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異世界に転生したら村八分にされた 作者:狐谷まどか

第2章 ダンジョン・アンド・スレイブ

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祝50万PV感謝&記念SS 公衆浴場で俺全裸

お色気回です。苦手な方は読み飛ばしてください。
「今日は公衆浴場に行こうと思います!」

 朝一番でおもらしを俺にたしなめられたようじょが、突然そんな事を言い出した。
 この世界の風呂と言えば、基本はたらいに湯を張って行水する程度である。
 俺はもともと日本人らしからぬ精神の持ち主で、さほど湯船につかる事に固執していなかったので、この世界の習慣には気にもとめていなかった。
 しかし、ここブルカの街にはそんな習慣があるらしい。
 いくら気にもとめていなかったとはいっても、入れるものには喜んで入浴したいものである。

「でも、お高いんでしょう?」
「キュイ?」

 バジルの体を拭いていた俺がそう質問すると、ようじょは白い歯を見せて笑った。
 ようじょはお風呂が大好きらしく、書斎の安楽椅子から飛び降りて万歳をしてみせた。

「冒険者タグを持っていれば、冒険者割引がききます! 冒険者は報奨金から税を天引きされているので特権なのです!」
「おお、噂に聞く風呂というやつか。オレ様も是非行ってみたいものだな」
「そうね、日本人ならお風呂はやっぱり気持ちいいもの」
「キィキキィイイ!」

 ようじょの興奮が移ったのか、鱗裂きのニシカさんも雁木マリも賛同する。
 でもバジル、お前は家で大人しくしとこうな。
 エリマキトカゲが湯船に浮いていると、ちょっと衛生上問題とか管理者から怒られてしまうかもしれないしな。
 俺がバジリスクのあかちゃんを寝床用の籠に入れて蓋をしようとしたところ、バジルが盛大に噛みつきやがった。
 残念でした、君は歯もないから、こそばゆいだけでした!
 大人しくしていなさい。
 おじさんはちょっと絶景を堪能して来るからな!

     ◆

 これは俺がバジリスク再討伐から戻って翌日の出来事である。
 しばらくバジリスク討伐の換金がなされないという事で暇を持て余していた俺たちが、ようじょの家でゴロゴロしていた時の話だった。
 村でも体を洗う事が許されなかった時はひどい臭いに自分自身が辟易したものだが、クエストでダンジョンに入っている時はその比ではなかった。
 なにしろ返り血を浴びたまま数日過ごせば臭いは強烈である。
 俺たちもようじょ宅にもどってから熱心に体を拭いたのだが、それでも限界があった。
 どこまでもまとわりつくケモノの臭いは、睡眠妨害である。

「ところでこの世界に来て、はじめて銭湯に行くな。村には無かったし、そもそも湯につかる習慣があったのが驚きだ」
「そう? あたしは普通にいつも利用してたけど、文明の度合いが違うから毎日というわけにもいかないけれど」

 公衆浴場なるものに向かう途中、隣に並んだ雁木マリに話しかけてみると、そんな事を言われた。
 これだよ。
 降臨した場所が違うだけで、この扱いの差だ。
 この女は女神様に愛されていて、俺は愛されてないのだろうか。

「でも久々ね、ゆっくりとお湯につかれるのは日本人ならだれもが求めている事じゃないかしら」

 両手を頭の後ろに回した雁木マリは、鼻歌でもまじりそうな勢いで天を仰いだ。
 すると、ノースリーブワンピのおかげで無防備なわきが眼に飛び込んできた。
 ニシカさんがそうであったように、雁木マリも処理をしていない。
 俺がその点に気になって俺がじっくり観察していると、

「ちょ、あんまり見ないでよ。こ、この世界では当たり前だから処理していなかったのよ。やっぱり同じ日本人として気になるの?」
「いや、ありのままでいいんじゃないか。俺はどちらかというと好きだぜ」

 何を言っているんだ俺は。
 街にやってくる途中だったか宿でだったか、ニシカさんの紫がかったわき毛を見て妙な性癖に目覚めそうになったのを思い出して、あわてて俺は咳払いをした。

「そ、そう。ありのままね」
「そうだぞ毛はあったほうがいい。俺の親父は毛が薄くなって残念がっていたぞ」
「ふ、ふうん」

 俺は適当に話を誤魔化して、公衆浴場に向かう足取りを早めたところ、

「んだよお前ぇら、何の話をしてるんだ?」
「おおう、ニシカさんびっくりさせないでください」
「や、やめてってニシカさん!」

 鱗裂きのニシカさんが、音も無く背後から俺たちふたりに腕を回してきたではないか。
 ニシカさんは身長がほんの少し俺より低いだけなので、こういう事が簡単に出来る。
 だがこの、腕を回したタイミングで勢いニシカさんに寄せ付けられてしまい、俺と雁木マリはニシカさんのたわわな胸の顔を押し付けられそうになった。
 嫌じゃないんだが、嬉しい顔を露骨にするわけにはいかない。

「ちょっと毛の話をしていました。毛は大事ってはなしです」
「何の毛だよ」
「ニシカさんのアホ毛でについてすよ」
「ばっかこれはおしゃれヘアーだ!」

 寝ぐせのついた髪の毛をなでつけるニシカさんだが、その度にアホ毛はぴこぴこ立ち上がった。

 はたして公衆浴場は、それぞれ個室の浴槽を借りるタイプの風呂屋だった。
 イメージ的にはカラオケボックスみたいなもんだろう。
 受付で風呂を借りる予約をして、それぞれ人数にあわせて部屋をあてがわれる。
 小さな旅館の風呂場ぐらいのサイズというのだろうか、たたみ六畳分ほどの浴槽と何に使うのかわからない寝台が置かれているのである。
 そして最大の問題点がひとつ。
 旅館にある家族や恋人用貸し切りの風呂を想像してもらいたい。
 当然、家族で入るのだから男女差別なく全裸である。

「おい雁木マリ」
「なによ」
「マリはこの状況、ありだと思うか」
「まあ、ここでは誰も気にしないからね。この世界は優しくないのよ……」

 当たり前の様に脱衣所で服を脱ぎはじめるニシカさんはまあ置いておいて、雁木マリもさほど気にしていない。
 ようじょにいたっては「バンザイです!」といってフリルワンピを屋敷でそうしているように、俺に脱がせる様に催促してくる。
 雁木マリの事を気遣った俺がひと事言う。

「まずいだろ」
「お前がいやらしい目線でジロジロ見なければ問題ないわ。奴隷は人間以下。奴隷に見られても犬に見られた様なもの……」

 そんな事を言いながら、背を向けた雁木マリは剣を置きベルトを外し、ノースリーブワンピを脱ぎ始めた。
 言ってはいるが、だいぶ気恥ずかしそうにしているのはわかる。
 そんな雁木マリを見ると、白い肌の背中には無数の小さな切り傷が残っていた。
 この世界の剣術をひたすら雁木マリが稽古した跡なのだろう。あおたんというのだろうか、アザも無数にあった。
 あまり見ていては俺の息子も困惑するだろうから、視線を外して自分のズボンを降ろす。
 マリは手ぬぐいで前を隠しながら俺たちの方に向き直った。
 油断していると、

「包茎……」
「うるさいよ!」

 全裸の俺を見て、雁木マリは容赦が無かった。

 さて、ひとつ驚いた事がある。
 ムキムキのゴブリンが風呂場に現れたかと思うと、俺たちを垢すりしてくれるのだ。
 サウナ室と明確に区分されているわけではないのだが、蒸気に満たされた浴槽のフロアに通された俺たちは寝台に横たわり、柑橘類の入った湯でよく湿らせた布を体に乗せられる。
 しばらくそのまま放置されて、よくわからないオイルをかけられてマッサージされた。

