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異世界に転生したら村八分にされた 作者:狐谷まどか

第8章 ゴルゴライ戦線

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祝1周年記念&1000万PV達成記念SS 禁じられた遊び 前

おかげさまで拙作、異世界村八分は7月18日をもって更新開始から1周年を迎えることができました。
これもひとえに、応援してくださる読者のみなさまのおかげに他なりません。
また先日、無事に1000万PVを達成することができました事、あわせて御礼申し上げます!

ありがとうございます、ありがとうございます!

今回は初のッヨイさま視点という事で、活動報告で事前告知しておりました記念SSをお届けします。

 ある日の事なのです。
 フクランダー寺院に設定された盟主連合軍の幕舎でおしごとをしていると、ねえさまがとても困りん坊の顔をしてッヨイのところへ訪ねてきたのでした。

「言葉の通じない相手と言葉を通わすためには、どうしたいいのか、ですか?」
「あのう、荒唐無稽な事を言っているというのはわかっているのですけれど。ッヨイちゃんならそういう場合どうします?」

 ねえさまは、どれぇの奥さんです。
 たくさんいるどれぇの奥さんの中でも正妻という一番偉い奥さんので、どれぇの奥さんたちはみんなねえさまの言う事を聞く様にしています。
 だから、ねえさまといえば、カサンドラねえさまただひとりを指す言葉だと、どれぇの家族のみんなはそういう風に理解していました。

「言葉の通じない相手と言葉を通じさせるためには、自分が相手の言葉を理解するか、相手に自分の言葉を理解させればいいのです」

 そのねえさまが困りん坊の顔をしているのだから、ッヨイはねえさまの困っている理由を解決しなければいけないと考えて、ッヨイはそう答えました。

「それはそのう、確かにッヨイちゃんが言う通りなんですけれど。わたしはッヨイちゃんの様に頭もよくないので、バジリスクの言葉を覚えるのはちょっと難しいかなあと」
「キュイ?」

 ッヨイの回答はとても単純明快だと思ったのだけれど、あかちゃんを抱いたねえさまは、ますます困りん坊の顔をしたのでした。

「それならもうひとつの方法を取ればいいのです。あかちゃんがッヨイたちの言葉を理解してくれれば、お話が通じ合うのです」
「ッヨイちゃん、それは可能な事なのですか?」
「りくつの上では可能なのです。いにしえの魔法使いが使った禁呪の魔法を使って、あかちゃんがバジリスクの猿人間になればいいのです」
「…………」

 ッヨイは名案を口にしたと思ったのだけれども、ねえさまはとても悲しそうな顔をしてしまったのです。
 幕舎ではマリアねえさまの参謀を務めているリンドル騎士のひとたちが、指揮台に広げた地図と睨めっこしたりしていました。
 それからモエキーねえさまが女魔法使いと補給物資の資料をまとめているのが見えました。
 するとねえさまは、それらのみなさんのお仕事ぶりをチラチラと見ながら、唇をすぼめてッヨイに近付いて囁いたのです。

「ッヨイちゃん。めったな事を口にしてはいけませんよ、禁じられた呪文を使うなんて誰かの耳に入れば大変な事になります。特に旦那さまがその事を知ってバジルちゃんが女の子になったら、すぐにも手籠めにされてしまいます」
「き、気をつけるのです。あかちゃんは女の子だったのですか……?」
「そうですよ」

 きっぱりと言い切ってみせたねえさまは、続けてそうに違いありませんと言葉を続けた。
 どこかに男の子と女の子を見分ける方法があるのかとも思ったのですが、ねえさまは勘だけでそう言っていたのです。

「だから花嫁修業をしてもらう前に結婚だなんて、あってはいけないのです。ッヨイちゃんも旦那さまの奥さんになる前には、しっかりお料理のお勉強をしてシューターさんを喜ばせましょうね」
「キュッキュッベー」

 ニッコリわらったねえさまのお顔は、ハイかイエスしか言わせてくれないものなのでした。
 きっとお断りしたら、ドロシアねえさまより怖い顔をするに違いないのです。
 ッヨイはお股がちょっと濡れたけど、あわててお返事をする事にしたのです!

