、黒の瞳を持つ少女と、大地を支配する土の魔法を与えた。



それぞれの伴侶を得て、かつての仲間と再会した彼等は仲睦まじく暮らしたと言う。



だいたいの内容は、こんなもんだ。

この神話は、世界に流布している神話をまとめ、信憑性の低い話や、後世の逸話と混同されているようなものを排除したモノで、成立は一千年ほど前と言われている。


俗に「暁の時代」と言われるこの物語の後、始まりの四人の子孫達が争い、突如現れた魔族や魔物が世界を席巻する時代が訪れる。


「黄昏の時代」だ。


その後、始まりの四人の直系が事実上途絶え、混迷を極めた人類に勝利した魔族や魔物が世界を支配する「暗黒時代」を経て、決起した人間が魔族を滅ぼし、現代に至る。



この神話の痕跡は、各地に残っている。

最もわかりやすいのは、今まさに俺がいるエンリッヒ領だ。


シュナの一党による測量の結果、概ね中心に向かって標高が低くなっている事が分かっている。

西半分は未踏の地である為、詳細はわからないが、似たような傾向にあるだろう。

等高線を描けば、まさにクレーターそのものである事がわかる。


また、各地で発見されている遺跡も、暁の時代に属するか、暗黒時代の最初期あたりのモノだと、俺は考えている。


無論、この神話を裏付ける遺物は世界に散らばっており、地球のようなただの物語ではあり得ない。


この世界の神話は、歴史なのだ。

ロマン溢れる歴史だ。


地球でも、オーパーツだのなんだのと言われていたが、大概が偽造であったり、ただの無知からくる噂の類がほとんどだった。


いつか、俺の領地が落ち着いたら、のんびりと研究しても良いかもしれない。

かつて、日本で学んだ知識が、どれほど役立つかはわからないが、歴史研究は学問の中でも手法の革命が、ほとんど起こらない学問だ。


きっと、侯爵をやってるよりは、上手くやれるだろう。

お久しぶりです。


ついに、父親の会社を手伝う事になり、多忙な日々を言い訳に、執筆を遅らせておりました。

お待ち頂いた方々、申し訳ありません。


また、来月から東北復興の為、家を建てまくってきます。

人出がまったく足りず、数年がかりになるそうで、やはり忙しく、もしかすると終わった後には、熊本へ、と言う事もあり得ますので、更新は期待できません。


30歳を目前に、土方一年生となりましたが、ちょっくら頑張ってきますので、気長にお待ち頂ければ幸いです。

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