参、紅の少女 第七幕
「何で、入って来たんだよ!?あれ程、中へは入ってくるなと云ったのに!」
あれから…龍稔達は、ブレス達が気を失うまで殴っておいた。何故なら、彼等ギルド【ブレス】の基本的なやり方は、魔術だったからである。
そして、傭兵達が到着するまで見張っていると――龍稔は、ルークに問い質したのだ。何故、あの時に現れたのかと…
「ケイアス…君は、ブレスが犯した重罪の内、一つは何なのか知っているかな?」
すると、ルークは、問い返した。ブレスの犯した重罪を幾つ知っているのかと…
「そりゃあ…炎族を滅ぼした事だろ?」
「全く…其れだけしか知らないのか…其処だけは、まだまだ半人前だな」
「な…!?」
龍稔が反論しようとすると、
「光来、話してくれ」
と、ルークは光来へと振った。
「ん?」
と、首を傾げる龍稔に、光来は話し始めた。
[知っての通り、炎族を初め――俺達みたいな特殊な能力を持つ種族は、普通の人間なんかに滅ぼせれる一族なんかじゃねぇ…勿論、下級の魔術でもな。この中で滅んだとされる炎族は、奴――ブレスが異世界から呼び出したある者によって、滅ぼされたんだ…そう、魔族によってな…]
「!?」
龍稔は絶句し、少し離れた所に居る鈴の方へと顔を向けた。
鈴は、龍稔達の話を聞いていない様で、テラスで小鳥達と戯れていた。
「ア…アイツ…其れを見て、記憶が失くなってっしまったのか…?じゃあ、手掛かりを奴から聞き出せば――」
[無理だな…]
「な、何で!?」
父の言葉に、龍稔は聞く。
すると、光来は――
[奴とは、八年前に一度会ってんだ…そうだな…確か、フレア・シティが崩壊して間もない頃だ]
そう言い、昔の話をし始めた。
「光来の兄貴〜ぃ!」
光来が、一人で剣の修行をしていると、ブレスが遠い所から彼を呼びながら飛んで来た。
当時、ブレスはギルドを始めたばかりの時だったが、其の頃光来の下で剣術の修行をしていた。
「おいおい…俺は、お前の師匠だぞ?少しは、俺の事を【師匠】と呼べよ…」
実は、ブレスは光来の弟子でもあったのだ。つまり、雷鳴の弟弟子にあたるのだ。
「良いじゃねぇですか。オレ達、年が近いんですし」
「お…お前な〜ぁ…」
ブレスの呑気さは、何時もの事だった。だが、ある事を境に彼の人生は激変する事になる。
「あ…そうだ…オレ、ヤバイ事しちゃったんですよ…!」
「ヤバイ事?」
そう…この失敗が無ければ…
「オ、オレ…禁断とされてた高位の召喚術…使っちゃったんですよ!」
「んで?其れが如何したんだ?」
光来は、真剣な顔で話すブレスの話を聞いた。
「其れが、召喚した魔物を戻す術が全く通用しなくって、其のまま逃げて来ちゃったんです…」
「バ…」
「光来の兄貴〜ぃ!助けて下さいよ〜ぉ!!」
「バッカヤロウ!」
泣きながら助けを求めるブレスに対し、光来は何処にそんな大きな物をしまい込んでいたのか、刀と同じくらいの長さがあるハリセンを取り出し、彼を思いっ切りフルスイングし空へと叩き上げた。 |