Master of Secret―神々の理―(9/42)PDFで表示縦書き表示RDF


Master of Secret―神々の理―
作:Yayoi Kazuha



弐、旅立ち 序章


 ――ラリアス王国東部にある街、ウィング・シティ。通称【風の街】。
 ラリアス王国には他にも、北に【水の街】アクア・シティ、南に【炎の街】フレア・シティ、西に【雷の街】エレキ・シティという街がある。
 其れらを【四聖の街フォース・セイント・シティ】と言い、季節によって各地で交代で祭りをやっていた。
 今は春。ウィング・シティの祭りの季節である。
 街の人達は、今日も来週から始まる祭りの準備を賑やかにやっていた。

「おっ、若ではないスか!」

 町の入り口で看板を付けていた男・リヴァスは、下に立っているチャイナ風の服装をした少年に気付き声を掛けた。

「よぉ、リヴァス。つか、俺を『若』と呼ぶのはよしてくれよ…雷兄の方が上なんだからさぁ…」
「何云ってるスか!?オイラにとって、雷鳴様は【御頭】で、龍稔様は【若】でやんすよ!」
「んな事云われると、此方が照れるじゃねぇか//」

 リヴァスの言葉に、少年・龍稔は顔を真っ赤にしながら言った。

「そう云えば、御頭と姐御は一緒じゃねぇんですかい?」
「ん?あぁ…雷兄と義姉さんか…今、花の調達に出てるよ。なぁ、俺になんか手伝える事はねぇか?今、暇でさぁ…」
「良いんですかい?そんじゃあ…この看板の右側の釘打をお願いしやすかねぇ…?」
「分かった」

 リヴァスに頼まれ、龍稔は看板の右側の釘打をし始めた。
 この街では、上下等の関係はあまり無く、皆で助け合いながら築いていた。
 そんな街に――

「あれ?」

 入口横に屋台を建てていた少女・リーヴは、街道の方から此方へと近付いてくる影に気付いた。
 其の影は段々と大きくなり、形を現した。
 其れは、白馬が運ぶ豪華な馬車だった。

「アレは…若!」

 リーヴは、其れが何処の馬車か分かると、直ぐに龍稔を呼んだ。

「何だ?リーヴ」
「お、王族の馬車が来ます!」
「はい?」

 龍稔は、キョトンとした。

 この街には、滅多に王族の馬車は来ない。来るとしたら、春に行なわれる花祭りの当日…一週間前に等来ないのだ。絶対に…
 其の場者が今来たという事は――

(何か遭ったのか…?)

 龍稔は、そう心の中で思い、馬車が来ている方向をジーッと見ていた。

「如何しやす?若」
「参ったなぁ…今、雷兄居ないしなぁ…」

 龍稔は、釘打を止め腕を組む。
 彼が言う『雷兄』とは――母違いの兄・雷鳴の事である。
 雷鳴は、ウィング・シティの若き領主で、父・光来の影響もあり、街の人達からの信頼が厚い。
 しかし、ラリアル国王直属の部隊【傭兵隊】を指揮する隊長でもある為、何時も街に居ないのだ。今日は、違う理由で居ないのだが…
 おっと…説明し忘れていたが、彼の名は、神 龍稔じん りゅうねん。この街に住む十六歳の少年である。ただ、彼には幾つか秘密があり、この先は物語を見れば、お分かり頂けるかと思うが…

「仕方が無い…俺が出迎えるよ」

 龍稔はそう言うと、金槌を看板を支える台に置き、一気に飛び降りた。
 彼の躯は、宙を舞い、フワリと地面に着地した。
 其の瞬間、馬車は彼の前で急停止する。

「何奴だ…?この馬車が、ラリアス王家の者であると知っての事か!?」
「(ん?雷兄に用があって来たのか…そう云えば、雷兄宛てに国王の手紙が…)知ってますよ。ようこそ…ウィング・シティへ。俺は、この街の領主の弟で、名前は神龍稔。生憎…兄は不在でして、宜しければ、俺が承りますが…?」
「何故…我等が、領主に用があると知っている!?」