「はいなのです! じゃなくて、ッヨイはまだ未成年だから結婚出来ないのです……」
「それはもう、もちろんですね。国法をお守りいただかなければ、旦那さまが犯罪者になってしまいますからね」

 たぶんどれぇは奥さんもいっぱいいるから、まだお子さまのッヨイのことは興味がないと思うのです。
 ねえさまの腕の中で脱走しようと暴れていたあかちゃんは、ねえさまが頭を撫で始めるとおとなしくなったのです。
 あかちゃんは賢い子だから、きっとねえさまが言っている事は理解しているのです。
 ッヨイを見て、助けてくださいと言っている気がしたのですが、ねえさまに逆らえる家族はいないので、見なかった事にしたのでした。

「な、何かいい方法が解れば、ねえさまにまっ先に教える事にするのです!」
「ッヨイちゃんは頼りになりますね。世間では旦那さまとわたしの養子という事になっていますけれども、そう思えばわたしも誇らしいです」
「ねえさまは、かあさまではないけれど、かあさまみたいに素晴らしいねえさまなのです!」
「うふふ。今度お漏らししたときは、シューターさんに一緒に謝ってあげますからね」

 ねえさまはまた暴れ出したあかちゃんを連れて、幕舎を出て行ったのでした。
 いにしえの魔法使いが使った禁呪の魔法を使えば、たぶんあかちゃんはッヨイたちと同じ言葉をきっと喋り出すと思うのに。
 ねえさまを怒らせると大変なことになるので、また他の提案を考える事にするのです。

     ◆

 また別の日なのです。
 ッヨイたちがソープねえさまのところに日用生活品を持って訪ねたところ、ソープねえさまとカラメルねえさまがこんな会話をしているのを耳にしたのです。
 ソープねえさまはこう言いました。

「わたしは常々、女としての魅力が欠けているのではないかと近頃悩んでいるのだ」

 ソープねえさまは蛇足の猿人間なので、とても開放的で魅力的な女のひとなのです。
 おっぱいもとても大きいし、どれぇはいつもエッチな眼でソープねえさまを観察しているのを、ッヨイは知っているのです。

「あら、そうですの? わたくしから見てもあなたはその際どい、その、煽情的と申しますか。狙った獲物は逃がさないというオーラが出ていると思いますけれども」
「あなたは嫌味を言いたいのか、シューターさんはわたしに見向きもしなかったのだぞ! 脚が、脚がすべてはいけないのだ。この足が魅力的ではないばかりに、シューターさんは振り返ってくれないのだ……」
「それはもう、わたくしも気にしているところなので何となくわかるのですわ」

 カラメルねえさまは蛸足の猿人間なので、ソープねえさまとカラメルねえさまは足が大変な事になっているお仲間なのです。
 ふたりとも足がとても大きいので、その事を気にしている様子でした。

「ところであなたにはミゲルシャール卿がおられるのではないですか。ま、まさかあなた、二股を?!」
「ひ、人聞きの悪い言を言わないでもらいたい。ミゲルは三〇年もわたしの事をほったらかして、こうしてわたしに顔も見せてはくれなかったのだぞ。これは断じて二股ではないし、浮気でもない」
「その言葉、カサンドラさんのお耳に入ればタダでは済みませんのよ……」

 あわてて言葉をすぼめたカラメルねえさまは、周囲を見回して誰も聞いていないか確認した後に、ソープねえさまに忠告したのです。
 ッヨイにはしっかり聞こえていたのだけれど、聞かなかった事にしました。
 そのままクレメンスねえさまと、台帳に書き込まれた品目と実際の品物を確認する作業に集中するのです。
 ッヨイはおりこうさんだから、こういう時は知らない顔をするのがいい事を知っているのです。

「わたくしたちの家族には、絶対に破ってはいけないルールがあるのですわ」
「る、ルールか。それはわたしも適応されるのか?」
「当然ですわ。あなたも長く人生を歩んできたのだから、逆らってはいけない相手がどこにいるのかぐらいは、経験からわかるものでしょう。それはズバリ、」

 イエスと言えばイエスだべ。んだども、そいつはカサンドラ奥さんだすな。
 台帳のチェックリストを眺めていたクレメンスねえさまが、ッヨイにだけわかるトーンでそう呟いたのです。
 クレメンスねえさまにも、ソープねえさまとカラメルねえさまの会話は筒抜けだったのです。

「……何事にも優先される順番が存在するという事ですわ」
「順番?」
「そうですわ。まずはカサンドラさんが何事も一番ですわよ? 家族の内向きの一切を取り仕切っているのはカサンドラさんですわ。あの方に認められた人間だけが参加できる家族会議というのがあるのです」
「ゴクリ、順番に会議……」
「まずはその家族会議の参加資格を得る事が、第一歩ですわね」
「ちなみにカラメルネーゼさん、あなたはそれに参加する事が許されているのか?」

