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異世界に転生したら村八分にされた 作者:狐谷まどか

第6章 対ブルカ同盟の模索

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祝500万PV感謝&記念SS 第2弾 ぼくと義姉さんたち 

エルパコの日常回になります。
本編を追いかけておられる方は、読み飛ばしていただいても問題ありません。


 リンドルの街で過ごしているある日。
 義姉さんに呼ばれて、ぼくが義姉さんの寝室に顔を出したんだ。
 そこにはガンギマリーさんと、奴隷のベローチュさんがいた。
 三人して難しい顔をしているなと思っていたところ、義姉さんがぼくを見てこう言ったんだ。

「エルパコちゃんもシューターさんの立派な奥さんですからね。順番から言ってもそろそろシューターさんにお相手していただかなくてはいけません」
「?」

 どういう事だろう。
 そんな事をいう義姉さんにぼくが首をかしげると、今度はガンギマリーさんとベローチュさんがぼくを見たんだ。

「そうね。まずはカサンドラ夫人、次にタンヌダルク夫人、第四夫人であるエルパコ夫人がその後と続くのが順当というものだわ」
「こちらは順番待ちをしている身分ですからね。早くエルパコ奥さまに順番をすましていただかないと、後につかえている自分などはたまったものではありません」

 順番がどうしたんだろうと思っていると、義姉さんがさらに言葉を重ねてきた。

「今度はエルパコちゃんの番というわけです。何事も順番は大事なのですよ、エルパコちゃん。旦那さまに聞いた話だと、村長さまは抜け駆けをなさったという事ですが、そんな事が許されるのは村長さまだけの事ですからね」

 相槌を打つ義姉さんの話を聞いていると、ベローチュさんやニシカさんは、順番的にぼくの後だけじゃなくてガンギマリーさんの後じゃないといけないらしい。

「何の話を、してるの?」
「あのですね、エルパコ奥さま。カサンドラ奥さまは、シューターさまの奥さまとして、添い遂げる順番について正しているのですよ」
「添い遂げる?!」

 ぼくはその言葉を聞いてビックリしちゃった。
 それはもしかして、義姉さんとシューターさんがふたりで夜中に抱きしめ合って何かをしている事を言っているんだと思う。
 ぼくだって、それくらいは知っているよ。
 本当はぼくも少し前まで男の子だったから、女の子とそういう事をしないといけないって思ってたんだ。
 でもぼくは男の子じゃなくて、女の子だから、シューターさんとそういう事をしなくちゃいけないんだ。
 考えた事も無かったから、ぼくはこの時とても困惑したんだ。

「あ、あたしは別に? 順番とか気にしてないし? ま、まだ婚約者だから期待はしていないわよ」
「いいえいけません。しっかりと守っていただかないとだめですよ。ちゃんと村長さまからしっかり命じられているのです」
「そうですよ、ガンギマリー奥さまが順番を済ませて頂かないと」

 顔を赤くしているガンギマリーさんが、両手を振ってばたばたした。

「ど、ドロシア卿がそんな指示を出したのね。あとまだ奥さまじゃないから。何か恥ずかしいしやだ……」
「ベローチュさんの言う通りです。一家の決めごとはわたしがしっかりと切り盛りする様にと。それから、旦那さまを甘やかしてはいけないので、何事も順番を大事にしなければならないとお命じになられました」

 義姉さんはそう言った後にぼくを見ると、静かに微笑んで見せてからこう言ったんだ。

「だから、明日のお休みにエルパコちゃんは、シューターさんとお出かけするといいですよ」
「ぼくがおでかけ?」

 義姉さんが笑うと、今度はガンギマリーさんも同じ様に笑った。
 どういう事だろう?

「はい。シューターさんがエルパコちゃんに旦那さまとして妻に何かをしてあげたいと仰っておりましたので、それではおふたりで、繁華街にお出かけになるのはどうかと、わたしが提案しました」
「そうね。明日、明後日はリンドルやオッペンハーゲンとの交渉もお休みだから、シューターも少しゆっくりと過ごした方がいいわ。どうせなら、あなたたちも新婚なのだから、ふたりっきりの時間を楽しんできなさいな」

 ぼくは新婚さんだから、シューターさんと一緒に繁華街にお出かけする事になったらしい。
 義姉さんやガンギマリーさんはぼくの顔を見て満足したみたいで、いっそう白い歯を見せて笑ったよ。

「そうと決まれば、カラメルネーゼさまを呼んで繁華街に行きましょう。あの方なら上等なお洋服の売っているお店や、お値引きの交渉もお得意ですし」
「そうね。ついでにベローチュも連れていきましょうか。あなたは公務でリンドルに何度も来ていた事があるんでしょう?」

 困惑の表情を浮かべているをよそに、義姉さんとガンギマリーさんは次々に提案を口にする。
 ぼくはとても不思議な気分だった。だって、

「明日も繁華街に行くのに、どうして今から繁華街に行くの?」
「もちろんデートのためよ」

 デートというのは何かわからないけれど、ガンギマリーさんが言うには、これはとても大切な事なんだって。

「あなたは少し前まで自分の事を男の子だと思ってたんでしょ?」
「うん」
「だったら、ちゃんと女の子らしい服を着て、もっとシューターにアピールをした方がいいわ」
「?」

 シューターさんに、ぼくが女の子だってアピールすればいいの?

「そうじゃないと、ニシカさんみたいな男女になってしまうわよ。ああいうひとは、家族にひとりで十分だもの。下品に胡坐をかいて、お酒ばっかり呑んでるひとと思われたら、あなたも嫌でしょう?」

 ニシカさんはとても強くてシューターさんにも信頼されている人だけれど、シューターさんはいつもニシカさんの事を「黄色い蛮族」だって言っているよね。
 きっとガンギマリーさんはそういうところを気にして、ぼくに同じ様になっちゃダメだって言っているのかもしれない。

「ニシカさんって、昔からあんな感じだったのかしらカサンドラ夫人?」
「そうですねえ。わたしはニシカさんの事を昔から知っていますけれども、わたしの父から猟の手ほどきを受け始めたころには、あんな感じでしたよ」
「オレ様口調で、眼帯で?」
「はい。あ、でも眼帯は、猟師になって少ししてからはじめたと思います。ある日突然、黄色い長耳の部族に伝わる願掛けなんだと言い出して、マイサンドラ姉さんを困らせて――」

 ぼくは気が付けば義姉さんとガンギマリーさん、ベローチュさんに引っ張られて、洋服を買いに繁華街に連れていかれたんだ。
 ぼくは別にセレスタで買った女の子の服でいいのにって言ったけれど、そうしたら義姉さんたちにとても怖い顔で怒られたんだ。

「いいえいけません。シューターさんの奥さんとして、恥ずかしくない格好をしないと」
「そうね。デートの定番と言えばスカートがいいわ。明日はふたりで食事に行って、この世界だとどういうコースが定番なのかしら?」
「それなら、占いなどはどうでしょう。自分が王都にいる時は若い男女が占いに……」

 ぼくは、本当にどこだっていいんだよ。
 シューターさんと一緒に過ごせるだけで、とても幸せなんだ。
※ 当初、活動報告に掲載しておりましたが、場所がわかりづらいとのご指摘がありましたのでこちらに転載しました。
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