参、紅の少女 第九幕
[ムッ…相変わらず、其れだけは厳しいよなぁ…お前]
光来は、ジトーォッとした目でルークを見た。
「仕方が無いだろ?此れも【長老会】の命令なんだから…」
[そうだったな…]
ルークが止める理由を思い出し、光来は話すのを止める。
如何やら、【長老会】は、【十三の鍵】の探索者に対して話す時にも規制を強いている様である。何処まで規制を強いているのかは不明だが…何かを企んでいるのは確かである。
[で…此れから如何すんだ?鈴ちゃん、帰れる場所また失くなったぜ?]
「あるさ…此処に…」
ルークは、自身満々にある方へと指を差した。
『へ?』
其の指差す方を龍稔・光来は見た。
彼の指は、明らかに龍稔に向いていた。
『え〜ぇぇぇぇぇ!?』
其れを見て、二人(?)は驚きを隠せずに居た。
「な、何で…俺なんだよ!?ミカエル!」
「だって、鈴さんの一番近くに居て、尚且…色々な事で勝手に【霊視】を使って、家族が居なく一人孤独で誰にも開かない彼女の心を覗いていたケイアス…君しか、今頼れないんだよ?」
龍稔の問いに…ルークは、彼が鈴にして来た事をまるで今まで見ていたかの様に、ズバズバと言った。
「う…うわぁ…全部お見通しかよ…!?さ…流石は、【聖王神】…」
「まあね…私は、此れでもまだ神族の長だからね…」
自慢毛に話すルークに、
[其れに、ただの暇人だからなぁ…]
と光来が付け加えると――
「何か云ったかい?光来…」
彼は、そう言い睨み付け…
[いや…何でも無い…]
光来は、黙り込んだ。
(お…親父なら兎も角…ミカエルって、意外と腹黒なんだな…以後、気を付けないと…)
其れを見て、龍稔が心の中でそう思っていると、
「ケイアス」
と、ルークが背後に僅かだが…殺気を漂わせながら近付いて来る。良く見ると、後ろには何かを恐れているのか…珍しく縮こまり躯を震わせている光来の姿があった。
「(お、親父?)え?何?」
龍稔は、恍けた様に言う。額には冷や汗が滲み出て来ていた。
「聞こえてるよ…?心の声」
(やべぇ…)
ルークの指摘に、龍稔は口に手を当てた。
「ケイアス…?」
「ご、ごめんなさ〜ぁい!以後、言葉を慎みま〜ぁす!!」
「其れで宜しい」
(ほっ…)
許して貰うと、龍稔は胸を撫で下ろす。だが…
「だけど、やっぱりお仕置きは必要だね…」
ルークはそう言い、何処からとも無くハリセンを取り出した。
「覚悟は良いかい?ケイアス」
「え…?」
「覚悟〜ぉ!」
何を思ったのか、ルークは急に狂ったかの様に、龍稔へとハリセンを振り降ろした。
「げっ!」
其れを龍稔は意図も簡単に避けた。しかし…
「あ〜ぁ…逃げないでくれるかな?」
ルークは、止まらなくなっていた。
龍稔は逃げ、ルークは彼を追いながらハリセンを振り下ろす…其の繰り返し…
「だ、誰か、止めろ〜ぉ!」
龍稔は叫ぶ。が、忘れては居ないだろうか?光来と鈴以外は、全員龍稔によって気絶しているのだ…
「お…親父!り…鈴!!どっちでも良いから、止めてくれ〜ぇ!!!」
其れを思い出し、二人に助けを求める。が…
「ご…ごめん…あたし、動けそうに無い…」
鈴は、先程縛られた際足を挫いた様で、動けずに居り…
[ミカエルのアレは怖い…アレは怖い…]
光来は、ミカエルに何を視せられたのだろうか…まだ怯えていた。
「もう〜ぅ!誰でも良いから、この暴走ミカエルを止めろ!!」
龍稔は更に叫ぶと…
「え?」
鈴の横をすり抜けるかの様に、何者かがテラスから入って来て…
「はい、ストップ」
ミカエルの前に降り立ち、片手でハリセンを止めた。 |