弐、旅立ち 第三幕
其の話の内容は、魔界や天界のみでは無く、人間界をも巻き込む程の戦争みたいなものだった。
そして、次にルークが、
「【神魔革命】…此れが【彼等】がやろうとしている三千年前の再現だ…」
と言う事で、彼等は其の規模を思い知らされるのであった。
「【神魔革命】って、まさかアレ?」
「其のアレだ…」
――神魔革命。三千年前に起きた神と魔の争いの事である。
原因は、当時の【長老会】の最長老・ガイと【魔王】ルシファとの話し合いで出された答えに、魔族達が猛反発したから。『人間界で人間を殺してはならない』と、ガイとルシファは誓約を結んだが、魔族達は納得行かなかったのだ。
本来…魔族は、人間の負を糧として生きている。いや、彼らにとって人間の躯自体が糧なのだ。つまり、負はほんの一部に過ぎない。
だからこそ、反発したのだ。この誓約に――
最初に起きたのは、天界。天界と魔界を繋ぐ門の門番が殺られたのだ。魔族に――
神族は、魔族に忠告をした。だが、彼らの耳には、其れは入らなかった。
人間を殺したいという欲望で、【天界の民】を殺し始めたのだ。
こうなっては、【長老会】も黙っては居ない。
称号を持つ【天界の民】達を集め、軍を創らせ魔族に対抗した。
しかし、魔族の勢いは衰えず…被害は天界のみに止まらず、遂に人間界へと、彼らは殺しを続けた。
世界中何処を見ても、血まみれの世界となって行ったこの地に、救世主が現れたのは其れから半年経った時だった。
「確か、【混沌神】って称号…其の時から出来たんだっけ?」
話が戻り――
龍稔は、思い出したかの様に聞いた。
ルークは、
「其の通り」
と言い、ハーブティーを口にした。
「其れで?」
「ん?」
「【十三の鍵】の件は?隠しても無駄だよ?ミカエル」
一同は、息を飲んだ。
何故なら、雷鳴の背後に物凄い殺気が漂っていたのだから――
「まあ、ま、待て…先に食事でも…もう、そろそろ夕飯時だから…其れからでも…」
急に、ソワソワしながら言うルーク。
「駄目。貴方は、難しい事になると、直ぐに逃げるんだから…!」
そんな彼の性格を知っている雷鳴は、一向に退かなかった。
だが――
「で、でも、今日と明日は泊まる事にしてたし…」
『はい?』
ルークの言葉に、目を点にする一同。
「ちょ、ちょっと待った!そんな話、城では一言も云って無かったぞ!?」
戸惑いながら雷鳴は言った。
如何やら、ルークは彼に止まることを伝えていなかった様である。
「だって!君に云ったら、絶対にメグルに云ってただろ?」
ルークは、面倒臭そうに言う。
因みに、メグルとは――アルベルトの父親で、神殿の執事長を勤めており、ミカエルの教育係だった者で、今でもたまにラリアスに来ては、彼の教育をしている。一まとめに言えば、彼にとって苦手な人物の一人でもある。
「ぅ、うん…」
「だから、云わなかった」
「じゃあ、あの件は…」
「明日」
ルークの呑気な一言に、一同は大きく溜め息をつくのだった。
――次の日。
「ふあぁぁぁぁぁ…お早う…」
龍稔は、大欠伸をしながら席に着くと、珈琲を一口口にした。
良く見ると、向かいの席にはルークが座っており、相変わらずハーブティーを口にしていた。
「やあ。ケイアス、お早う」
「お、お早う御座居ます…」
龍稔は、ルークに朝の挨拶をすると目を反らし、パンを食べ始めた。
ミカエルの姿の時は普通に話せるのだが、流石に国王であるルークの姿になると、彼の口調は敬語になってしまうのだ。
「ケイアス…昨日は、良く寝れたかい?」
「い、いえ…あまり…昨日はちょっと考え事をしてて、なかなか眠れなかったんで…ところで、雷兄は?」
「【傭兵隊】の様子を見に、先にラリアスに向かったよ。帰りは、ケイアスに送って貰う事になったから、宜しく頼むよ?」
「あ…は、はい!」
「さあ、食べよう。早く食べないと、宝蘭に怒られるぞ?」
二人は、改めて朝食を取り始める。勿論、食事は全部宝蘭の手料理であるが…何故か、台所からは異臭が漂ってい――いや、気のせいという事にしておこう…(おい |