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異世界に転生したら村八分にされた 作者:狐谷まどか

間章 サルワタ動乱編

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閑話 サルワタの優しい掟 終

 強弓の使い手として村で知られる長耳のシオ、それからゴブリンやミノタウロスの兵士たち。
 みなさんが一斉に弓を構えると、マイサンドラの号令直下その矢を小屋に向けて射かけた。
 扇状に広がった射手たちは、遮蔽物などに隠れる様な事なんてまどろこしい事もせずに力いっぱい弦を引き絞って、それらは次々に小屋へと吸い込まれていった。

「小屋の木の壁には土か何かが塗ってあるみたいですよう」
「火災避けに粘土が塗ってあるのだわ。けれど、そんなものは屁の突っ張りにもなりはしないわ。お前たち、壁面を狙わずに、藁ぶきの屋根を燃やしてしまえ!」

 火矢の二射目を力強く号令したマイサンドラは、自らも長弓を引き絞ってささくれた藁ぶきの屋根を射かけてみせる。
 さすがに人足たちの休憩小屋に使う様な粗末な造りの建物だけに、数射にわたる火矢を受けて見た目は哀れにもハリネズミの様にボロボロになってしまった。
 そこから炎上が始まって、徐々にパチパチと焦げだるまの有様になっていく。
 すると、

「あっ」

 わたしはたまらず悲鳴を上げた。
 休憩小屋の藁ぶき屋根の一部が、メラメラと音を立てながらぐしゃりと小屋に内側に落ちた瞬間。
 中からいかにも立て付けの悪そうな扉を蹴って人間が飛び出して来たのだ。
 その姿は甲冑を身に着けたゴブリンだった。
 聞いていた話では騎士と兵士の様な格好の目撃証言だったし、足跡から推測していた人相は屈強な大柄戦士と老人の賢者、それからマテルドだったはずだ。
 甲冑ゴブリンは自分の着衣に火がまわっていたので、暴れる様にして飛び出した先の敷地でのたうち回る。火を消そうと何とか地面に着火した布をこすり付けようとしているのだ。

「生かして取り押さえなさい! お前たちは射撃の手を緩めないで、反撃があるかもしれないわ!!」

 次の瞬間に、燃え広がりつつあった休憩小屋が大爆発をした。
 まるで魔法でも使った様な爆発具合で、わたしたちはたまらず眼をそむけて体を庇ってしまう。
 同時に、火だるまになって転げていたゴブリンを取り押さえようとしていたミノタウロスの兵士たちまでも、一緒に吹き飛ばされてしまうではないか。

「あああ、あなたたち大丈夫ですか!」
「まずいわね。火を消しなさい! 硫黄の粉末を使っている、燃え方が尋常じゃないわ……」
「硫黄の粉末ですかあ」
「わたしが湖畔の城を燃やす時に使った着火剤よ。炎の温度を上げる時に使うのよ」

 あちこちから「うわあ」とか「燃える」とかそんな悲鳴が聞こえていたけれど、ひとまずは仲間の兵士たちが水筒の水をひっくり返して布を湿らせようと何とか助けに入っている姿も見える。
 外縁にいた人間たちは火の粉がいくらか散っただけで大きなやけどを負う事は無かったけれど、小屋の前の敷地に飛び出していた兵士数名は服がまる焦げになってしまった。

「とにかく急いで応急手当を! 水をどこかから運んで来なさい! あと、騎士修道会のひとが、山狩りの中に参加していたはずです。呼んできてください、急ぐのですようッ」
「それよりも! 小屋の中にはふたりいたはずじゃないのかしら」
「出て来ませんでしたね、中でまだ潜んでいるとか……?」
「あれだけ燃えて、そんなはずはない……お前たち、急いで下がりなさい。まだ中に何か仕掛けが――」