 龍稔の言葉に、家来らしき男は驚きを隠せずに居た。

「兄宛ての手紙は、全部事前に俺が見てますから…」

 彼は正直に答えるが、家来らしき男は疑い深い目を見せている。

「如何かしたか?」

 すると、馬車の中から声が聞こえて来た。

「あ…国王様…実は――」

 家来らしき男は、馬車の中に入り、国王に事情を説明する。
 其の一部始終を龍稔は、神族の特殊能力である【霊視】で様子を覗っていた。
 そう…彼は、神族なのだ。
 神族とは、特殊能力を備え持つ種族の中では、一番世界の実権を握っている一族で、世界は神族によって動かされているのは過言では無い。
 神族は、主に天界に暮らしているのだが、そんな一族の一人である龍稔が何故この人間界に居るのか――其れは、彼もまた光族との混血系の【異色種】である為、処刑を免れる為に避難したのだ。勿論、其の光族とは、光来の事である。

「成程…良いだろう…」
(この声が国王…?あれ…?此れ、何処かで聞いた事があるような…)
「し、しかし…」
「構わない…此処からは、僕一人で入る」

 国王は、ゆっくりと馬車から降りた。

「あ…」

 龍稔は、見た事があった。自分がよろず屋として城に出向いた時に、直接では無いが遠くからチラリと…
 だが、今回は間近で見られる事もあり、緊張をしていた。
 国王は、降りて直ぐに、龍稔に近付き――

「やあ、久し振りだね…」

と、面識も無い筈の龍稔に言った。

「え…?」

 龍稔は、訳も分からずに首を傾げた。

(俺…前にあったっけ…?でも、この声…何処かで…)

 彼が心の中でそう思っていると、国王は更に分かり易いように言う。

「私だよ…【ケイアス】」
「へ…?い〜ぃぃぃぃぃ!?」

 其の言葉で、龍稔は声の主が誰なのか思い出した。
 そう…彼はこの者と五年前に会っているのだ…天界で。
 姿は違うが、【霊視】で直ぐに分かった。ある人物である事に――

「ミ、ミカエル!?」
「無礼者!この方は――」
「大きくなったね…ケイアス」
「え…!?」

 事情がイマイチ呑み込めない家来は、二人の間で戸惑いを見せていた。

「こ…国王様…其方の方とは、何時からお知り合いで…?」
「何時って…もう五年も前から――」
「え!?五年前って、まだ就任前で、城に閉じ込められていた筈じゃ…!?」
「あ…!」

 家来の言葉に、国王・ルークは思わず口を押さえた。
 そう…五年前とは、彼が玉座に就く前で、就任式典を一ヵ月後に控え監禁されていた時だった。
 恐らく、隠し通路を通って、潮を抜け出したのだろうが――

「国王様?」
「オッホン…帰りはこの者に送って貰うから、もう帰って良いよ」
「畏まりました。では、陛下…道中お気を付けて…」
「ちょ、ちょっと待て!」

 ルークの命令に、執事らしき男が承諾すると、家来は反論する。

「信用出来ぬか?カラス」
「はい!全く!!」

 如何やら、龍稔を信用していない様である。家来・カラスは、まだ彼に疑いの目を向けていた。

「君の上司である、この僕の弟だと云ってもかい?」
「ぇ?」

 カラスは後ろを振り向いた。
 其処には、茶髪の青年が立っていた。其の背後には、殺気が漂っている。
 カラスは其れを見て、息をゴクリと飲み込んだ。

「い、いえ…とんでも無い…隊長の弟だったら、文句は云いません!では、失礼します!!」

 彼はそう言うと、慌てて馬車に乗り、ラリアス・シティへと出発した。

『おかえりなさい!御頭!!』
「おいおい…父さんじゃないんだから…普通で良いって…」

 茶髪の青年を町の人達は出迎えると、彼は照れながら言う。
 この青年こそが、神雷鳴。龍稔の腹違いの兄である。
 彼は、龍稔と違い純血系の光族で、現長を務めている傍ら、ウィング・シティの領主と【傭兵隊】の隊長をやっており、ラリアスとウィングを行き来する毎日を送っている。
 此処で一つ補足しておこう…
 ラリアスとウィングの間は往復四〜六日なのだが、彼は何時も六時間で往復している。
 如何やってしているかは先の話である為、此れは此処までにしておくとしよう…


 この前、無茶して撃沈したYayoiです…
 すいません…まだ、10部までしか書けてない時に、一気に30部まで書くと言い張ったのに、結局其処までUP出来なかったんですよ…
 本当にあれで撃沈しました。そして、1週間休みました←
 タイピングを連続でやっていると、マジで疲れますね…
 しかも、介護の仕事と両立ですから…
 此れからは、無茶をせずに、マイペースで更新していきます。






ネット小説ランキング>異世界FTコミカル部門>「Master of Secret(改正版)」に投票
ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう