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大人と子供の奮闘記 作者:蒼井七海

第二章 雨の町事件

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06.恐れと恨みと陰謀と

 町長の家から出た後――
「怖っ! めっっっちゃ怖っ!!」
 アレンは息を荒げながら言った。それを見て、ルークは先程の話を思い出す。
 なんでもキトの住民は、元々他と比べると魔術師に対する差別がひどい町だったらしい。それに拍車をかけたのは、二年前の――町に訪れた魔術師が、悪酔いして町の人を攻撃したという事件だった。それから町は魔術師の取り締まりを厳しくした。それでも恐怖がおさまらない人々は、ついに町に入り込んだ彼らを徹底的に狩るという、とんでもない作戦に出たのであった。今はそのころほどひどくないが、それでも町の中で魔術師が殺されるのはままあることらしい。さらに、それを町が黙認しているというのだから驚きだ。政府の目にとまっていないというのも、また驚きだ。
「過ちと分かっているのなら、なぜあなたは止めないんですか?」
 ルークは話の後、町長に厳しい口調で問いかけた。しかし彼は、何も答えてはくれなかった。
(つぅか……魔術師嫌ってんのに魔術師ギルドに依頼出すって、おかしくねぇか?)
「オレ魔術師みたいな発言してないよな!?」
「んー?」
 ルークのもっともな疑問など気にもせずに、アレンはただ狼狽していた。自分がその魔術師、つまりは狩られる対象なのだから仕方がないだろう。子供心ながらに、本気で怖いと思っているらしい。そんなアレンに対し、彼はひらひらと手を振って告げた。
「だーいじょうぶだって。仮にばれてても、ギルドのモンならさすがに殺されることはないだろ」
「だといいけどな……」
 アレンの口調と表情には、不信感がありありと表れていた。どう反応していいものか分からず、とりあえずルークは話題を逸らした。
「に、してもなぁ。魔術師への待遇がそれじゃあ、恨まれても仕方ないんじゃないか?」
「まあ、一応依頼だしさ」
 アレンが苦笑して言ってくる。分かってるよ、と返してから自らを鼓舞するように号令をかけた。
「んじゃ、調査を開始します!!」
 返ってきたのは「おー!!」という大変元気のいい声だった。

 ガリ、ガリ、ガリ……
 その音は、静寂に包まれた大地によく響いた。何かをひっかくようなその音は規則的に響く。ただただそれが続いた後、不意に音が止んだ。すると大地に、小石が投げ捨てられる。何かで削られたような跡がある小さな小さな石。それを投げ捨てた張本人は、ただ地面を見下ろして笑っていた。
「もうすぐだ……もうすぐ…………」
 その声には、明らかな狂気が表れていた。

「さて、まずどこから調査したらいいと思う?」
 ルークはさっきからずっとひっついて歩いているアレンに問いかけた。彼は上目遣いで視線を彷徨わせながら、慎重に答える。
「そうだな……まず魔法陣か、それっぽいものを探すか」
「そこは魔術師殿のレーダー頼みか?」
 ルークが嫌味っぽく聞くと、アレンはすぐに否定してきた。
「いや。魔法陣はあくまで、魔術を発動させるための要素(ファクター)でしかないから、それ自体から魔力を持っていることはまずあり得ない。魔力を持っているのは、それを操る術者の方だ。遠隔操作でもしない限り、魔力ある先に魔法陣があるなんてことはない」
「じゃ、“在る”のは魔術師――首謀者の方だな」
 アレンは無言で肯定した。また新しいことをひとつ、この少年から学んだ気がした。何だかわけのわからない劣等感に浸るルークであった。
………それはいいとしても。
「じゃ、どうやって探すんだよ」
 魔術師殿は、
「地道に」
としか答えてくれなかった。
 グダグダ展開を避けるために、とりあえず投稿してみました。(え
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