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異世界に転生したら村八分にされた 作者:狐谷まどか

第3章 奴はカムラ

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祝100万PV感謝&記念SS シューターズ・サマーキャンプ 後編

お色気回です、苦手な方は読み飛ばしてください。
 このファンタジー世界を司る女神さまは地上に楽園をお作りになった。
 それがここ、サルワタの森にある湖の砂浜である。

「やん、水に浸かっちゃったら下着が透けてます。恥ずかしいですよう義姉さん」
「大丈夫ですよダルクちゃん。この村の人間は誰も気にしませんから」
「蛮族はそうかもしれませんが、ミノタウロスは気にするんです~~!」

 うら若き乙女たちが、普段は決して表で見せる事のない胸を惜しげも無く晒して、水辺で戯れているのである。
 揺れる乙女の双丘に、この俺は心躍らせるのである。
 いいね!

     ◆

「おい、ようじょ! オレ様から逃げられると思うなよっ」
「ッヨイは負けません、ニシカさん!」

 ふたつのドッヂボールを備えた様なニシカさんの胸がばるんと揺れた。
 どうやらッヨイさまに水をかけて挑発しているらしい。
 嬉しそうにしながらも怒って見せたッヨイさまは、反則にも魔法の水鉄砲でやり返そうとする。
 ところが大人げないニシカさんが風の魔法で小さな竜巻を現出させると、ようじょビームは見事に竜巻に巻き上げられたのである。

「ひゃん! やめてくださらないですかニシカさん?!」
「うるせぇオレたちゃ楽しく遊んでるんだ」
「早く止めてください、黄色い蛮族さん!!」

 ついでに近くで泳ごうとしていたタンヌダルクちゃんのヒモパンまでさらいそうになったので、あわててタンヌダルクちゃんが股間を抑える。
 するとニシカさんにはやや負けそうになるけれども十分に豊かな乳を両腕で押し上げる様な格好になるので、これはたまらない。
 もちろんたまらないのはタンヌダルクちゃんだけではなく、俺自身もである。

「こ、こうでしょうか。少し怖いですね……」
「無理に体を動かそうとしてはいけないわ。人間の体はじっとしていると浮く様に出来ているんだから」
「そうなんですか? じゃあまず仰向けに浮いてみます……」

 視線を少し外してみると、泳ぎ方を良く知らないらしいカサンドラを相手に、雁木マリがまずは基礎からレクチャーをしているところだった。
 カサンドラのお胸はお椀をふたつ並べたようなすばらしい美しさだった。
 その形状は彼女の控えめではあるけれど淑やかで毅然とした性格にふさわしく、例えて言うなら俺のもの。
 一方の雁木マリは、その性格をそのまま表す様にこのファンタジー世界に向かってツンと自己主張をしていた。
 胸までがツンデレしていてマリらしいと思ったのは内緒である。

「……シューターさん。ジロジロみちゃやだよ」

 ところでエルパコは断崖絶壁だ。
 そこにはさくらの花弁が二枚載せられただけのまな板で、それはまるで俺の気持ちを試す様にそそり立っているのだ。
 よろしい、ならば登頂だ。
 男たちを寄せ付けぬその切り立った崖の先にきっとまだ見ぬ何かが……


     ◆

「お兄ちゃんはみんなと一緒に遊ばないのか、ん?」

 神のお作りになった地上の楽園を観察していたところ、声をかけられたのである。
 振り返ればそこにはアレクサンドロシアちゃんが、胸を抱きかかえるようにして威風堂々と腕を組んで立っていた。
 ただしヒモパン一丁である。
 サルワタの領主といえど泳ぐ時はヒモパンだけになるのだった。
 そしてそこには乙女とはモノが違う、熟れた果実の様な胸であった。

「まだ病み上がりというか、体は徐々に慣らしていかないとな。ハハ」
「そうは言うが、聖少女どのに怪我の全快は宣言されているのであろう。そもそも体を慣らすためにここへ来たのに、わらわとこうして砂浜に座っているのでは、意味がないとは言えないだろうか」
「俺はもういい齢のおっさんなんですよ、アレクサンドロシアちゃん」

 俺は先ほどまで泳がせていた眼のやり場を誤魔化す様に湖の遠くを見やりながら言った。
 沖の方まで出ているのはッワクワクゴロさんとその弟たちである。
 銛に網まで持ち出して、どうやらサルワタマスという魚を熱心に捕まえようとしているのであった。

