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異世界に転生したら村八分にされた 作者:狐谷まどか

第9章 内政の季節が到来です

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閑話 アナホール攻め 中

いったん投稿後、後半パートを加筆修正しました。
 眼の前の大熊は、裂け口を広げながらよだれを垂らして攻めかかって来た。
 振り回されるその一撃が視界に飛び込んでくると、巨大な鉤爪にたまらず恐怖してしまう。
 咄嗟に何とか背後へと飛び退ったが、トウモロコシ畑の足場は極めつけに悪くもたついてしまうではないか。

「ホンゴルルルル!」

 ガギンとミノタウロスの胸甲を鉤爪が掠めて激しい金属音を鳴らす。
 ただかすっただけであっても巨躯から繰り出される力は絶大で、俺はその場で尻餅をつきそうになった。

「若大将、どうしたんですか若大将!」
「おおっこれは、熊人間だ! 若大将が熊面の猿人間に襲われているぞ?!」
「いや熊だ、あれはどう見ても熊そのものだ!」
「グロロキンタロゴロシグヌルルっ」

「「「やっぱり熊だ!」」」

 直ぐにも槍や長剣を構えた兵士たちが先ほどの俺の駆け込んできたが、残念ながらあまり役に立ちそうもないサルワタやクワズの農民徴募の兵だった。
 倒れかかった俺と大熊を遠巻きにして、槍を向けてはみるものの騒ぐばかりで攻撃に出ない。

「何をしているのです、若大将を助け出しなさいお前たち!」
「しかし相手は熊ですよ熊……」
「巨漢の若大将より巨体なんだから、俺たちで勝てっこありませんっ」

 及び腰の農民兵たちを見て叱咤の言葉を投げかけながら、いまだにズレたタイツでもたついていたシエルは、必死の形相で畑の土中にさしていたハルバートを引っこ抜いて構えを改めた。
 そうこうしているうちに、熊は周囲の環境を一瞬だけ確認したところで、やはり俺だけに狙いを定めた様である。
 熊人間だと思った時は「相手も人間だどうにか力で対処できる」と思いもしたが、本物の熊だと思えば足がすくんで動けない。
 ええい、奮え俺の心よ!

 引き上げた剣を大熊の腕に斬りつけようとした。
 熊はその瞬間に後ろ脚で立ち上がって、それを避ける。
 返す剣で俺は及び腰になりながらも踏み込んで、その熊の胸に力任せの一撃を斬りつけたつもりだった。
 が、荒く硬い感触が剣先を通して俺の掌に伝わり、どうやら剛毛に覆われた皮膚を斬りつける事に失敗した様だった。

「ギムルさま!」
「やべえ、ベアーズハグだぜっ」
「逃げてください若大将!!」

 何が起きたのか一瞬理解するのに苦労した。
 大きく両手を広げたところから、俺を抱き留める様に死の抱擁が成されるのを呆然と見上げている。
 俺の攻撃が失敗して、不用意に近づいたことで、大熊の懐内にまんまと飛び込んでしまったらしいのだ。
 これは逃げきれない。
 以前に、恐怖が頂点に達して脚が固まっていた。
 振り込んだままの体勢から剣を取りこぼして、義母上に幸あらんことをと口走りそうになったところで。

「失礼します!!」

 激しく横合いからぶつかってくる何かに、俺は体を持っていかれた。
 そのまま強引に甲冑ごと腕を回して、あわや熊の死の抱擁から救い出してくれたのは新妻タンシエルだったのである。
 そのまま天上と地面がぐるんと回転したかと思うと、思い切り頭から大地にぶつかった感触が追いかけてくる。
 今は痛みよりも前に、シエルの勇ましさに助けられたという事実だけが心に届いた。

 そしてそのまま大きな石か何かに背中をしたたかに打ち付けたところで回転は止まる。
 気が付けば素早く長剣を鞘走りさせたシエルが、視線の向こう側で大きく向きを変えている大熊の鼻面めがけて突入していく姿が見えるではないか。