 ソープねえさまは小声でカラメルねえさまに質問をするのです。
 するとカラメルねえさまはちょっとだけ勝ち誇った顔をしたのを、ッヨイとクレメンスねえさまは目撃したのでした。

「おーっほっほっほ! 当然の事ですわね。わたくしもこの度晴れてその一員になる事が許されたのですわ。いえ、違いますわね。その資格があるのかないのか、先日お怪我をなさった婿殿のお世話をする事で見定めると、そうカサンドラさんが仰ったのですわ」
「何だ、あなたも新参なのか……」

 落胆したソープねえさまは、ガッカリした顔でお返事したのです。

「な、何ですの? わたくしの方が一歩リードですのよ!」
「シューターさんにしてもミゲルにしても、やはりわたしのこの蛇の足を見てわたしに女の魅力を感じていないのだと思う。何かの魔法か施術で、この足を一時的にでも普通の人間と同じ様には出来ないものだろうか。そうすれば不自由なく、世の男性と寄り添って歩む事が……」
「わ、わたくしの事を無視して妄想?! 一理ありますけれども、何だか気に入りませんわ!」

 ソープねえさまはッヨイをチラリと見てくるのです。

「何か魔法の施術でいい方法は無いだろうかッヨイ子どの」
「そうですわねぇ。ッヨイ子ちゃんならあるいは……」

 たぶんいにしえの魔法使いたちが使った禁呪の古代魔法を使えば、それさえ再現出来れば、たぶん蛇の足や蛸の足を一時的に引っ込める事は出来るのです。けれどもそれは、

「とても残念なお知らせなのです。方法はッヨイも考えているのですが、ねえさまから禁止されているので出来ないのです」

 ッヨイは正直にそのお話をする事にしました。
 何かを期待する様な顔でカラメルねえさままでッヨイを見てくるので、居た堪れない気持ちになったのです。

「やはりこれは、カサンドラさん。いやカサンドラ義姉さんから与えられている家族になるための試練なのだろうか。この足も使いこなせて一人前の魅力的な女になるのだと」
「そ、そうなのかしら? わ、わたくしの時は婿殿を取り押さえて逃げられない様にするのに役に立ったのですけれども……」
「ほほう、やはりモノは使い様という事か。どれ、わたしも今度逃げられない様に押し倒してみようか。どういうセリフが殺し文句になったのだ。教えてくれ、ん?」
「そ、それは、わたくしもう後がありませんのと……」
「それだ!」

 興奮したふたりのねえさまたちは、とうとう周りの事も気にせずにそんな会話を大きな声でしはじめたのです。
 ッヨイはとても焦った顔をしてクレメンスねえさまに助けを求めたのですが、

「ようじょさま。おらたちはさっさとこの場を離れるのがいいだすよ。あっちから怖い顔をしたニシカ奥さまが来ています……」

 言われてッヨイはクレメンスねえさまの指す方向を振り向いたのですが、いつまでたっても戻ってこないふたりのねえさまに痺れを切らしたのか、怒りん坊になったおっぱいエルフがずかずかやって来るのが見えたのです。
 おっぱいエルフのニシカさんは、風の魔法だけならッヨイよりも強力な魔法を使える黄色い蛮族なので恐ろしいです。
 ねえさまの幼馴染なので、ねえさまに意見が言えるのは、ドロシアねえさまとおっぱいエルフだけだと、家族の中ではもっぱらの評判なのです。

「手前ぇらいつまでたったら戻って来るんだ! 荷物運びも出来やしねえのか?! それともオレ様ひとりに荷物を運ばせるつもりなんだったら、後で私刑にするからな、私刑!!」

 さわらぬおっぱいエルフに祟りなしなのです。

     ◆

 その日は全体で作戦会議を終えると、ッヨイたちは解散して自由時間を過ごす事になったのです。
 ゴルゴライの村に到着して翌日の事だったので、まだ兵士の再編成も完了していないので、ブルカ伯と戦争をしたくても出来る状態じゃなかったのです。