「どれぇ。こそばゆいですね!」
「そうですね。ちょっといろいろなところが危険信号です」

 もしこのゴブリンがおっさんじゃなければあぶなかった。
 それにしても、ようじょを熱心に洗うゴブリンはかなり問題だ。
 何しろようじょもゴブリンであるからして、このゴブリンがゴブリンようじょに公衆浴場で欲情なんて事になってしまったら大変である。
 しかしこのムキムキのゴブリンは慣れているのか、ようじょを見ても興奮はしていなかった様だ。

「お客さん、だいぶ垢が溜まってるね。たまには公衆浴場に来ないと男前が台無しになるよ!」
「いやあ銭湯に来たのは久しぶりなんですよ。へそを見てください。俺、奴隷なんで」
「なるほどお客さんは奴隷だったか。ちゃんとご主人さまに、浴場に連れてきてもらう様にしないとな!」
「どっどれぇはまだ最近買ったばかりなので、仕方が無かったのです! 文句があればどれぇ商人に言うのです!」
「はいはい。小さなご主人さまは大人しくしましょうぜ。垢すり中です」

 そんな俺とゴブリンのやりとりを見ていたようじょが、首だけ持ち上げて苦情を言う。
 凹凸のないボディの上に布を被せているのだが、オイルマッサージ中なのでゴブリンが暴れるようじょをたしなめていた。
 一方ニシカさんは気持ちよくなったのか、イビキをかいて寝ていた。
 かぶさった布の上には大きな山脈が出来ていて、とてもマッサージがしにくそうである。
 口まで開けてだらしない。
 そしてマリは、

「ちょっと、変なところを触らないでよ。そこは、やっ、駄目、でも……いっぱいマッサージしたら大きくなるかしら?」
「いやぁお嬢さん、そういうのは余所のお店で頼んでくださいよ。ウチは垢すり屋なんで」

 ゴブリンにおかしな注文をしようとして、たしなめられていた。

     ◆

 垢すりを終えて体を清めた後は、いよいよ湯船に浸かるわけである。
 モノの本によりば心臓を湯に沈めるまで体を浸すのはよくないらしいけれど、久々の湯船に入ってそんなケチくさい事は言いっこなしだ。
 俺はザバンと湯が浴槽からあふれ出るのも気にせずに肩までつかった。

「どれぇ、気持ちいいです!」
「そうですねえ、ッヨイさまこっちにきますか?」
「はい! どれぇのひざの上に座ります!」

 俺は元の世界でも独身だったわけだが、もしも子供がいればこんな事をやっていたのだろうか。
 年齢的にも三二歳であるわけで、ッヨイさまぐらいの子供がいてもおかしくない。
 もしかしたら、いいパパになれたかもしれないし、向いていなかったかもしれない。
 村に戻ればカサンドラが待っているので、子供の事も真剣に考えないと行かんなあ……
 などと考えていると、
 雁木マリとニシカさんがやって来て、片脚ずつ浴槽に浸かりはじめた。
 うん、ニシカさんデカい。めちゃデカイ。
 いいね!

 諸君、知っているか。
 おっぱいは湯船に浮かぶんだぜ?
 そんなニシカさんの爆乳を堪能し観察した後に、雁木マリの控えめな胸もしっかり観察する。
 あんまり見ていると、雁木マリが嫌そうな顔をするだろうし、続きはバレないようにしようね。
 などと考えていると息子がとても嫌そうな顔をしてもっと見るんだと訴えて来た。

「あのどれぇ、なんかお尻のあたりがゴソゴソ動いてるんですけど……」
「ふぇ?」

 油断していた俺は変な声で返事をしてしまった。
 次の瞬間に、俺は自分の息子が元気になっている事に気が付いた。

「お前、何てことをしているの!」
「いや違う。これはお前のおっぱいを見てブベッ」
「このロリコンが!!」

 諸君、知っているか。
 濡れた布は武器になる。
 血相変えた雁木マリは、十分に水分を含んだ手ぬぐいを振りかぶって俺の顔面に強烈な一撃を加えた。
 俺はそのまま意識を失ったのである。
本日おかげさまで50万PVを達成する事が出来ました。
これもひとえに読者のみなさまのおかげです!
ありがとうございます、ありがとうございます。
作者は全裸で平伏した。
+注意+
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