「こんなところでサルワタの後継者さまを失っては、お義父さまお義母さまに申し訳が立ちません。お前たちは若大将を連れて逃げなさい! とにかく援軍をっ」

 鼻面に牽制の一撃を放り込み、熊の鉤爪をかいくぐってすれ違いざまに腹を斬り抜けるその姿。
 振り返ったところを互いに一瞬だけ睨みあって、また距離を詰める。
 まるでそこには、戦場で義母上が見せた様な女騎士そのものの猛々しい姿の我が新妻がいた。

「若奥さまを助太刀しろ!」
「お前たち何を見ているのだ、ギムルさまをお助けしてっ」
「命令だ命令、指揮官どのを下がらせるんだっ」

 こんなところで俺が無様な姿を見せつけている場合ではない。
 妻は俺を逃がすために、圧倒的な熊を前に戦っているではないか。
 戦場でならいざ知らず、野獣の如きに倒されてしまったのでは義母上と言われる。
 義母上どころかタンクロードになんと申し開きをするのだ。

 シューターならどうする。
 あの全裸を貴ぶ男なら、まず迷わず前に飛び出して妻を加勢するはずだ。
 だが俺では役に立たないことは明白だ。
 どうすればいい……

 俺がわずかの内に必死で頭を動かしている最中、途中から合流してきたミノタウロスの兵士たちが剣や槍を構えて、シエルひとりで対処していた熊にと次々に飛びかかっていった。
 ある者は弓を構えて援護射撃をし、そこに剣や槍を突きかかる。

 残念ながら短弓の鏃では剛毛に囲まれた皮膚を貫通することが出来ないのか、大熊は平気な顔をして暴れ続けている。
 槍もまたタイミングが合って深くささればいいものの、それでも動く熊の一撃に、誰かが振り飛ばされる姿を目撃した。

「若大将、ここはみんなが押さえているうちに下がりましょう!」
「駄目だ黙れ、妻や部下を置いて下がることはできない。支配者とは常に先頭に立ってとアレクサンうわ何をするヤメロ!」
「いいから下がって! ああ若大将、槍を振り回さないっ」
「獣の類は仕留め損ねるとしつこく食い下がってきますから! しかもアイツは冬ごもりに失敗した熊ですから尚更の事、厄介だ!!」

 せめてこの場に鱗裂きのニシカがいれば。
 あるいはせめてニシカの持っている様な長弓とその使い手がこの場にいるのならば。
 どれだけ剛毛に覆われた皮膚であろうとも、鋭く深く肺臓まで鏃を貫通させることが出来るはずなのに。

 歯がゆい思いでなおも健闘しつつ、何度かの接触で胸甲に傷を負っていくシエルを見やりながら、兵士から奪った槍を握る力が強まった。

「どきな、わたしが相手する。相図を出したらあんたの嫁を引き下がらせなさい」

 その時だった。
 不意にトウモロコシ畑の茂みからぬっと姿を出した女がいた。
 音もなくこちらに近づいて俺にそう声をかけると、強引に槍を奪って具合を確かめながら熊を見定める。
 マイサンドラだった。
 軽装の鉄皮合板の甲冑を身にまとっていて剣を吊るした兵士の様な格好だったが、背中には長弓を背負っていた。
 槍を突き立てそれを背中から外し、そして構えたところで、

「今だよ。引き下がらせなさい!」

 目の前でマイサンドラが大きく弓を引き絞り、熊にそれを定めた。

「シエル下がれ、下がるんだっ」
「ギムル、さま?!」
「いいから下がれ、危ない!」

 俺はありったけの声で抗っていたシエルに叫びながら、戸惑った彼女にいいから下がれと指図する。
 シエルと取り囲んでいた兵士たちがわっと散り散りになり、それを追いかけようとした熊の胸元にめがけてブーンと音を立てた矢が吸い込まれた。