「そんな事より、村長さまが仕事を放り出してこんなところへ来てもいいのですかね」
「いいんじゃないのか。わらわにだって休息は必要であるからな」

 本来ならば村長さまであり、この一帯を統べる領主さまが部下も連れずにこんなところに来ているのは論外である。
 もしも義息子のギムルがこの場にいたのなら、とんでもない事だと大反対をしていた事だろう。
 しかしそのご注進をすべきギムルはミノの居留地に引き上げており、いつもは常に側に付いている冒険者エレクトラも側にはいなかった。
 エレクトラぐらいは連れてくればいいのにと密かに思わないではないが、エレクトラにとっても今日は貴重な休暇なのである。

「今日は建設現場の方も休みにしておるし、護衛ならこうして領内随一の戦士が目の前におるからの。安心さ」
「俺の事を言っているのなら、送り狼にならない事を心配した方がいいですよ」
「何だそれは」
「アレクサンドロシアちゃんもご存知でしょう。新居が出来たのはいいが、ここにいるみんなが俺の家に住んでいるんです。夫婦生活もままならないのでね」

 溜まってんだよ、言わせんな。
 アレクサンドロシアちゃんはそれを聞いてフフっと笑った。

「そうか。それもそうであったな。早いところ嵐の被害を受けた家々は復旧せねばならん。そういう事もあって建設現場は本日作業休止しているのだからな」
「頼みますよアレクサンドロシアちゃん」
「それで。村の若い女どもを集めてキャンプにやって来たシューターお兄ちゃんは、先ほどからどの娘に眼をつけておったのだ。ん?」

 何もかも見透かしているという風に女村長は上目づかいに身を寄せて来る。
 甘い香水と鼻から抜ける吐息、それが肌に心に触れて俺はドキリとした。
 アレクサンドロシアちゃんの色香は、乙女たちのどれにもない大人の艶っぽさである。

「それはもちろん、妻たちを楽しんでおりましたでした」
「その割にはエルパコを熱心に見ておったではないか。エルパコはどうだ? 世間ではふたりの妻と愛人ひとりと持てはやされているではないか。もう手は出したのか」
「とんでもない。まだタンヌダルクちゃんとだって、うおっほん……」
「そうか、ではまず野牛の乳娘を平らげた後に、であるな」
「いやいやいや。あの子は大切な家族ですが、本人の意思を無視していただきますはないでしょう」

 ようやく身を引いてくれたアレクサンドロシアちゃんに安堵しながら、俺は股間の位置を調整した。
 大丈夫だ、問題ない。

「では騎士修道会の聖少女はどうか」
「雁木マリですか?」
「聞けば街でも浅からぬ縁があったと言うし、お兄ちゃんが大怪我を負った時も血相を変えて治療に精を出しておったぞ。カサンドラの避妊治療も大変熱心ではあったし、お兄ちゃんの時は何をもっても特別だ。あれはお前に気があると見ていいだろう。お前の気を引くために努力ひとしおというわけではないか」
「……俺が意識を失っている間にそんな事があったのか。しかし雁木マリは不幸な過去がある身で、ある意味でカサンドラには同情と共感があったのではないかと」
「ふむ」
「それにあいつは結婚はまだ考えていないと言っていましたからね、まずは俺ともお友だちから……」

 正直を言うと、近頃のマリは年頃の女をしている様な気配がある。
 何というか、元いた世界ではまだ大恋愛らしきものをしていなかったと見えて、恋に免疫力がなさそうなのである。
 もちろん気が付かないフリをするのは簡単な事だろうが、逆に今更嫁が増えたところでこの村の人間は何も言わなさそうなところも恐ろしい。

「となれば、鱗裂きのニシカなどは結婚適齢期であろう」
「あんたは何を言っているんだ。ニシカさんみたいな残念な蛮族エルフを嫁にしたら、一家の統制が効かなくなるだろ?!」
「それも困った問題だ。あの鱗裂きは兼ねてより結婚相手の男を紹介してくれと、わらわに願っておったのだ」
「…………」
「鱗裂きの長耳に釣り合う男と言えばなかなかいない。あの長耳はあれで面食いだからな、ニシカのお眼鏡に叶う村の大丈夫ともなれば、これはシューターを置いて他にいないだろう」
「せやかてドロシアちゃん……」
「お兄ちゃんも熱心にニシカを観察していたではないか」
「あれちがくて、ニシカさんのドッヂボールがあまりにも球体しているから、ついな」
「お兄ちゃんは時々、おかしなことを言う」

 よく言われますと軽く返事をしながらため息をついた。
 しっかり俺がニシカさんの溢れる胸の膨らみに釘づけだったところを目撃されていたのだ。

「それではもうッヨイしかいないではないか」
「それはあらゆる意味で犯罪だ! あんたがそれを許しても、世間がそれを許さないだろう?!」
「そうだな。お兄ちゃんは国法を遵守し、あと一年ほど待てない様な男ではないとわらわは信じているからな」

 違う、そうじゃない。
 国法では十歳になったら結婚が許されるのか知らないが、俺はそんな眼でッヨイさまを見た事なんて無かったんだ。信じてくれ!