 一瞬の間にマイサンドラと怒鳴り合う様にやり取りしたわたしたちだったけれど、ふたりが火の延焼を防ぐために駆け寄っていく兵士たちに視線を向けた瞬間。

 もういち度、大きく崩れかけていた休憩小屋がドカンと炸裂音をまき散らしながら爆発してしまうのだった。

     ◆

「本当にしてやられたわ。男の足取りのうちのひとつは老人か体の不自由な人間なのではないかと言っていたけれど、あれは死んだゴブリンのものだった様ね」
「つまり、ツジンという賢者の悪い蛮族とは別の人間が村に入り込んでいたと……?」
「そういう事も考えられるわね。ツジンがこの周辺で活動していたのは間違いないのでしょう? だったら確かにツジンはこの村の周辺で工作活動をしていたのかもしれないけれど、すでにいないだけかもしれない」

 何れにしても推測に過ぎないわ。と、体格のわりに大きな足をした死体を足で転がして見せるマイサンドラは、焼けただれて醜くなってしまったゴブリンの顔を見やりながらそう言った。
 どうにか小屋を破壊する事でこれ以上の延焼を押しとどめたところで、ようやく出来たつかの間の事である。

「それよりもここで独りしか見つからなかったというのがおかしいわね。目撃されたもうひとりは何処なの。それにマテルドは何処なの!」

 吠える様にもういち度死体を蹴り込んだマイサンドラは、夜になると異世界に魂が旅立てなかった時に死体から生み出されると言う幽鬼みたいに、ふらりふらりと森の中に分け入っていく。

「こんなところでまごついている暇はないわ! この奥に包囲網を絞りながら前進するわよ!」
「まっ待ってくださいようッ」

 大きな被害が無かったからいいものの、こんな調子ではいつまでたっても逃亡者を捕まえる事なんて出来ない。
 その焦りはわたしの中でどんどん大きなものとなって膨らみつつあった。
 気持ちは同じ様にマイサンドラの中でも膨張しているのだろう。一瞬、周囲を見回すために視線をこちらに向けた彼女の表情は、苦虫を噛み潰した様な有様だった。
 けれども、

「なるほど」
「?」
「わたしたちを森の奥にどんどん引きづり込むつもりなのね……面白いじゃない!」

 わずかの間、聞き取るのもやっとという小声で呟いて見せたマイサンドラが、最後の言葉を口にした直後にわたしを引きずり地面に張り倒して見せた。
 どべっとぬかるんだ腐葉土の中に、この誇り高きミノタウロスの姫たるわたしの顔が押し込まれる。
 わけもわからずこの女が裏切ったのではないかと、汚れた顔を押し上げながら短剣に手を伸ばそうとしたのだけれど、警戒の顔を浮かべたマイサンドラは次の瞬間、さらにわたしを蹴り飛ばして見せたのだ。

「な、何をするんですひゃあああああ!」

 眼の前に矢がズブリと刺さるのを目撃した。
 弓矢だ。音も無く腐葉土の中に深々と刺さるそれを見た瞬間にわたしは思わず失禁しそうになる。
 頭を低くしたままにマイサンドラにどうすればいいのかと助けを求めようとしたのだけれど、すでに彼女は低姿勢のままに駆け出していて、わたしの側からは姿を消そうとしていた。

「タンヌダルク奥さま、大丈夫ですか?!」
「てっ敵の伏兵ですよう! みなさん腰を低くして!」
「矢の方角からすると、潜んでいるのはあっちの茂みの向こうだすッ」

 引きずる様にして木の幹の陰にわたしを助け出してくれたクレメンスだ。
 すぐ側に弓を構えながら低い姿勢で接近してくる長耳のシオの姿があった。

「どっちですか?!」
「あの辺りですね。騎士夫人さま頭を低くうひゃああああ!」

 またも矢がこちらに向かって飛んでくるのだけれど、間一髪のところで長耳シオが飛びのいて、射手が隠れ潜んでいると思われる方角に応射してみせた。
 先ほどまで小屋を囲んでいた野牛の兵士や猟師たちも、やたらめった射ちで明後日の方向に反撃する。

 そして森の中にマイサンドラの声がこだまするのだ。

「ふたり、三人なんていうのは大嘘だ。あいつらはわざと足取りを追わせて森の中に引きずり込んで、わたしたちを罠にはめようとしているんだわ。いいかお前たち、足跡の数に騙されるな! 敵は想像以上にいると思え!!」
「どうするのですか!」
「数人連れて、裏に回る。ここがわたしの庭だという事を忘れている馬鹿のマテルドに、手痛い仕打ちをしてやる!」

 運悪くマイサンドラの側にいたミノタウロスの弓兵数名が捕まえられて、射撃を仕掛けて来る方向とは反対の深い森の中に彼女たちは消えていった。
 残されてしまったわたしたちは、どうにかして目の前の潜伏する射手を仕留めなければいけない。
 それにしても深い森の中での事なので、相手を発見するのが難しいのだ。

「こんな時にッワクワクゴロさんが居ないのが何とも困りますよう」
「すいません、夫が不在で。その分わたしが何とか活躍しますから!」
「でも、まだ駆け出しの猟師見習なんでしょう?」
「ゆっ弓は姉譲りで力いっぱい飛ばせますよ。魔法を使えば射撃精度だって!」

 そうシオは力強く言い返してくれたけれど、実際のところどこに敵が潜んでいるのかわからなければ、射止める事はむずかしい。

「あっ、敵が走り出しましただす!」

 クレメンスがへっぴり腰で指さした方向で、ガサガサっと音が聞こえるのがわかった。
 すぐにもシオと、巨躯の戦士タンダロスが先陣を切って走り出し、わたしもクレメンスとともにその後を追う。
 いつ反転して弓を射かけて来るのかわからないので、移動中もわたしたちはみんな腰の低い足運びで移動した。
 山狩りの包囲網も、その人影につられる様に前進する。

 すると、森の中で「フィッフィッフィッ」と口笛が響く音が聞こえる。
 今度はそれを聞いてシオが指で輪っかを造り、「ヒュウヒュウヒュー」という具合に音色の違う口笛を飛ばして見せた。
 そんなやり取りを聞いたバジルちゃんまで、クレメンスの腕に抱かれながら「ギュワギュワ」とざわめき出している。
 わたしは脳裏に「?」を浮かべながらシオの方を向くと、彼女が即座に返事を返してくれるのだった。

「敵の射手は三人だとマイサンドラさんが言っています。やっぱり足跡に騙されて人数の推測をあやまりましたね」
「場所はどの辺にいるんですか?」
「そこまではわかりませんが、目の前に居るのはひとりで間違いないです。あっまた走り出した!」

 どうやら側面を抑えたマイサンドラが、引き連れていた野牛弓兵を追い立て役に使って、逃げる方向を誘導させたみたいだ。
 すぐに当たりはしないけれどけん制の弓が射かけられたところで、逃げ出さざるを得なくなったらしい。
 そこをシオが立ち上がって何かを念じる様にしながら、長弓を構えて引き絞る。

「当てます!」

 放物を描く事無く直線的に森の茂みに吸い込まれていった矢は、そのまま「ギャー」という悲鳴をもたらしてくれた。
 もう次の瞬間にはわたしたちも駆け出していて、足を押さえながら転がっていた戦士姿の人間に飛びつく。
 気が付けばわたしはメイスを思いっきり頭上に持ち上げて、そのまま苦悶の表情を浮かべていた戦士姿の男の顔面に振り落とした。

     ◆

 逃げに逃げ続けた残り二人の蛮族工作員のふたりは、結局のところマイサンドラによって仕留められてしまう。

 ひとりは尚も森の奥深い場所に入り込んで樹上に昇り、そこから追跡しようとしていたわたしたちの山狩りメンバーを狙っていたらしい。
 けれど途中から単独でその射手を狙っていたマイサンドラが静かに背後に回り込んだのち、あべこべに射撃姿勢をとった射手を射ち抜いて地面に叩き落したのだ。
 狙った場所は肺臓に一撃という間違いのない必殺だったのだけれど、地面に叩き落された事で首の方向がありえない向きにねじ曲がっていて、結果的にそれが絶命の原因になったみたいですよう。

 さらにもうひとりについては相手も必死だったのだろう。
 自暴自棄になってわたしたちの前に躍り出る様な馬鹿なことはせず、このメンバーの中で誰が指揮官で、誰がサルワタにとって一番の失われれば痛手になる人間かを観察していたのだ。
 すでにどこに消えてしまったのかわからないマイサンドラは、その間もじっくりとその敵の在りかを探し続けていた。
 同じ様にわたしたちの隙を狙うために沈黙を保っていたその敵は、わたしたちが山の奥へ奥へとゆっくりと包囲網を狭めながら前進していた時、実は静かにわたしたちをやり過ごして、いつの間にか背後に回り込んでいたのだ。
 サルワタにとって一番失われたら痛手になる人間は誰かと考えると、わたしなんかが思いつくのはドロシアさまだった。
 この時、二度目になる物見の塔の鐘がカーン、カーンと鳴らされたのだ。
 状況をギムルさんから知らされて、事態を把握したドロシアさまが、供回りの護衛たちを率いて急ぎサルワタの森に急行して来たところだった。

「オレンジハゲめがおかしな含み笑いを浮かべてフェーデなど持ちかけてきたものだから、わらわも怪しいと思っておったのだ。それで、脱走を働いたマテルドはすでに追い込んでいたのか?」
「それがそのう。マテルドの消息はまだ掴めていないのですけれど、他にも協力者の工作員が森の中に潜んでいたらしくてですねえ……」

 ドレスの上から甲冑を着こみ、さらにその上にマントを羽織った姿のドロシアさまは、忌々し気にわたしの話を聞きながらフンと鼻をひとつならしていた。
 状況があまりよろしくないので、わたしはその報告をするのがひどく億劫だった。
 旦那さまが不在の間、警備責任者の騎士たる者の夫人として、それを代行する役目を負っていたものだから。

「ふむ。ミゲルシャールめ、あの余裕はわらわをシャブリン修道院に釘付けにするための罠だったのだな」
「三人あまりの工作員が、マテルドとは別にいた事は間違いありませんよう。すでにひとりは小屋で焼け死んで、もうひとりはシオが、さらにひとりはマイサンドラが仕留めました。最後のひとりはこの先にいるはずなのですが、それがマテルドなのか、他にもいるのかはまだわかっていませんよう」
「マイサンドラがか? あの女はブルカのスパイだったはずなのだが……」

 いち度は弟を幸福にするためにとブルカに協力していた彼女が、こちらに味方していた事がとても意外だったのだろう。
 今のマイサンドラの悪魔の様な形相を見たら、ドロシアさまはもっと驚かれるはずだ。
 そんなやり取りを馬に乗って分け入って来たドロシアさまとしていた時。
 たぶんわたしたちは最大の油断をしていたと思う。
 何しろ敵は包囲網の先にいるとわたしは考えていたし、狩りの素人みたいなわたしやシオでは、経験が不足しすぎていて考えもつかなかったのだ。
 その場にはシオの旦那であるベテラン猟師のッワクワクゴロさんもいたのだけれど、ゴブリンさんはいち度は猟犬たちを村に戻しに戻った後に、ドロシアさまと一緒にここに戻って来たところだった。
 犬たちは盛んに吠えたり動き回ったりしていたけれど、急に山狩りのメンバーが大人数応援に加わったものだから、臭いも混乱して役に立っていなかったのだ。

「だがこの先に追い込んだのであれば、確実に仕留められるじゃねえか。でかしたぞシオ、お前ぇはいい猟師になるんじゃねえかな」
「そ、そんなッワクワクゴロ、人前で褒められたらわたし困っちゃう」

