参、紅の少女 終幕
「誰だ!?私を止めたの――あ!」
ルークは、其の者に怒鳴ろうするが…誰なのか分かると口を瞑る。
其の者は、茶髪に軽装の鎧姿をしていた。
「サンキュー…雷兄」
龍稔は、其の者を見てホッとすると、其の者の名を言った。
「間に合って良かった…で、ミカエルを暴走させた原因は?」
雷鳴は、キョロキョロしながら聞く。
「あっち」
龍稔はそう言い、光来の方を指差した。
「あ…あ〜ぁ…成程…納得」
[俺で納得すな!]
雷鳴の一言で、光来は何故か立ち直る。果たして、先程ルークに何を視せられていたのだろうか…?
「龍稔…今回は、感謝するよ」
「だろ?出掛けるまでに云っておいて正解だったぜ…」
二人は、お互いかお見合いながら言う。
「其れに、本当に我々【傭兵隊】の出撃の狼煙がこの――」
雷鳴はそう言いながら、ショルダーバッグから何かを取り出した。
「大和だったとはね…」
[ケイアス〜ゥ]
ショルダーバッグから出された大和は、今にも泣きそうだった。
[ケイアス、寂しかった〜ぁ]
「よしよし…良く頑張ったな…」
大和を腕に抱えると、龍稔は優しく撫でてあげた。すると、落ち着いたのか…大和は、スヤスヤと眠りに就いた。
「あ、ミ――」
「神隊長!」
雷鳴が、ルークの本来の名を言おうとすると、【傭兵隊】の一人が中へ入って来た。
「な…何だい?」
「ブレス達は如何しましょうか?」
「そうだな…猿ぐわでもしといてくれるかな?彼等…大体魔術を使うから。あと――」
何か思い付いたのか、光来に近付き…
[おわっ!?]
「『コレ』を彼らのとこに置いとくと良いよ。結構役に立つし」
そう言い掴み上げて、傭兵に渡した。
「は…はあ…」
傭兵は言われるまま、其れを他の傭兵に指示し行い出した。
「さて、と…全く…」
雷鳴は、一息つくと、改めてルークへ話し掛ける。
「またかい?ルーク。君は、何時も事件に巻き込まれる…」
「う…」
雷鳴に呆れた口調で言われ、ルークは一瞬言葉を詰まらせる。
因みに、雷鳴は今、ルーク(=ミカエル)を【天界の民】としてでは無く、【人間界の者】としての名で呼んでいる。何故なら、【天界の民】としての名で呼ぶと、傭兵達がルークの正体を怪しむからである。
雷鳴の話によると、如何も…ルークは、何処かへ言っては、事件に巻き込まれている様である。
「だって、仕方が無いじゃないか…僕だって、好きで巻き込まれている訳じゃないし・・・」
ルークも、敢えて自分を【僕】と言う。こう言ってしまうと、今の彼は如何見ても甘えん坊にしか見えない…
そんなルークの横で、龍稔と光来は密かに笑っていた。
「コラ!其処、笑わない!!」
更に、其の横から鈴がツッコミを入れる。
鈴の平手撃ちは、見事に龍稔の頭にヒットした。
「イッテェな!?鈴!」
「国王様の事で馬鹿笑いした罰よ」
「けっ…助けたのは俺なのに、感謝の言葉も無いんだなぁ…」
「アンタ…前みたいに、火傷するくらい燃えたい?」
「っ!?」
鈴の脅しかかった言葉に、龍稔は一歩後退りする。
「冗談よ。嘘に決まってるでしょ?」
其れを見て、鈴は鼻で笑った。
(そう云うお前の次の行動が予測不可なんだよ!)
龍稔は、そう心の中で思い、鈴を恐れていた。何故なら、前に何度かあったからだ…彼女がそう言った台詞の後に、彼を火傷するほど燃やしたのが…
「有難ね?リュウ…あたしを助けてくれて」
しかし、今回は違っていた…
「(有難うか…三年も経てば、少しは変わるか…)べ、別に大した事はして無いぜ…?」
鈴から御礼を言われ、龍稔は半分照れながら返す。
「相変わらず、意地っ張りね…アンタ」
「わ…悪かったな…意地っ張りで」
「ところで…唐突なんだけど…」
「ん?」
「アンタと一緒に旅についてって良い?」
「別に構わないけど…」
「そう…」
鈴はそう言い、龍稔に近付き…
チュッ…
彼の頬に、彼女の唇が当たった。
「〜〜〜〜〜っ!?//」
龍稔は、慌てて頬を押さえた。
何かを言おうとしているのだが、彼の顔は声が出せないくらい真っ赤になっていた。
「今日から、また宜しくね…?あたしのよろず屋さん♪」
こうして…鈴が加わった一行は、神々の証である【十三の鍵】を探す前に、ルークを城に送る為、一旦ラリアス・シティへと向かうのであった…
紅の少女 ―完― |