「グロロ、オデ、マジデフゴィギャ!」

 だがこの一撃で熊の突進力が失われるわけではない。
 即座に二の矢を構えていたマイサンドラが、俺の傍らでそれを勢いはなった。
 ふたたびブーンと音を立てたそれが、攻撃の相手をマイサンドラに定めた熊の胸元に刺しこまれる。
 ドスンドスンと、畑をかき乱しながらこちらに向かってくる姿を見て、俺の周囲にいた兵士たちは四散して逃げに走った。
 手負いの獣ほど恐ろしいものはないことは、田舎暮らしの人間ならゴブリンの子供だって知っている事だ。

 だが、それでもマイサンドラは弓を構えたその場から微動だにせず、長弓を放り出して地面に突きさしていた槍を引き抜いた。

「ビビってるんじゃないよ! さあ来な、わたしが仕留めてやるッ」

 一瞬だけそのマイサンドラの殺気をはらんだそれが俺に向けられているのかと思ったが、違った。
 巨体を震わせながら接近する大熊に槍を構えたマイサンドラは、口元に狂った様な笑みを浮かべて突きかかっていったのだ。
 野牛の族長から直々に軍事訓練を受けていたシエルですら、ギリギリのところで攻撃をかいくぐっていたのだ。
 マイサンドラは華奢な体つきで、ミノタウロスのそれと比する事は出来ない。
 であるのに、俺の十倍はありそうな体重の大熊の懐内に飛び込んでいき、そして高速で離脱した。

「グロロアイダダ、ダ……」

 何が起きたのか、恐らく逃げまう兵士たちもわからなかっただろう。
 首の付け根あたりに槍を放り込んでおいて、急所にひと突き見舞った様だった。
 そうしてフラついた熊は、倒れるでもなく体を引きずりながら逃げ出す。

「お前、弓を持ってきなさい!」
「はっはいわかりました……」

 シエルに大声をかけたマイサンドラは、すぐにもシエルから長弓を受け取って逃げる大熊の背に淡々と矢を引き絞って放っていくのだ。
 血を流し、やがてトウモロコシ畑の中でドサリと力尽きた熊を見て、ナタを引き抜いたマイサンドラが駆け寄ってとどめを刺したのだった。

     ◆

「アナホール攻めの前にとんだ大物が捕まったものですな」
「いやァ若大将が無傷でよかった、何よりです!」
「新婚早々に若大将が傷物になっては、族長に合わす顔がありませんよっ」
「怪我をしたやつも、従軍司祭さまがいたおかげで傷はどうにか縫合できた」
「若大将もこれが野牛の居留地なら、効果も定かじゃないまじない師に祈祷をさせるところでしたからね」

 ガッハッハ。
 俺と並んでも体躯のさほど変わらない野牛の兵士たちに、気安く肩を叩かれてようやく安堵した。
 だが内心では安堵していたが、荒い息がようやく整ったところで、この部隊を指揮する人間としての威厳を何とか保たなければならないと考える。

「黙れ。それよりも早く周囲警戒の態勢を取るのだ。何度も野獣に宿営が脅かされてはかなわん」
「そんな事を言って、本当は小便をちびりそうになったんじゃないですか。ん?」
「だ、黙れ!」

 ワイバーンに再三にわたって野牛の居留地を襲われた経験のあるミノタウロスどもにしてみれば、この程度は驚くほどの無い相手だったのかも知れない。
 シエルにしても恐れを抱いているというよりは、義母上もかくやという女騎士ぶりを発揮して一歩も熊から引き下がる事もなく対峙していた。

「ここでギムルくんに万が一があれば、義姉上からどの様な処罰を受けても仕方がなかった。いや、熊の如き獣を相手に手も足も出なかったのは申し訳ない……」
「叔父御はその場にいなかったのですから、仕方がありません」
「互いに無事だったことをまずは喜ぼうという事かな。タンシエルさんも、ギムルくんも」