 そんなふたりのやり取りを微笑ましく見ていたわたしとドロシアさまだったけれど、次の一瞬にはみなさんの表情が凍り付く事になる。

 それは茂みの中から飛び出して来た。
 静かに、女騎士装束のドロシアさまが下馬して歩き出し背中を見せる瞬間をずっと待っていたのだろう。
 その瞬間が訪れたと思った直後には、つむじ風の様に刺客は飛び出して、何かの魔法を唱えながら殺到して来たのだ。

「フィジカル・マジカル・ホーリランス!」

 そんな魔法の呪文だったと思う。
 ドロシアさまの後ろを歩ていた女傭兵のエレクトラが、その呪文に反応して警戒の顔を浮かべたけれど、魔法が確実に彼女の鎖帷子の上から差し込まれる様に貫いた。
 護衛のエレクトラは、身をもってドロシアさまの盾になったのですよう。
 槍が刺さった様に物体ではない何かが体を貫いたものだから、血は吹き出なかったけれどその勢いで彼女は吹き飛ばされてしまう。

 そうして盾の役割を成さなくなったところを、ふたたび刺客が恐ろしい勢いのままに剣を引き抜いてドロシアさまに肉薄した。
 ドロシアさまも蛮族の貴族軍人の出身であるのだから、簡単には不覚を取らなかった。
 わたしが目撃をしている中。
 驚きの表情を浮かべつつも剣を引き抜きながら咄嗟の対応をしようとしてたけれど、それよりもわずかに早く低い位置から剣を振り抜こうとしていた刺客が迫るのだ。

 その刺客はサルワタの助祭だったマテルドだ。
 ボロ雑巾の様に茶色に汚れた貫頭衣姿に、不釣り合いな軍靴を履いた有様。
 マイサンドラと同様に鬼気迫る様なおおよそ人間とは思えない、いやまさに蛮族の極みみたいな表情をして肉薄していた。
 ドロシアさまの引き上げた剣は最初の一撃で弾き上げられてしまい、完全にその体に隙が生まれた。

 もう駄目だ。
 このままでは間に合わないと思いながらも、村の警備責任者としてドロシアさまを守らなくちゃいけない。
 わたしも人間の盾としてドロシアさまとマテルドの間に割り込もうとメイスを放り投げながら飛び出そうとしたのだけれど……
 わたしは間に合わなくとも、一本の勢いの乗った重い矢が、マテルドの側面から首をドスリと貫通していた。

 斜めに倒れ込む様にその一撃でマテルドは姿勢を崩し、飛び出そうとしていたわたしの腕の中に彼女は倒れ込んだのである。
 驚いたわたしはたまらず「ひゃああ!」と悲鳴を上げてそれを避け、クレメンスに「奥さま大丈夫だすか!」と守られてしまった。

「オッサンドラの仇、取らせてもらったよマテルド! この裏切者がぁ!!」

 どこからともなく弓を射かけたマイサンドラは、その言葉の勢いに乗って飛び出してくると、電光石火の勢いで山刀を走らせながら、その首を刈り取ってしまったのである。

 こうして、旦那様が不在の間に起きたサルワタの三〇人殺しの殺人事件は閉幕した。
 わたしはその場で失禁しそうになり、ドロシアさまは失禁し、マイサンドラは弟を殺したその仇をその手で果たす事が出来て、サルワタの夏が終わったのだ。

「ど、ドロシアさまご無事ですか。ごふっ……」
「わっわらわは無事である。エレクトラこそ体は無事か、ええい医療従事者を呼べ、騎士修道会か司祭はおらぬのか!」

 股を濡らしながらも冷静さを取り戻したドロシアさまの怒声が、森の中を響き渡った。
 だ、旦那さま。
 わたしは村の警備責任者として、ちゃんとこれでお勤めが果たせましたでしょうか?
 帰ってきたら、いっぱい褒めてくださいよう。


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