翌日になり、カイは重たいまぶたを開けた。
「ねむっ・・・・・・・いま10時かよ」
寝すぎた、それほど疲れていたのだろう。
「ゲイルは・・・・・・いない。退院は1時って言ってたからまだ時間あるな・・・・・・」
病院というのは時間の進むのがとても遅い。実際に遅いのではなく、やることがないので遅く感じてしまうのだ。
「誰か見舞い来ないかな~」
スバル達は来ないだろう。親は論外だ。来ることはもう人生で無いだろう。
暇だ、暇すぎる。やることがないのは人生で3番目くらいに嫌だ。
「誰か~」
その時、カイの病室の前で誰かと待った。今更だがカイの部屋は個室だ。だからカイ以外に用がある人は来ない。
「ここか」
入ってきたのは男性。どちらかというともう「おじさん」の部類に入る年齢だ。頭にはサイレンらしきものが乗っている。
「あなたは・・・・・・・・・」
「久しぶりだね・・・・・・カイ君」
男性、五陽田はカイにそういった。カイは少し驚きの表情を浮かべたが、すぐに元に戻った。
「そうっすね、五陽田さん」
「最後に会ったのはいつだったかな?」
最後、今回で3度目だからたしか前は・・・・・・・・
「去年の・・・・・・秋でしたね」
「秋・・・・・そうだったね、この年になると物忘れが激しくてね」
その言葉に少し笑顔を浮かべる。これも冗談だということは分かっていた。
「で、なにが用ですか?」
あまり時間は取りたくなかった。さっさと終わらせたかった。
「・・・・・・君は何をしているんだ?」
「何って、こんな怪我をする無茶ですかね」
笑って言う。けれど目は笑っていない。作り笑いだ。それも簡単に見破られる。
「君はそうやって生きてきたんだろうが・・・・・・そういうことをやめたほうがいいんじゃないのか?」
「あなたは俺の正体を探りに来たのだから、そういう話はやめません?」
探りを入れられるのは分かっていたが、まさかここでこの人とは。まあ、それを分かっていてサテラポリスも送ってきたのだろう。
「では、君のウィザードを見せてくれないか?」
「残念ながらいませんよ、どっか行きました」
それは真実であって、揺ぎ無いもの。事実とは一番強い。どんな濡れ衣を着せられようと、事実だった場合はほぼ勝つ。それだけ強いのだ、事実とは。
「そうか・・・・・・なら後日署に来てもらうしかないな」
「マジすか・・・・・・」
正直面倒臭い、それだけにつきる。なんでわざわざ怪しまれたくらいで行かなければならないのだ。
「すまないね・・・・・君も知っているシルバー・ウィンドが『ガイア』の一員だと分かってサテラポリスも血眼になって捜索しているらしくてね。それで君も容疑者に挙げられてしまったんだ」
「・・・・・・まあ、なにもなければ大丈夫なんでしょう?」
「ああ、それは保障するよ」
そうでなければ困る。何も罪も無い人間が牢屋に入るなどあってはいけない。
「それでだな・・・・・・なにかせっかくだから話でもしないか?」
「・・・・・そうっすね、なにがいいですか?」
「君の・・・・・・・過去を話して欲しい」
「う~ん・・・・・・別にいいっすけどあまり広めないでくださいね?」
ああ、と五陽田は言う。しょうがないとばかりに話し出した。
「え~っと、あれですよね? だったら・・・・・・・たしか2年前の夏休み前、7月13日の夜11時の時───」
そして、あのときのことを話した。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。