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異世界に転生したら村八分にされた 作者:狐谷まどか

第7章 戦場でお会いしましょう

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230 ナワメの森を突破せよ 1

更新お待たせしました!
今回の更新で捕虜となったラメエ主従の会話が行われる「第218話 チャージ・オブ・ビューティー 5」に合流する流れになります。
 ニシカさんがどこからともなく連れてきた黄色いエルフの現地協力員は、近郊の村で生活する猟師のひとりだった。
 家族たちと食事を終えてから話を聞いてみると、山のふもとに広がっている東部の森の名前はナワメの森と言うらしい。

「このナワメの森というのは、周辺のどの村の領地でもないらしいぜ」
「それはどういう意味ですか?」
「近くの村落共同の入会地になっているんだとさ。もともとはラミア族の支配地だった場所だからな、森はそう言う意味で領主たちにとっては領主不在の空白地帯になっているってわけだ」

 ナワメと言うのはすなわち縄の女が支配する森という意味だ。
 縄は蛇を差す方言の一種だといわれているから、蛇女(ラミア)がかつてこの土地の支配者であった事を物語る名残なのだろう。
 そうした歴史的経緯を反映してなのか、この土地に入封した軽輩領主たちは基本的にどの人間も森を領有宣言する事は無かったし、それぞれの村の領主たちが輪番でこの森を管理していたというわけである。

「ただし同胞の話を聞いた限り、この寺院の遺構にラミアの姉ちゃんが住み着いている事は知らなかったらしいぜ。そういうのはじいさんばあさんが語り聞かせるむかし話の事だとてっきり思っていたんだとよ。な、そうだろ?」

 ニシカさんが地図を指し示しなが黄色い同胞の男に同意を求めると、短く「そうだ」と彼は頷いて見せた。

「ナワメの森の歴史的背景に付いては理解しました。周辺の村々の人間であれば、少なからず森の中に出入りしてる人間がいたという事になるのか」
「そうだな。猟師や木こりに限らず、拝み小屋の茅葺(かやぶき)に使う材料を取りに入ったり、落ち葉を肥料に取りに入る事もあるだろうぜ。少なくとも村々の幹部連中は森の事にそれなりに詳しいだろうな」

 ふたたび「なあそうだろ?」とニシカさんが同意を求めると、ニコリともせずに黄色い男が首肯して見せるのである。

「狼やリンクスは生息しているそうだが、他にめぼしい捕食獣がいるわけじゃねえらしい。せいぜいが熊やシカがいる程度、後はそれから……」
「マダラパイクだ。古い時代の家屋跡などを連中は住処にしているか、だいたいが沼地の側で日向ぼっこをしている事が多いので、気を付けていればすぐにわかる。一番気を付けないといけないのは複雑な地形の方だろう」

 つまり深い森ではあるけれど、兵士を伏せておくには最適な場所であると黄色長耳の猟師が補足して説明してくれた。

「それと共同入会地なので、基本的にどの村の人間も自分たちの領地に面している森の外縁部分についてしか詳しくは知らないはずだ。森の奥まで踏み入れるのは、猟師株を持っている人間だけなんだとよ」
「だったら出来るだけ多くの猟師をかき集める必要があるな。俺たちに協力してくれそうな猟師のアテはあるかな?」
「村の猟師仲間であれば紹介できる」

 ありがとうございます、ありがとうございます!
 俺は猟師に平伏した。

 ちなみにモッコの村から連れて来た水先案内人の猟師は役に立たないらしい。
 彼はナワメの森とは接していない、リンドル川沿岸の漁村出身である。兎や狐、あるいは鳥を専門にしている様な人間だから、深い森よりも草原や川辺が主なフィールドなんだとか。
 そしてついでに黄色い猟師がもうひとつのアドバイスをくれた。

「けれど、ナワメの森で狩りをするための猟師株は、オホオ村の村長が管理責任者で権限を持っている」
「つまりだぜ相棒、オホオ村の村長ならば、誰よりもナワメの森について詳しい人間を知っているはずだ。領主も森に入って、牛や羊を喰い荒らすマダラパイクを何度も討伐していたというからな。そいつを当たってみるのはどうだ。ん?」

 オホオ村の領主と言えば、確かラメエちゃんという少女領主だったはず。
 そんな年端も行かない女の子が体長八メートルにもなる個体がゴロゴロいる様なマダラパイクを狩るとはちょっと思えないな。
 すると代替わりする前の領主がやっていたのかな?

「カサンドラ、確かこの野営地にはオホオ村の領主が捕虜としているんだったよね?」
「はいシューターさん。幹部の方たちとオコネイルさまのキャンプにいると聞いています」

 ソープ嬢の生活必需品を納入している行商人というのも、オホオ村の人間だったはず。
 運がいい事に捕虜にいるのならば、行って本人に直接確かめるのが手っ取り早いな。
 成人したばかりの女の子というから年齢は十歳かそこいらぐらいだろうか。
 お菓子でも持参すれば話を聞いて協力してくれないだろうか、などと俺は思案しながら地図から視線を放した。
 してみると、ちょうどカサンドラの隣でちょこんと正座をしてぼけーっとした顔のけもみみが、俺を見返してくるではないか。

「地図を見た限りだと、一〇〇〇人の戦士をまるまる伏せて置ける様な場所もないと思うよ。だから敵も分散して、戦士たちを行動させているはずだよ」
「俺たちも分散してナワメの森に入るなら、現地協力員の数もチームの数だけ必要になるな。よしわかった、これからちょっとオホオ村のラメエちゃんのところに顔を出してくる。ニシカさんと現地協力員のお兄さんとで、男色男爵のところに連絡を回してくれ」
「任せろよ相棒」

 俺が立ち上がるとニシカさんも頷いて見せそれに従った。
 ふと天幕の端の方を見ると今もデルテ卿とその薄幸夫人が、ぶすりとした顔でお互いに顔を背け合っているのが確認できるじゃないか。

「奥さん奥さん、ちょっと」
「はいシューターさん」
「この調子で深くて険しいナワメの森に、マタンギ領のみなさんを連れていくのは問題がある」
「はい旦那さま。続きをどうぞ」

 俺がカサンドラに身を寄せてそんな風に口にしたところ、カサンドラが例のとても嫌そうな顔をして見せた。
 すぐにもその隣に座っていたタンヌダルクちゃんまでが連鎖的に同じ様な顔をしているではないか。
 どうやら自分たちがデルテ卿の奥さんと一緒に残される事になるんじゃないかと勘ぐっているらしい。
 そ、そうじゃないからね?

「マタンギ領のみなさんとは今後も合同で作戦に当たる様に手配するつもりだから、サルワタ隊の中から信頼のおける人間を彼女の護衛に付けるようにしてあげたい」
「それはとてもいい事です旦那さま。さっそく傭兵のみなさんに相談してみます」

 俺の家族や部下には腕に覚えのある女性も何人かいる事はいる。
 ただしカサンドラの側にはいつも男装の麗人が侍っているし、タンヌダルクちゃんの側にはクレメンスが付いている。
 今回の作戦ではニシカさんやけもみみたち猟師出身の騎士さんたちが前面に出てもらう必要があり、女魔法使いも大威力魔法を充てにしているのでこれは使えない。
 そうすると護衛にまともに使えるのは蛸足麗人のカラメルネーゼさんぐらいしかいないのだが、彼女は俺の護衛騎士のつもりでいつも側にいる。

 顔つきは悪人も逃げ出す様ないかつい傭兵のみなさんだが、今回は役に立ってもらうしかないね。
 戦場に出たいと騒ぐかもしれないけれど、カサンドラの事を姐さんと呼んで喜んでいる連中だから、正妻の「お願い」ならば聞いてくれるはずだ。

     ◆

 天幕を出るとサルワタマスを焼いて食べていた男装の麗人とクレメンスのところに、女魔法使いが加わっていた。
 はふはふと焼いた燻製マスを頬張りながら、俺に向かってペコリと頭を下げてみせる女魔法使いである。
 いいから、食べるかお辞儀をするかどっちかにしなさい。

「ご主人さま、どちらに行かれるのですか?」
「ちょっと捕虜のところまで事情聴取に」
「わかりました。では捕虜が手向かいした時の事を考えて護衛を付けませんと……」

 俺に声をかけてくれた男装の麗人が、チラリと隣に座っていたクレメンスに目配せをした。
 クレメンスは自分でナイフか何かを使って削り出した房状の爪楊枝で歯の手入れしていたけれど、すぐにも立ち上がって腰に長剣を吊るすではないか。
 すると背後から触手で天幕をめくりながら、不味いぶどう酒を舐めていた蛸足麗人が顔を見せる。

「おーっほっほっほ! その心配には及びませんわよ。オホオ村の領主のところへ行かれるのでしたら、行商人の事もありますので、わたくしが護衛を。婿殿、捕虜となった貴族の取り扱いは奴隷商人の領分ですわよ?」
「んだすか。ほんだらカラメルネーゼ奥さんにお任せしますですだ」
「確かにソープ嬢のところに納品する家具の事もあるからな、商売の事が絡むならカラメルネーゼさんが側にいた方がいいだろう」

 急いで手甲に袖を通しながら出てきた蛸足麗人に頷き返して見せると「ベローチュ後は頼むぞ」とひと声かけておいた。
 そのまま俺たちはテントの間をすり抜けながら、男色男爵の妖精剣士隊たちが宿営地の方に足を向ける。

「デルテ騎士爵のご夫人の事で、お困りの様ですわね」
「そうんなんだよなあ。お貴族さまの矜持というの? 支配者は常に先頭に立たなければならないってヤツ。やっかいだよね。勇気を見せなければ領主が務まらないというのは理解できるんだけれど」
「この国の領主に求められる気質というものですわ。例え生まれが商家であろうと農夫であろうと、いち度は王国の貴族となったからには、そうあるべきだと教えられておりますもの」

 カラメルネーゼさんはさも当たり前の様にしてそんな風に言ってのけた。
 実際、デルテ卿の奥さんはご当地の分限者の家に生まれた女性らしい。
 たぶん分限者というからには豪農や商家をやっている様な家柄で、村の幹部も輩出している顔役のご家庭だったんだろう。
 剣を振るう様な生活はこれまでしてこなかっただろうが、マタンギ領主家のよき補佐役として過ごしてきたからには、領主が先頭に立って勇気を見せる事は当然と教え込まれているはずだ。

「それでしたら婿殿」
「ん?」
「あの方に拠点防衛の指揮官をお命じになるのがよろしいかと思いますわ」

 拠点防衛の指揮官? と俺が聞き返すと、揺れる松明に照らされた虹色に輝く天然パーマの髪をかきあげながら蛸足麗人が微笑を浮かべて見せた。

「森の中で伏兵をしている敵を攻撃する以上、隠密裏に行動をしなければなりませんわ。けれども彼女は到底、森の中での行軍には耐えられるはずもないですもの」
「それはわかっているさ」

 このファンタジー世界の一般的な人間というのは非常に健脚だ。
 猟師の娘だったとは言っても、軽い野良仕事と猟師小屋の裏手にある雑木林しか出入りしてこなかったカサンドラであっても、何ひとつ不満無く忍耐強く行軍生活に付いて来ているぐらいだからな。
 けれどもデルテ騎士爵の奥さんは別だ。
 彼女はリンドル御台のマリアツンデレジアちゃんと同じく、見るからに箱入り生活をしていたように見える。
 まるで陽に当たった事が無い様に青白い肌を見ていればその事は見当がつくというもので、行軍の最中にもいつも遅れがちに俺たちの後を付いてきたものだ。
 田舎者の根性と言えばそれまでだが、よく今の今まで弱音めいたものを口にしなかったと、むしろ称賛すべくぎらいだろう。

「であれば、フクランダー寺院と作戦行動中の背後連絡線を守る拠点の防衛を、彼女にお命じなさいませ。デルテさんの行軍に付いていく事はかないませんけれども、貴族の一員として戦場の守備に就いているという名目は立ちますし、前線にご夫人がお出にならないのであればデルテさんも納得するというものですわよ」

 小鳥のさえずりの様にカラメルネーゼさんがそう言うのである。
 確かにその提案は悪くはない。最良の選択ではないかも知れないが、双方ある程度納得していただけるご提案ではないだろうか。

 むかし俺がバイトに通っていた職場の部署責任者たちの事を思い出しながら、俺はそんな風に納得した。
 結局のところプロジェクトのリーダーをしている人間たちは右と左、お互いのセクションの主張をどうにかして現実論に落とし込めるかどうか、その点に苦慮していたもんだ。
 バイト戦士に過ぎなかった俺が、まさかかつてお世話になったコンサル会社の青年取締役や部長さんたちみたいな役割をする事になるとはなあ。

「わかった、その線でデルテ卿ご夫妻には話をする事にしよう」
「それがよろしゅうございますわ」

 そうこうしているうちに、男色男爵隊の宿営地までたどり着いたらしい。
 モッコリ頭の褐色剣士たちが、ぶどう酒で割った水を呑んだり談笑したりしているのが見える。
 その内のひとりを捕まえて、オホオ村の捕虜たちのいる場所を教えてもらう。
 あっちですよと指し示したモッコリにペコペコ頭を下げた俺たちは、何やら少女としわがれた声の聞こえるテントの前にまでやって来た。

「残念ながら戦争に負けてしまった場合、捕虜は戦争奴隷として売買される運命になります」
「……戦争奴隷としてバイバイ」

 戦争奴隷という言葉を耳にして、俺と蛸足麗人は顔を見合わせる。
 サルワタ隊のテントは野獣の皮をなめして作った簡易テントを使っているけれど、こちらはカンバス地の天幕で、声の通りが良好らしい。
 中に入ろうとしたカラメルネーゼさんに、俺は唇に人差し指を立てて静止する。
 そのまま聞き耳を立てていると、何やらこの戦争はブルカ同盟軍側の敗北で終わってしまうのではないかと、女の子の声が聞こえてくる。
 これが噂のオホオ領主ラメエ騎士爵だろう。
 ちょっとおませな感じにツンと気取った雰囲気が感じられて、よき領主たらんと背伸びしている印象だ。
 顔を見合わせているカラメルネーゼさんを幼くしたらこんな感じだったのではないかと少し想像した。

「……何か言いたいことがりそうですわね」
「ちっちゃい頃のカラメルネーゼさんは、さぞかわいかったのかなって」
「かわいいだなんて、そんな……」

 小声でもじもじしている蛸足美人の事は置いておこう。
 改めて耳を天幕の中に傾けてみると、どうやらしわがれた爺さんの声が、われわれにとって痛い部分を指摘しているではないか。

「これは軍略でございますぞ。われら同盟軍は反乱軍の先鋒に負けて、あえて後続から引き離す必要があったのです。われらはあえなく戦いに負けてしまいましたが、戦士を抱えた同盟軍の諸侯たちは後方に戦力を集結させて温存させたのです」
「それすらも今日の戦いでホモ軍に負けてしまったけれど、それはどうなの……」
「しかし三日のうちにオコネイル男爵が率いる軍勢は、随分とわれらの懐奥まで進撃をしてしまいました。今日が三日目でございますぞ。まもなく敵の手持ちの兵糧は尽きてしまう事でしょう」

 どうやら爺さんの解説によれば、出来過ぎた俺たちの作戦成果は、やはり意図して行われた敵の誘引であったという事だな。
 しつこく補給線を狙って妨害行動をしていた敵のゲリラの目的も、やはり俺たちを兵糧不足に陥らせるための作戦であったらしい。

「飢えた軍隊は統制が取れないものでした、そしてやがて脱走兵を出すでしょうな」

 残念ながら遅れがちな補給部隊ではあるけれど、彼らが指摘する様に俺たちの兵糧が完全に食糧難になっているわけではない。
 天才ようじょ軍師がマリアちゃんの側で作戦指揮を補佐している限り、そんな失態を犯すはずがないのだ。

