Master of Secret―神々の理―(29/50)PDFで表示縦書き表示RDF


Master of Secret―神々の理―
作:Yayoi Kazuha



四、偽りの薔薇 第三幕


「私だって、話すつもりだったさ…」

 椅子をアルの方へ向けると…其の者は、国王の姿では無く、【天界の民】の姿になっていた。
 金髪で額に小さくて青い丸い痣の【天界の民】…其れが、ルーク――いや、ミカエルの本来の姿であった。

「しかしね…誰かさんに似て、話そうにも話せる場を与えてくれない者ばかりでね…」

 ミカエルはそう言い、宝蘭からお裾分けして貰ったハーブティーを一口口にする。

[悪かったなぁ…俺の家族が、皆こんなんで…]
「別に、嫌味を云っている訳じゃないよ?」

 光来がムッとしながら言うと、彼は不敵な笑みを浮かべた。

(ゼッテェ…嫌味だ…)

 光来が、そう思っていると――

「何か云ったかい?光来」

 ミカエルは、視てないフリをしながら言ったが…光来には、自分の心を彼は何時も視ている事は分かっていた。

[今日と云う今日は、ゼッテェに許さねぇ…]
「え?何をだい?」

 今までの怒りの限界を超えた光来に対し、ミカエルは分かっているのか分かっていないのか…まだ不敵な笑みを浮かべていた。
 しかし、次の彼の一言が、ミカエルの行動を変えたのだった…

[もう人(?)の心を勝手に視るな!視る時は、必ず俺に聞け!!じゃなかったら、俺はお前の影武者を辞めるぞ!?良いな!?]

 全身の毛を逆立て殺気立った状態で、光来はミカエルに言った。
 流石に此れ以上怒らすと、何を仕出かすか分からないと思ったミカエルは、

「わ…分かったよ…」

と、渋々承諾した。
 因みに、最初に光来が話したと思うが…彼は、霊獣の【複製コピー】を生かし、ミカエルの影武者をやっている。だが、六年前からミカエルが直々に天界に赴いた事で、本人が人間界に居る事がバレている為、今の光来は伝言役として天界と人間界を行き来しているのだ。

「ところで…」
「ん?」
「ケイアス様は、如何致しましょう?」
「う〜ん…ケイアスには、此処まで色々苦労をかけたからね…其の疲れでも出たのかもしれないね。そうだね…客室に寝かしておいてくれないかい?アルベルト」
「畏まりました…では」

 アルはそう言うと、龍稔を抱えたまま、書斎から出ようとした。すると――

「あ…そうそう…」
「何だい?アルベルト」
「早く【ルーク様】にお戻り下さいね…?直ぐ其処まで、あの方が来てますよ」

 アルは忠告をした。

「あ、ああ…確か――」
翠彩すいさい様です」
「構わない…私の本当の姿は、彼は知っているから」
「そうですか…其れなら安心ですね。では」
「ああ…頼んだよ」

 アルが書斎から出ると、其れと入れ違いに黒い髪の少年が入って来た。

「失礼致します…ミカエル殿」
「やあ…いらっしゃい。翠彩…あと、兄さんもいらっしゃい」

 翠彩と思われる少年を椅子に座らせると、彼の肩を見ながらミカエルは言う。
 少年の肩には、黒い兎がちょこんと座っていた。

[気付いてたか…【聖王】よ]

 黒い兎は、テーブルに降りると葉巻を出し、火を付け吸い始めた。
 如何やら、ミカエルとは兄弟か何かの様だ。

「気付くよ…一緒に創られ、兄弟みたいなものなんだから」
[確かにな…で?何の用だ?我輩を呼んだのは、あの小僧についてだろ?]

 黒兎は、光来をジロッと睨む。光来も無言で睨み返した。

「御名答…流石は、兄さんだ。そう…ケイアスの事でお願いがあって呼んだんだ…」
[其れは、わざわざキースから呼び出す事か?【霊視】で通じ合えば良かろうに…]
「其れだったら、あの方々に知られてしまうからだよ…」
[成程…確かに、今回のは制限が多過ぎるからな…で?頼みは何だ?我輩は、此れでも魔族だ。内容次第では断るぞ?]
「大丈夫。今の兄さんなら、引き受けてくれる内容だから」
「ん?」

 ミカエルの言葉に、黒兎は首を傾げた。
 この後、ミカエルは、黒兎にある事を頼んだ。
 勿論、この内容は、内緒である。







ネット小説ランキング>異世界FTコミカル部門>「Master of Secret(改正版)」に投票
ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう