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Master of Secret―神々の理―
作:Yayoi Kazuha



壱、十三の神と鍵 第六幕


「まあ…今日は止めとくぜ?今日は、盗賊の頭になった大事な日だ…アイツ等をち〜ぃと矯正しなきゃなんないんでな(笑)う〜んと…そうだな…一応、代価だけ聞いとくかな…?」
「まったく…お前という奴は…私の能力に必要な代価を知らないくせに良く云う…」

 光来の言葉に、ミカエルは呆れた口調で溜め息をつきながら言った。
 そして、彼は話した。魂を他の躯に移す為に必要な代価の事を――
 其れは…能力者の代価となる対象者の余命を五年とし、五年経つと其の者は死ぬという事。
 其の対象者の命の長さによって、術の成功率は違っており、命が長い程其の成功率は高いのだ…

「ふ〜ん…其れなら、余裕でアイツ等を矯正出来るな(笑)」

 ミカエルの説明を聞いて、光来は不敵な笑みで言った。

「矯正って…お前は、一体どんな矯正をする気なんだ?」
「其れは秘密」
「教えろ!光来!!」
「やだね〜ぇだ」
「あ、あの…」
『ん?』

 二人が小さな事で言い争っていると、近くより声が聞こえて来た。
 辺りを見渡すと、ミカエルと同じ【天界の民】の姿をした男が、部屋の入口に一人立っていた。

「ア…アルじゃないか…」

 其の男の名をミカエルは口にした。
 男の名は、アルベルト=ハーネスト。通称【アル】。ミカエルの付き人兼世話役をしている。

「アル、如何かしたのか?」
「ミカエル様、そろそろ天界へ戻らないと拙いですよ?」
「やっぱり?う〜ん…如何しようか?光来」
「其処で、俺に聞くか?普通…(って事は、また逃げて来たな…?仕事から)」

 いきなりの振り方に、光来は呆れた口調で言った。
 ミカエルの言い方に、彼は薄々気付いてはいた。ミカエルが人間界に来た本当の理由に――
 恐らく、本当の理由は…自分の仕事から逃げる為←
 ミカエルは、元々難しい事を好む者では無く、楽に行きたいタイプで、一番嫌いなのは神族の長の公務。たまに隙を見計らっては、天界から逃げ出していたのだ。如何やら、今回は人間界へのゲート内でアクシデントがあり、一時的に記憶喪失になっていた様だ…

「まあ…其の…何だ?やっぱりやるか?例の儀式ってやつを…」
「そうだね…ルークを早く救わなくてはね…そういう事だから、アル…儀式の手伝いをしてくれないか?」
「分かりました。ミカエル様の仰る通りに致します…」

 こうして…三人は、魂を他の躯に移す儀式を行う為、準備をし始めた。
 準備は簡単だった…
 用意する物は、対象となる三人の血と髪の毛。あとは、呪文を唱え魔方陣を床に浮かび上がらせ、其の陣の中で儀式を執り行うだけなのだ。
 そして、儀式は執り行われた。
 三人の躯は光に包まれ、部屋の仲間でも光り輝いた。
 一時間後。部屋の中の光はやがて止み、姿を現したのは光来ただ一人だった。
 ミカエルとルークとアルベルトは、何時の間にか姿を消していたのだった…

「さあって…如何っすかねぇ…此れから」

 光来は、腕を組み考えた。
 悩んで考えた末、結局何事も無かったかの様に子分達を部屋に入れ、

「ボウズは殺した。遺体は、あの男が持って帰ったから、心配は要らない」

と言い、誤魔化すしか方法が無かった。
 しかし、子分達は、『流石は光来様!』と言い納得し、誰も彼を疑おうとはしなかった。

「(コイツ等…上手く矯正出来るかも知れねぇな…)よし…改めて云う…今日から、この俺が頭だ!宜しく頼むぜ!?お前等!!」
『ヘイ!御頭!!』
「さてと…早速、この盗賊団の目標なんだが…此れからは、人の為に役に立つ一団としてやって行きたいのだが…良いか?」

 光来の其の言葉に、子分達はザワザワとお互いに話し始めた。
 まあ…無理も無い。今まで、盗みをしたりしていたのだから…
 一同の表情からは、動揺が見え隠れしていた。
 そんな彼らを光来の次の言葉が心を動かした。

「俺は、この際…人殺しから足を洗おうと思う。如何だ?お前等…一度でもいいから、償いをしてみねぇか?」
「償いか…」
「そう云えば…オイラ、母ちゃんに孝行してねぇ…」
「オらもだ…」
「一度くらいなら良いなぁ…やってみてぇや」
「おい…如何なんだ?お前等」
『はい!やります!!』

 一同は、決心した。
 其の後…子分達は、光来の家で居座るようになり、街の為に自ら進んで更生して行った。



 五年後、立派な街の一員となった子分達に、突然の不幸がやって来た。
 そう…光来の死である。
 子分達は、驚きのあまりに声が出ず、悲しみに浸った。
 しかし、光来が遺したと言う二人の息子の為に、自分達が居るべきだと確信した彼等は、明るく元気に振る舞える様、一日だけ悲しんだのだった。



 そして…天界では、とんでもない大騒動が巻き起こっていた。
 十三の神の証である十三個の【鍵】が、突然噴出したのである。







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