 恐縮した顔のエクセル叔父が駆け付けたのは、あっという間にすべてが終わったその後だった。
 さすがにその場にいないのでは、助けてもらう事も出来ない。
 そもそもエクセル叔父は、騎士の武芸という意味では義母上にもシエルにも及ばないところがあるので、むしろその場にいなかったことは幸福だったかもしれない。
 傷だらけになった俺の胸甲とシエルの装備を見て苦笑を浮かべていたが、確かに熊如きで義母上の前途を邪魔されなくてよかったものだ。

 それにしても……
 息絶えた熊を囲んで解体をはじめているのはクワズの開拓村で猟師出身だった男らだ。
 それに何事か指図を飛ばしているのがマイサンドラである。
 マイサンドラは一時期、偽装結婚のためにクワズに滞在していた事もあったためか、クワズ猟師出身の連中とは面識があったらしい。

「あの、若大将。あのお方は確か、」
「マイサンドラはカサンドラの従姉で、まあ形式的には俺たちの親族という事になるな」
「はい、マイサンドラさまでした」
「だがあの様な間違った宗教狂いの女にさま付けをする必要はない」
「確かあの方は、先行した周辺偵察任務に従事されていたはずですが。何かアナホールの村方面で問題があったのでしょうか?」

 打ち捨てていたハルバートを回収して、俺の側に安堵の表情を浮かべながら近づいてきたシエルである。
 戦闘中、最後までめくれたタイツが尻を丸出しにしていたのが気になったのか、しきりに自分の尻を触りながら後ろを振り返っている。
 そうしながら、華奢で平均的な女の身長しかないマイサンドラの横柄な態度に圧倒され、そちらに視線を向けたのだった。

「解体の指図はしておいたけれども、熊は良く煮込んで食べなければまともに食べれた代物ではないわ。今夜の食料にすると考えるのならば諦める事ね」
「そ、そうか」
「毛皮は取り急ぎ剥ぎ取らせておくから、この村に駐留させる兵士の冬ごもりにでも利用させなさい」
「わかった。その様にお前たちで差配しろ」

 側にいたサルワタの農民兵に向き直って命じると「ありがてえ」とその男は白い歯を見せた。
 村の枝郷に当たる集落の出身だからか、マイサンドラがこの夏にサルワタ領内で仕出かした事については理解してなかったらしい。
 素直に貴人に対する礼をする様にペコペコ頭を下げて、即座に熊の解体現場へと走って行った。

「そうそう。あなたたちが顔を出すのがあまりにも遅いもんだから、こっちから顔を出したんだったわ」

 不遜な態度で長弓を背負い直していたマイサンドラである。
 俺を村長とも思わぬ態度で見上げてくると、胸を突き上げる様にして言葉を続ける。

「シャブリン修道院の門前村からアナホールの村のいくつかの集落に、ブルカ同盟軍の残党が住み着いている場所があったわ。数はせいぜい全部かき集めても一〇〇に足らず。そうね、あの様子だとこの周辺の領地出身の人間ではないわ」
「どういう事だマイサンドラ?」
「というと、蛮族の大領主の西側から派遣された兵士たちの敗残兵という事でしょうか。あるいは蛮族の傭兵どもですか」

 俺よりも先にシエルが質問を飛ばし、参謀格のエクセル叔父と顔を剥き合わせる。

「盗賊と化したブルカ側敗残兵か、そういう事は王国の歴史書の中にも書かれていたことがある。恐らくはシエルさんが言う通り、辺境西部地帯から派遣された兵士たちが原隊復帰するべき部隊が指揮官ごと滅ぼされたのかも知れない。それで残党が遊兵化したのかな」

 あるいは傭兵として雇われた戦働きを生業にしている連中が、賃金をもらうべき主を失って下野した可能性もある。
 エクセル叔父の言葉に腕組みをして可能性のいくつかについて思案を巡らせていたところで、マイサンドラはもう用は済んだとばかり伸びをし、背を向けた。
 去り際にシエルの丸い尻を見て下品な笑みを浮かべる。

「連中はブルカ街道で獲物をあさるつもりよ。だからケツはがら空きさ」
「後背部から攻めろという事か?」
「要件は伝えたからね、盗賊どもの細かな数字はこれを参考にしてちょうだいな」
「おい待て、今夜はどうする気だ?」