 なのでッヨイは朝の全体会議が終わった後、魔法のお勉強をしようとしていたのだけれど、

「ッヨイちゃん。もうすぐ日課のおっぱい体操の時間だよ」

 エルパコねえさまがッヨイのくつろいでいた宿屋のお部屋にやってきて、日課の時間を教えてくれたのです。

「もうそんな時間だったのですか?! お本を読むのに熱中してしまって、忘れていたのです」
「しょうがないよ。時計の数も不足しているし、戦争が始まってから教会堂の鐘も鳴らさなくなったからね」

 戦争が本格的になってきたので、朝昼夕の時を知らせる教会堂の鐘は鳴らされなくなったのです。
 夜の警備についている戦士のひともいるし、朝方の警備についているひともいるし、寝ているひとの邪魔をしない様にやめたのですが、とても不便なのです。
 魔法の砂時計はゴルゴライにひとつしかないので、ドロシアねえさまと自前で持ち込んだマリアねえさまだけが時間をきっちり把握しているだけなのです。

「すぐに準備をするのです。新しいメンバーが加わったと聞いたのだけど、誰なのですか?」
「セレスタの軍船を動かしていた魔法使いの人だよ、それからガンギマリーさんも今日から参加すると言っていたから、メンバーはぼくとッヨイちゃん、クレメンスとガンギマリーさんに、魔法使いさんだね。それからラメエちゃんが参加したそうにぼくの後を付けてきたよ」

 そう言ったエルパコねえさまは、振り返って部屋の扉の方を向いたのです。
 そこから顔を出して中を観察していたのはラメエさんでした。

「べ、別におっぱい体操なんて興味ないわよ! だってエルパコお義姉ちゃんはおっぱいなんてなくても立派に全裸卿の奥さんなんでしょ?! ほれみなさい、おっぱいなんて飾りなのよ! エロいひとにはそれがわからないのだわ!!」
「シューターさんはおっぱいに貴賎なしって言ってたけど、ぼくは女の子らしくなりたいからね。ぼくは今まで男の子だと自分のことを思っていたから気にしなかったけど、干しブドウよりメロンがいいや」

 エルパコねえさまは、自分のお胸をサラサラを触ってそんな事を言ったのでした。
 ッヨイとおなじで、エルパコねえさまはおっぱいがまるでないのです。

「そうなの? エルパコお義姉ちゃんは、お義兄ちゃんだったの? わけがわからないわ……」

 そんな会話をしたところで、ッヨイたちは中央広場に集まったのです。
 ッヨイも作戦参謀なので時間があまりありません。
 時間は有効に使っておっぱいを大きくするのです!
 ねえさまが、おっぱいは綺麗なカタチをしているとおとなの男のひとは喜ぶと聞いたので参加したのだけれど、おっぱいエルフのニシカさんみたいに下品な大きさはいらないと思っているのです。

「わ、わたしも参加した事はシューターには黙っていなさいよ。何のを気にしていると思われるのはシャクだから。でもそうね、カサンドラさんほどの大きさは望まないから、せめてその女魔法使いぐらいのサイズは欲しいと思うわ。あるって自信を持って言えるサイズ!」

 中央広場で待ち構えていたガンギマリーは、興味本位で見物にきていたどれぇのどれぇを指さして言ったのでした。
 すると呆れた顔をしたどれぇのどれぇが、ッヨイを見てこう言ったのです。

「そんな事をしなくても、いにしえの魔法使いたちがやっていたという禁呪の魔法を使えば胸ぐらいどうにでもなるでしょう。しかもッヨイさまならそれぐらい出来るんじゃないですか? 何て無駄な時間をみなさんそろってやってるんですか……」
「それじゃダメなのよ! だってそれは整形したのと一緒じゃない?! 胸は自然に、大きくなるべきだわ!」
「そうですかねえ。わたしはおっぱいより、おちんぎんの方が好きですけど……」
「お前が言うと、何だか卑猥だわ!!」

 ガンギマリーはプリプリ怒って否定したのでした。
 ッヨイはおりこうさんなので、ねえさまを怒らせる可能性がある事をみんなに言っておくのです。

「それにねえさまから、禁呪の古代魔法を使う事は禁止されているのです。だから自然にするしかないのです」
「そ、そうなの。カサンドラさんを怒らせれば大変なことになっていたわ。やっぱり自然が一番ね!」

 こうしてみんなでそろっておっぱい体操をやるのでした。

次回更新予定の後編も、引き続きお楽しみいただけますと幸甚です。
これからも異世界村八分をよろしくお願いいたします!
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