Master of Secret―神々の理―(1/50)PDFで表示縦書き表示RDF


 初めまして。
 私、作者の【Yayoi Kazuha】こと弥生和葉と申します。
 この作品は、八年の歳月をかけて、私が書き続けていたものを本格的に書いたものです。
 こう見えても、国語と英語が苦手なのですが…一生懸命書いたつもりです。
 ただ、本業が二十四時間不定期の介護職でして、毎日の様には更新出来ません。
 長いお付き合いだと思いますが、最後までご覧下さい。
Master of Secret―神々の理―
作:Yayoi Kazuha



零、始まりの時


 全ての始まりは、此処から始まった…



 ――死神達の総本部【死神連盟】。
 種族を問わず、死神に向いている者のみを勧誘する組織。
 仕事内容は、暗殺。
 連盟の最高責任者は、【議長】と呼ばれているが、殆どの幹部が彼の姿を見た事が無く、存在自体謎とされている。
 だが、幹部の中では【最強の死神】といわれていた。
 そんな死神達に、ある日衝撃が走った。
 其れは、【世界征服】。
 事の始まりは、議長の発した一言だった。

『この世界を魔物達だけの世界にする…』

 初めは、冗談かと死神達は思った。
 だが…議長は、其の言葉を実行に移した。
 先ず、初めにした事は――【魔王玉座強奪】。



 ――魔界。此処は、魔族のみが住まう世界。
 この世界は、昔から人間を嫌う派と好む派に分かれており、人間界に出向いて襲っては人間を殺す事が多かった。
 しかし、現在の魔王になってから、魔族達は人間を襲う事も殺す事も無くなった。
 そんな魔界へ――議長の企みは、ある日突然始動した。


 ウーゥン!ウーゥン!!と、魔界内の全ての非常サイレンが鳴った。
 魔界城では、

[緊急事態発生!緊急事態発生!!]

と城内に放送されていた。

「なっ!?何事だ!?」

 魔王・翠は、驚きを隠せず、書斎から慌てて出てきた。

「へ、陛下!ご、ご無事で御座居ますか!?」

 すると、廊下の奥から、翠の一の配下である翼が走って来た。

「わ、我輩は大丈夫だ…そ、其れより!こ、此れは一体何事か!?」
「そ…其れが――」
[無断入界アリ!無断入界アリ!!危険!!!危険!!!!]
「無断入界だと!?今、何処に居るのだ!?」
「はい…今――」

 ドスッ!と、何か鈍い音がした。
 いきなり翼が、翠の腹に拳を入れたのだ。
 しかも、溝内に…

「此処に…(妖笑)」
「クッ!?――ゥッ…」

 翠は、霞れゆく意識の中、自分の知らない不気味な笑みを浮かべる翼を見た。
 そして、彼は気を失い、其の場に倒れた…



「――うっ…」

 何時間経ったのだろうか…翠は、目を覚まし、ゆっくりと躯を起こした。

「此処は――ぅくっ!?」

 翠は、腹の痛みを堪えながら辺りを見た。
 目の前には、鉄の棒が何本も並んでいて、外側には見張り番役の魔族と死神を巡回していた。

「此処は、牢屋か…我輩もそろそろ潮時か…」
「何や…?誰かと思えば、魔王様やないか…」
「其の声は…!?」

 翠は、牢の中を見渡した。
 誰も…居ない?
 いや…相手が此方に姿を見せていないのだ。
 つまり、透明状態ステルス・モード。死神のみに出来るといわれている特殊能力。
 彼は、更に辺りを良く見た。
 すると、壁に黒い大鎌が不自然な形で置いてあるではないか…!
 鎌は、死神によって形や色が違い、翠は其の鎌を見て直ぐに誰のだか判った。

「全体的に漆黒の色をした鎌【闇の鎌ダーク・サイズ】…闇火か?」
「ご名答。お久しゅ〜ぅ御座居ます。魔王様」

 声の主は、一瞬にして姿を見せると、翠の前で跪いた。

「闇火よ。何故、そなたが此処に居る?」
「ワイも捕まったんですわぁ…翼ハンに。ホンマ、ワイってドジやな〜ぁって今思うてたところですわぁ…アハハハハハ」

 翠の問いに、闇火は笑いながら答えた。

「笑い事では無かろうに…」
「あっ、スンマセン…」
「で?そなたが、何故翼に捕まったのだ?あやつにそう簡単に捕まる輩ではなかろう?」

 翠は、改めて聞いた。
 すつと、闇火は、急に困った顔になる。

「実はのところ…翼ハンは、良〜ぉう分からんのんですわぁ…ハッキシ云うて…」
「はぁ?分からないって…」
「翼ハンは、ホンマ分からんとこがあり過ぎて…急に『お前を牢に入れる』って…」

 闇火の言葉に、翠は目を点にした。
 つまり、二人は理由も何も知らずに、牢に入れられたのだった。

「さて、先ずは此処から出るか…」
「そうやね…」
「此処から出るには――」
「鍵が要るわな…」

 二人は作戦を立て、脱出が出来る時を待った。
 そして、其の時がやって来た――

「異常は無いか?」
「異常はありません」
「そうか…ご苦労。交代しよう」

 見回りの時間がやって来たのだ。

「にしても…議長様も翼様も何を考えてらっしゃるのやら…」
「だな…我々も苦労するなぁ…」

 見回り役の死神たちは、ブツブツと文句を言っていた。

「――今だ…」

 翠は、小声で闇火に言った。
 作戦開始の合図である。

「お〜い!誰か来てくれ〜ぇ!!」
「ど、如何した!?」

 闇火の叫び声に、死神達は急いで駆け付けた。
 牢の中を翼見ると、翠がグッタリとした状態で倒れていた。

「なっ!?」
「魔王が死んどんや!死人と一緒に、牢の中に居りと〜ぉないわ!!早ぉ出して〜ぇな!?」
「わ、分かったから、待ってろ!ま、先ずは、死んでいるか確認するから!!」

 一人がそう言うと、鍵を慌てて開け、もう一人が翠へ歩み寄り、死んでいるか否かの確認をした。
 翠の躯は、もう冷たくなっており、脈も無かった…

「ほ…本当だ!し…死んでいる!!」
「早く運び出す――ぅっ!?」

 鍵を開けた死神の首に、闇火の手刀が入り、死神は其の場に倒れた。

「なっ!?何を!?ぅっ――」

 其れを目撃したもう一人の死神は、闇火に飛びかかろうとした。
 だが…心で居たはずの翠の手刀が、其の死神の首に思いっきり当たり倒れ込んだ。

「流石は魔族やわぁ…やっぱ仮死状態もお手のもんやなぁ…」

 闇火は、鉄格子に寄りかかり、拍手をしながら言った。
 ――仮死状態になり、敵の目を欺く。魔族の意外な特技が此れである。
 彼等魔族は、元々心臓など無い。其の為、脈など無く、ただ触れるだけで死んでいると同じに感じるのだ。
 しかし、翠の場合は、人間同士の間に生まれた【異色主】――心臓は持っている。
 闇火は、其れを利用して、この作戦を思い付いたのだった。

「そなたこそ、芝居が上手いものだな…」
「そないな事は無いでぇ…?って、もう敬語になって無いなぁ…」
「もう良い…普通で。先程は感謝する。我輩の呪いを解いてくれて…」
「ええって…ワイだって、アンサンには感謝しとるさかい…」

 お互いに、お礼を言い合い――

「さて、逃げるかな…?此処から」
「そうやな…ほな、行くでぇ!」

 こうして、二人は魔界を抜け出した。
 そして、人間界へと向かったのだった。





  始まりの時  ―完―


 〜次回予告〜

 人間界に、一人の天界の民が降り立つ。
 彼は、一人の少年に出逢い…そして、友人と再会す。
 友人の口から語られた真実とは一体…

 次回『十三の神と鍵』。

 運命、其れは必然と起きるもの…
 十三の神々の伝説、此処から始まる。






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