 ポイと紙片を放り出したので、あわててエクセル叔父がそれを拾った。
 俺はマイサンドラの背中に言葉を投げかけたが、それに対するまともな返事は期待できなかった。
 その代わりに、

「ツジンは必ずこのブルカ街道のどこかにいる。わたしは絶対に見つけ出して、アイツを殺ってやるんだ……」

 そんな捨て台詞を残したマイサンドラは、来た時と同じように音もなく静かに林の中へと消えていった。
 紙片を広げ上げたエクセル叔父は、そんな女猟師を見送ったのちに急いで視線を麻紙へと落とす。
 空はすでに夕陽を山の向こう側に隠して暗がりが周囲に広がっていた。

「魔法はあまり得意ではないけれど、しばらくなら発光魔法で……」
「散らばった敗残兵の数が書かれていますね。誰か、街道周辺の地図を持ってきなさい!」
「へいっ!」

 帯同していたサルワタの傭兵を捕まえてシエルがそう命じると、急いで傷だらけの顔をしたその男が駆けだす。
 敵の数はおおよそ、マイサンドラが報告した通り一〇〇に足らずという軍勢だ。
 恐らくは軍勢の呈もなしていないのが現状だろう。連携をしているというよりも
 しかし、

「アナホールの村の、中心集落そのものには残党がいないのはどういうことだ?」
「恐らくはこの村に野盗と化した連中がいないのは、街道沿いに進軍する補給部隊を襲って、食料を奪う考えでもあるのかも知れませんギムルさま」
「リンドル川の周辺は、ブルカと辺境東部の交易が途絶えて無法地帯になっているはずだからね、河川を行き来する警備の軍船や商船もいないことを考えれば、隠れて冬を過ごすには有利なのかも知れない」

 発光魔法に照らされた地図を見れば、員数の書き込まれた残党兵たちの配置はリンドル川沿いに寄っている。
 サルワタの森から断続的に広がっている森林地帯の側でない事は幸いだが、いざとなれば河川を使って逃げられる事になるのではないか。

「シャブリン修道院の門前村には、確か河岸に船着き場もあったはずですね」
「先の戦闘でオコネイル卿の妖精剣士隊や、ドラコフ卿の機動歩兵が上陸した場所だ」
「ギムルさま。街道の反対であれば、族長の部隊が作戦行動中ですので、河川沿いに攻勢をかけるのがよろしいかと存じます」

 束の間の発光魔法が消えると、シエルとエクセル叔父が俺に向き直って意見具申をした。
 なるほどリンドル川沿いに俺たちが入り込んで、集落をひとつずつ潰してアナホールに迫るわけか。
 連中は逆に、街道の側にあるアナホールの中央集落に立ち寄るだろう補給部隊なりを狙っているはずだ。

「野盗と化した彼らも、戦争でこの土地の交易が途絶えた今は、わたしたちの補給部隊だけが冬ごもりの生命線となります若大将」
「ここで残党を逃してしまえば問題だ。冬ごもりに失敗した熊ほど手の付けられない厄介な獣はいないからね」

 自然と解体中の熊に俺たちの視線が集まる。
 軍学についてあまり見識の無い俺のためにか、誘導する様にふたりが説明をしてくれて、おぼろげながら作戦のありようが見えてきた。

「よし。夜明けとともにリンドル川沿いの集落を、ひとつずつ潰して回る事にするのでいいかな?」
「わかった。それでいきましょう叔父御」
「その際は出来るだけ固まって行動した方がいいね。先導の人間に周辺配置をさせて、一気に囲んで倒してしまう。どうせ連中は連携が取れているわけではないけれど、逃がせば他の集落に情報を渡す事になる」

 俺が大きく頷いたのを見て、ようやくシエルの表情が柔らかいものになった様な気がした。
 熊の出現には度肝を抜かれたものだが、俺でも何とか仲間たちの助けで作戦の指揮が取れるのだ。
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