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大人と子供の奮闘記 作者:蒼井七海

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厄介なお仕事

 ついに来ました連載化。のんびり頑張りたいと思います。
 蒸し暑い午後。その部屋には、ペンの音と紙がこすれる音しか聞こえていなかった。均等とはいえない間隔でその音は繰り返された。
 だが……不意に音は止まった。カラン、というペンが落ちたような音を最後に。そして音を立てていた張本人は、椅子の背もたれに背中を預けて伸びをした。
「やれやれ……疲れるなあ」
 彼は呟いてから、背後の窓を見やる。透明なガラスに外の景色が映っていた。そして今日も、空は青い。
「なーんか……こういう風景を見ると懐かしくなるなぁ」
 自然に漏れたその言葉。彼は気がついてから、苦笑いした。


 初夏の晴れた日の空というのは見ていると気持ちがいいものだが、今日はそんなことよりも心の暗さが勝った。
「あぁ……ふざけんな」
 青年は呟きながら、買ったばかりの長いパンをかじる。一応歩いてはいるものの、その歩みは遅い。だが、確実にひとつの場所へと向かっていた。
 ギルド『インドラ』。
 同業者が集まって共に仕事をこなすための組織、ギルド。一応インドラは開設当初から魔術師ギルドとして扱われているが、今では魔術の素質は見込まれているが使えない者というのも多い。実はこの青年もその一人だったりする。なので、本当に魔術師ギルドでいいのかという意見も多数あるのだ。
 そしてギルドの存在をふと思い出すと、青年は続けた。
「リーダーも人使いが荒いんだよ、まったく」
 もっとも、これを『彼女』の前で言うといい笑顔でブッ殺されるので控えているが。
 考えると、ため息がこぼれた。

「あ、ルーク。お帰り~」
 どうにかこうにか辿り着いた青年――ルークを出迎えたのは、そんな間延びした声だった。顔を上げると、そこには少女のようにあどけない笑顔を浮かべた『彼女』がいて。一瞬不快そうに目を細めながらも、ルークは返した。
「ちゃあんとこなしてきましたよ、リーダー」
「始末書付きとか言わないでね?」
「毎回毎回壊しゃしませんよ!!」
 のん気な表情でそんなことを言うリーダーに、ルークは突っ込まずにはいられなかった。だから突っ込むと、彼女は声を出して笑う。嫌いではないのだが、やりにくい相手だと思った。
 思ってから改めて見ると、リーダーはにやにやと笑っていた。この人は表情がくるくる変わる。再び感想を心の奥で述べた後、何か違和感を覚えてリーダーの足元を見た。
 彼女の足に、十歳にも満たないような子供がしがみついている。
「……なんスか、コレ」
 ルークが指差して問う。するとリーダーは、再びあどけない笑顔に戻って言った。
「ああ、うん。新入りの魔術師」
「は?」
「で、」
 間抜けな声を上げるルークを無視して、彼女はとんでもないことを告げてきた――
「あんたに面倒見てもらおうと思ってるんだけど」
 瞬間、ルーク・ガルシアの一切の動作が停止した。まるで時が止まったかのような静寂が続く。そして、それが長いようで短い間続いた後――

「はああああああああああ――!?」

 その静寂を、ルークが叫び声で打ち破った。
 ストックがある限りは、一日一・二話の投稿を目標にしていきます。
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