「その時、わたしたちも脱走を試みようと言うのね、じい」
「ご名答でございますお嬢さま。時が来るのを大人しく待ちましょう。食料はこのわたくしめが、僅かですが隠し持っておりまする」

 黙って聞いていれば、このオホオ領主の主従は脱走の機会を伺っていたというわけか。
 蛸足麗人はその言葉を耳にしたところで、大袈裟に手を広げて呆れた仕草をして見せる。
 このまま放置しておいてもよろしくって? と面白がっている風に俺に訴えかけているのだ。
 チラリとテントの中を覗き込むと、

「その脱走、いつやるの?」

 時はまだかと言わんばかりに、声は押し殺しながらも身を乗り出して簡易テントの中で立ち上がったおませ少女が見えた。

 入るなら今だな。
 ここで脱走計画の詳細を耳にしてしまえば、見過ごす事は出来なくなってしまう。
 裁判も弁護人も存在しないようなこのファンタジー世界では、脱走を企んだというだけで処刑される理由には十分だろう。
 俺たちだけが耳にしてしまっている間に、この話は終わりにさせる必要があるのだ。
 そういう事を暗に言いたそうにしているカラメルネーゼさんの顔色を確認して、俺は出来るだけ茶化した態度で割って入る事にする。

「いつやるか、そりゃあ今でしょ」

 ガバリと天幕のカンバス地をめくったところ、てきめんに驚いた表情をしたおませな少女と老騎士の姿が飛び込んで来た。

「だっ誰よ?!」
「やあこんばんは、ハロー。俺の名はシューター、今はスルーヌという村の騎士爵をしている聖使徒さ」

 驚いて体を硬直させているラメエお嬢さまと、それを庇う様に一歩前に踏みでる老騎士だ。
 残念ながら老騎士は捕虜と言う立場であるので、小さな主を守るための武器などは持ち合わせていないどころか、鎖で繋がれた手枷が付いているけどね。

「逆賊の全裸卿?! いつからここにいたのよ!!!」
「いつからと言われても困るのだが、フクランダー寺院にやって来たのは君たちが到着する前の日かな」
「ふざけた事を言わないでもらいたいわね。……わたしたちの話、立ち聞きしていたんでしょう?」

 何の事だかわかりませんが、俺はこの通り全裸ではないので全裸卿などと呼称するのはやめていただきたい。
 そのところを俺がニヤリとして口にすると、事情を察した老騎士が「このやつがれめにお任せください」とラメエお嬢さまを落ち着かせた。
 俺とカラメルネーゼさんは互いにうなづきあって、テントの中に入った。そういう事なら積極的に話を持ちかけるべきだ。

「爺さん、取引だ。悪い話じゃないから協力して欲しいんだが」
「この戦域での戦いが終われば、戦争の趨勢に関わらずあなたたち主従は戦争捕虜として売却する事になっておりますわ。わたくしは奴隷商人として、その競売に参加する権利を持っておりますけれども」
「俺たちに協力をしてくれるのであれば、競売でどこに売り飛ばさるかもわからなくなる前に、手を打つことが出来る」

 俺たちがまず爺さんの小さな主を守る事が出来る立場であると示してやると、証拠を見せろとばかり老騎士は蛸足麗人をひと睨みした。
 カラメルネーゼさんは胸当ての上から手を突っ込むと、そこから奴隷商人である事を示す金属手形を見せた。

「本物ですわよ。主人の元に嫁ぐ前は、王都で家業を手伝っておりましたの」
「なるほど。これでやつがれめが、お嬢さまをお守りするために男色卿に尻を差し出す必要はなくなるというわけですな」
「そういう事ですわね。もっともオコネイルさんは、あなたのお尻には興味ないと思いますけれど」

 この先この爺さんが協力してくれるかどうかは、俺たちの要求次第だというところか。
 老騎士は振り返って「話を聞いてみましょう」とラメエお嬢さまに声をかけていた。

「いいわ、全裸卿の話を聞いてあげる。言ってみなさいよね?」
+注意+
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