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大人と子供の奮闘記 作者:蒼井七海

第一章 リーダーと魔術師

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03.謎の継承

 そんな具合で二年間、ルークはアレンのお守りを務めた。最初の頃はその生意気さに嫌気がさしたこともあったが、時間が経つにつれそんな気持ちは薄くなっていった。
 そしてついに、彼に転機が訪れる。
「ルーク、ルーク!」
 聞き慣れた声が耳に飛び込んできたことで、ルークは目を覚ました。どうやら本を読んでいる間に眠ってしまったらしかった。寝ぼけ眼をこすりながら顔を上げると、そこにはアレンの顔があった。
「お~……どうした、アレン」
「何か知らないけど、リーダーが呼んでるぞ。めちゃくちゃ暗い顔してたけど……アンタ、なんかした?」
 最後の一言で一気に目が覚めた。半ば反射的に叫ぶ。
「するわけあるかぁ!!」
「えぇ? じゃ、ほかに何があるって言うのさ」
「知らんわ!!」
 叫びながらも、ルークは心の底でぞっとしていた。
 今回ばかりはどうも、嫌な予感しかしなかったのだ。

 恐る恐る扉をノックすると、「どうぞ」という小さな声が聞こえてきた。現リーダーの声だ。やけに沈んでいる。息をのみながら、導かれるがまま扉を開けた。
 マルタがイスに腰掛けてこちらをじっと見つめている。ルークが「何か……?」と問うと、マルタは唐突にこう言った。
「今からはあんたがみんなを導いていくのよ」
「――――は?」
 言っている意味が分からなかった。さっぱりだ。おかげで、ルークは間の抜けた声を上げる。するとマルタは、表情を固くして続けた。
「リーダーの座を、ルーク・ガルシアに継承する、と言っているのよ」
 しばし、時間が止まった気がした。ルークは呆然と立ち尽くし、阿呆のように口をポカンと開いていた。あいた口がふさがらない、とはまさにこのことだろう。
 やがて、ぐちゃぐちゃになる頭の中の整理をやっとの思いで終え、言葉をひねり出した。
「どういう……意味っスか」
「そのままの意味よ」
 ぴしゃりと返してくるマルタの表情は、相変わらず固い。ルークは思わず詰め寄った。
「な、なんで急にそんなこと言うんですか!?  何かの冗談でしょ! 引退にはまだ早いでしょ!?」
「違うわよ。そういう問題じゃなくて」
 言って、マルタは席を立つ。

「これ以上私がここにいたら、あんたらにまで被害が及ぶ」

 そして、そのまま入口の方までスタスタと歩いていった。別れの言葉も無しに、扉に手をかける――と。
「貴族サマから、退去命令でも出たんスか?」
 ルークが問うと、マルタの動きがぴたりと止まる。これは――ビンゴだ。そこでルークは語気を強めて問い詰めた。
「どうしていつもそうなんだ? 何も教えてくれない? 誰にも、少しも話さない? どうして自分とその身うちだけで、すべての事柄を片付けようとする?」
 そこまでひと息に言ってから、止めを刺すようにこのことばを投げかけた。
「息子さんは、彼の気持ちは、いったいどうなるんだよ?」
――返答は無かった。ただ、扉を開けてそれこそ誰にも何も言わずに、彼女は去っていく。
「待てよ、リーダー!!」
 ルークがそう呼んだ所で、彼女はようやく振り向いた。しかし、その口から発された言葉は、

「もう、リーダーはあんたよ。ルーク」

 何も返せなかった。ただ、無言で立ち尽くしているしかなかった。そして、扉が閉まり、部屋に静寂が戻ってきたころにルークは一人、悪態をついた。
「ふっ……ざけんなあ!!」
 しかし、その叫び声すらもむなしく消えていくだけだった。
 ……まさに押しつけられた感じです。一応第一章はこんなもので。少ないけど!
 次章ではなんかリーダーになっちゃったルークと、相変わらず? のアレンが本格的な任務へお出かけです。
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