シルバー・ウィンドとソロの対決から一週間、その間は何もなく平和に過ごしていた。
「なんか理科の勉強で疲れちゃった」
「俺はだるい~」
そういう二人、スバルとカイは疲れていた。まあ、この一週間いろいろあったらしい。
「おいおい朝からそんなこというなよ、こっちまでそんな気がしてくるだろ?」
呆れ半分にジャックはそういう。まあ、彼の顔にも学校生活でのストレスがにじみ出ていた。別に皺があるわけではないのだが、やはり疲れているのがよく分かる。
まあ、それが学生の一番の悩みなのは言うまでもない。彼らが通る道だ。
「だるい だるい なんかだるい~ だるい だるい なんかだるい~ だるいだるいだるいだるいだるいだるいだるいだるいだるいだる~い メッチャだるい」
「なにそれ! そんな替え歌聴いたこと無いよ!」
ちなみに本当の歌詞は、「行こう 行こう 湯の国へ……」だったりする。作者の友達Aが好きな歌、彼が作った最高の歌らしい。聴くとやる気がなくなるのは言うまでもない。このせいで彼のテスト勉強の時間は大きく削がれ、さらにやる気も奪われた。
「そんくらいだるいってこと」
「こっちまでだるくなってくるよ! やめてくれ!」
横でギャアギャア騒がれるとうるさいのだが、あえてスバルは言わなかった。理由は簡単、なんか言うのがだるく感じたからだ。
「で、ここで話なんだがよ」
ジャックはあまり聞こえない声量でスバルに話しかける。どうやらカイには関係の無い話のようだ。
「この一週間、事件があんまねえんだよ。博物館が炎上したとかあったけど、あれは特に関係なさそうだし。『ガイア』、なにか大きなこと企んでんじゃねえのか?」
たしかにそうかもしれない。ここ最近はほとんど事件があったが、今週は無かった。ということはそれだけの時間を使って何かをしようとしているのではないか。
「お互い気をつけようぜ、とくにおまえは何かされそうだし」
「うん、お互いがんばろうね。絶対、この幸せな生活を壊されたくないから」
ああ、といって二人別れては席に着く。
「結局、誰も分かってないんだよな……」
カイの一言は、誰も聞こえなかった。
ようやく無事学校の授業は終わった。カイは、なぜか急ぎの用があるとかでさっさと帰ってしまった。彼が宿題を真面目にやったのだからクラスのみんなから驚きの声で教室が響いた。
「今日は雨でも降るのかな」
「雪かもしれませんよ?」
そんなことを言うとカイに怒られそうだが、構わずにみんなは帰り道で喋る。
「まあ、そんなことは置いといて。スバル君体は大丈夫なの?」
「うん、おかげさまでもう大丈夫だよ」
「そう、しっかりしなさいね? あなたはヒーローなんだから」
そうルナに言われると、やっぱり自分はヒーローなんだな、と自覚する。普段のほほんと生きていると、そういうのが分からなくなってくるのだ。
「僕はかげながら応援していますから!」
「俺はスバルの援護をするぜ!」
「……ありがとう」
なんだか照れくさかった。友達にそんなに頼りにされると、誰でも嬉しかったりする。
本当に、こんな生活を壊したくないと願った。
「ぜったいに、守ろう」
夕日に照らされる街の中で、スバルは呟いた。
「大悟さん、大変です!」
ふいにWAXAの研究員が声を発した。その言葉を聞きつけて大悟はすぐさま研究員の元に走る。
「TKシティに、『ガイア』と思われる電波体が出現しました!」
「なんだって? それは本当か?」
司令室がそうぜんとなった。すぐさまその電波体の正確な位置を掴もうと研究員がコンピューターに向かう。そして巨大なモニタにその電波体の姿が映し出される。
「これは……」
映し出されたのは赤い魔術師のような電波体、そしてその背景に場は声を失った。
火だ。火の海だ。建物など見えない。ただ背景には火だけが映っていた。どんなことをしたらこうなるのだろう。ただ、赤い魔術師と劫火だけが映されている。
「正確な位置は!?」
「ロッポンドーヒルズと思われます。え……『ガイア』が周波数変換でどこかに移動しました。追跡できません!」
「サテラポリスに連絡しろ! すぐさま消火に向かわせるんだ!」
誰がこんな状況を予想しただろうか? 誰がここまで強大な敵だと思っただろうか? 誰がここまで、自分達は無力だと実感するはめになると分かっただろうか?
何もできない非力な研究員達は、ただその劫火を見ていることしか出来なかった。
ちなみに最初のほうの歌は常磐ハワイアンセンターの歌の改造版です。これ聴くと本当にやる気なくなります。
では、感想待ってます!
あと2章でこの小説も完結だ! がんばるぞー!
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