「む。もしかするとお兄ちゃんは……?!」
「なっ何だよ改まって」
(いにしえ)の魔法使いたちが禁忌の呪印によって獣人を生み出した秘儀で、あの肥えたエリマキトカゲに手を出すつもりではないだろうな。お兄ちゃんそれはいけないッ」

 やらねえよ!
 この辺りで、たいがい女村長が俺をからかっているという事に気が付いたのである。
 お腹をかかえてクスクスと笑い出したアレクサンドロシアちゃんを見て、俺は呆れた顔をしたのである。
 笑って背中をゆするたびに、熟れたふたつの果実がよく揺れた。
 そこには大人の重みを持った存在感が見え隠れして、きっとカサンドラのそれよりも柔らかいだろう誘惑が存在していた。

「ならばもう、シューターの新たな嫁候補はおらぬという事なのかの」
「犬や猫の子供をひろって育てるとはわけが違うんですよ、アレクサンドロシアちゃん」
「だがお兄ちゃんは肥えたエリマキトカゲをひろって育てているではないか」
「いやそうだけど」

 意地の悪い笑みを浮かべたアレクサンドロシアちゃんに、俺はどう返事をしていいのかわからなくなってしまった。
 この話の終着点はどこにあるのだろうか。
 するとしばらくして、女村長は静かに湖岸を遠く見ながら口を開く。

「……ところでお兄ちゃん。どこかに、わらわに釣り合う相手でもおらぬものかの?」
「あ、アレクサンドロシアちゃん何を言ってくるの――」
「天下に乙女は多いけれど、お兄ちゃんの次の嫁にこそふさわしいのはわらわではないか。ッヨイなどは小便垂れの小娘だ」

 言葉の最後に、流し目をして俺に寄りかかって来るではないか。
 もしかして、このもったいぶった態度は俺に何かを期待しているのだろうか。
 度々のご褒美というのはそういう事だったのだろうか。
 いけない、アレクサンドロシアちゃんの今の視線はヘビの眼だ。
 このままでは食べられてしまう。俺はまだゴブリンハーフの魔女に捕まってしまうわけにはいかないのだ。
 そんな風に肝を冷やしていると、砂浜で遊んでいた乙女たちが集まって、俺たちの方に歩み寄って来た。

「シューターさん、これからみんなで泳ぎの練習をしようって話していたんです」
「わ、わたしも実は長く泳ぐことが出来なくって。いい機会ですから旦那さま教えてくださいよう」

 カサンドラとタンヌダルクちゃんが口々にそう言った。

「お、おう。雁木マリも手伝って、な」
「わたしはッヨイに教えてあげればいいかしら?」
「じゃあオレ様はエルパコに教えてやるか。しょうがねえなぁ!」
「ぼ、ぼくもシューターさんに……」

 集まって来た嫁たちが、俺の腕を引っ張って立ち上げる。

「ほら、せっかくの体慣らしなんだから、いつまでも座っていないの。カサンドラ奥さま、ちょっとシューターを沖まで連れてってやってくれるかしら? こいつ元日本人なんだからいけるでしょ」
「おいこら待て、自分で立てるから!」

 カサンドラとタンヌダルクちゃんが胸を押し付けてくると、違う場所が立ち上がりそうになって慌ててしまう。
 残されたアレクサンドロシアちゃんを振り返ると、彼女も笑いながら立ち上がる姿が見えた。

「よし、ひとつわらわにも泳ぎを教えてくれるかの。村長命令だ、まずわらわに教えるのだ!」

 語気を強めてそう宣言したアレクサンドロシアちゃんは、強引に俺の手を取ると砂浜に駆け出した。

「そんな、ずるいですよう領主さま! これだから蛮族は嫌いなんです」
「ほらダルクちゃん、わたしたちも領主さまにシューターさんを取られない様に行きますよ!」
「ぼ、ぼくも行くッ」
「どれぇ!」
「あっこらッヨイはこっちで、ってあたしもやっぱり!」

 遠くの方で、網にマスを一杯に捕まえたッワクワクゴロさんの姿が見えた。
 助けてッワクワクゴロさん!

「おい、オレだけ置いていくんじゃねえ! オレ様もまぜてくれ!!」

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