壱、十三の神と鍵 第三幕
新しく頭に光来を迎えた盗賊達。
光来の子分となった彼等は、元頭達の遺体を埋葬した後、光来に自分達の食料を人質である子供達に食べられた事を話した。
勿論、此れは彼らの勘違いなのだが――
「ふ〜ん…で?そん中には王子様が居るんだろ?」
「ヘイ。だから、光来様に殺って頂きたいんでやんすよ」
子分1は、光来に手を擦りながら言った。
だが…当の光来は、何か気に食わないのか、ムスッとした顔をしている。
子分1は、果て?と思い、聞いてみた。
「光来様…何か?」
「俺は、子供だけは殺らねぇ主義でな…殺るんだったら――う〜ん…そうだな…神様ってのは如何だ?」
『ブッ!ハハハハハ!!』
光来の言葉に、子分達は大爆笑をした。
まあ…無理も無い。
普通、この世に存在しない者を殺ると彼は言うのだ…
そんな事、どんな人間だって出来やしない――筈だった。
「光来様、神なんてこの世に存在しませんぜ?」
子分2は、苦笑いしながら光来にツッコんだ。
だが、彼の目は真剣其のものだった。
そして、口をゆっくり開かせ――
「居るじゃねぇか…後ろに」
彼は、子分達の後ろを指差した。
『ヘ?』
子分達は、後ろを見る。しかし、其処には誰も居ない…
いや、視えていないのだ…【彼】の姿が――
「だ、誰も居ないじゃねぇですか…脅かさねぇで下さいよ…光来様」
「視えねぇだろうなぁ…称号を持たねぇお前等には…」
光来の言葉に、子分達は『ヘ?』としてた顔をする。
そんな子分達を横目に、彼はテーブルの上にあるワイングラスを取り、赤ワインを一口口にした。
「さっさと、こいつ等の前に姿を現したら如何なんだ…?【聖王神】さんよ…早く姿を現してくれねぇと、アンタの其の白い服がワインまみれになっちまうぜ?(妖笑)」
光来がそう言いながらワイングラスを構えると、「ぅ…ん…止む終えないか…」と言い、ミカエルは人間の姿になり彼らの前に現れた。
『なっ!?』
子分達は、いきなりの事で驚く。良く見ると、半分の者が尻餅をついたり、樽やカウンターの後ろに隠れたりしていた。
「光来よ…お前は相変わらず――」
「おっと、プライベートの話は後にしてくれよ…?俺は其処のボウズに用があるんだからよぉ…」
「え?」
光来はそう言い、ミカエルを――いや…彼の後ろを指差した。
「ル、ルーク!?」
ミカエルは、後ろを振り向いて驚いた。
そう…其処に立っていたのは、紛れも無く王位継承者ルークだった。
「ル、ルーク!?如何して此処に!?」
ミカエルが聞くと、ルークは「後をコッソリついて来た」と答えた。
「まったく、とんだお調子者と来たものだな…だから、盗賊なんかに攫われたのだと、私は思うぞ?」
「そうかな…?」
「そうだ…!」
ミカエルが呆れた顔でそう言うと、ルークは小さく溜め息をついた。
「良くお母様に云われてたけど…まさか、ミカエルさんにまでそう云われると思わなかったよ…まるで、お父様みたいだ」
(え?)
ルークの其の言葉に、ミカエルは疑問符を頭の中で浮かべた。
「そ…其れはどういぅ――」
「貰ったーぁ!」
彼は、直ぐに聞こうとしたが、盗賊達が横から彼の隙を見たかの様に、攻撃を仕掛けて来た。
だが、しかし――
『!?』
盗賊達は、ある事に気付いた。
「う…動けない…」
そう…躯が動かせないのだ。何かに固定されたかの様に――
彼等は、辺りを見渡した。
すると、ランプの近くにキラリと光る物が…良く見ると、其れは細長い金色の糸だった。
「く…くそぅ…こんな物――」
盗賊達は、糸を引き千切ろうとした。
だが、其の行動は、光来の言葉で静止された。 |