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  資料 作者:神威 遙樹
NO,5: Geist Haus
「暗いな、しかも変な声とか聞こえるぞ」

 古城の中は薄暗く、何か呻き声とかすすり泣く声とか聞こえる……

「まるでお化け屋敷ね」
「人工的にこの城の中に呪力災害を起こしたんでしょう」
「えぇっ!?」

 それって滅茶苦茶危ない気がする。
災害でしょ?

「この位のレベルなら大丈夫だ、長い間いたらヤバいけど」

 どれ位か非常に気になるけど、大丈夫らしい。

「さっさと封筒探しましょ、出遅れるわ」

 これが入試だと思うとゾッとする。
怖いのは苦手ではなかったが、これはレベルが違う。

『私の首を知らないか?』

 突如として目の前の廊下から首の無い、鎧を着た騎士が現れた。
どうやら首を探してるらしいって……え?

「……な、ななななな何これ!?」

 何で入試に首の無い騎士が出てくるの?
まず、どっから声出した?ダメだ、変な事しか思い浮かばない。

「首の無い騎士はヨーロッパ各地にある怪談話ね。ユーキ? 日本にはいないの? 首無し騎士?」

 いるいないの話じゃないでしょう!
大体、そんなの知らない。

「首無し『武士』ならいるかもね……」

ダメだ、体が……
あれ? 体が震えていない。そういえば腰も抜かしてない。

「体は慣れているんです」

 コソッとセイラが教えてくれた。
慣れてるって何だ?
突っ込みたいが、そんな心に余裕は無い。

「武士? あぁ、侍ね! 良いわね〜騎士より絶対格好良いわ! 日本の漫画の侍ってお洒落だもの」

 ……何の漫画なのだろう?

「ほら、死神のよ!」

 それは侍じゃない!
自分でも死神って言ってるし!
ってあぁ!? 騎士がこっちに近づいて来る!

『首をよこしてもらおうか?』

 なんか首要求してきた!?違います! あなたのじゃないです!

「侍の方が格好良いって言ったから、怒った?」

 ミュウさん、何のんびり言ってるんですか!
あぁ! 剣を鞘から抜いた!

「じゃあユーキ、オンミョードー見してね」
「はい?」

 いきなりですか?
ミュウさんのいきなりの頼み。
正直自信が無い。思い出しても別に使った訳でもない。

「馬鹿かお前は!? なんでユウキなんだよ! それならまずお前からだろ!? いっそなら俺が!」

 アレンは事情を知っているからか、今までにない位強く言う。セイラを見ると、無言で頷いた。
覚悟を決めよう。

「いいよ、アレン。下がって、俺がやる」
「は? ちょっ、ユウキ!?」

 これ以上アレン達に迷惑を掛けちゃダメだ。
ここにいるという事は、何が何でも合格しなければならない。
それは、三人の為。
自分一人の為に不合格という犠牲には出来ない。

「大丈夫です。悠輝さんを見といて下さい」


 記憶の中から術の記憶を手繰り寄せる。そして、その記憶に沿って呪文を紡ぐ。

「我、陰陽五行、八卦の術により魔を退ける者也。太極より生じしその業火で魔を焼き払え」

 詠唱と同時に、右手で五芒星を描く。
すると、右手が通ったところに光の線が残り、五芒星が浮かぶ。

「破邪煉火」

 術名と共に五芒星の中心に札を一枚投げる。
札は中心を通ると赤く輝き、騎士の前で煉獄の炎を放つ。
 騎士は悲鳴を上げながらも剣を持ち上げ斬りかかろうとするが、途中で灰になった。

「……ふぅ」

 ……滅茶苦茶怖かった。初めてだから失敗するかもしれなかったし。

「へぇ! オンミョードーって初めて見たけど、豪快ね! 私やアレンなんか地味だもの」
「余計なお世話じゃ!」

 そういえばまだミュウさんとセイラがどんな魔術師か聞いてない。

「なぁユウキ、お前いつ思い出したんだ?」
「あぁ、またこれが終わったら話すよ」

 今話しても意味はないからね。もうちょっと落ち着いた時がいい。

「ほらそこの二人、置いてくわよ」

 ミュウさんに急かされて先を急ぐ。

「でもさ、何であんなお化けとか出てくるの?」

 これは一種の災害の筈。お化けが出るのが災害なのかな?

「呪力は様々な現象を引き起こします。ここの場合は多分、人の念でしょう」

 アレンに聞いた筈なのに、セイラから返ってきた。
前を見るとアレンはミュウさんと取り込み中。何だかんだで仲が良いね。

「人の念?」
「はい。多分ここは昔からお化けが出る、と言われていたのでしょう。その噂が念となり、呪力により具象化されてるのでしょう」

 要するに、嘘が本当になった訳か……

「じゃあお化けって存在しないんだね」

 原因は呪力が見せてるから、所謂幻影。

「いえ、いますよ。悠輝さんは見た事無いですよね。その力もさっきまで封印されてましたから」

……どうやらいるらしい。

「それに、さっきの騎士や強力な幽霊は触れますよ? 魔術師なら」

……触れるらしい。絶対触り心地は悪いだろうね。

「さっきの騎士ってそんなに強かったの?」

 強力な幽霊と同じで触れるんだから、やっぱり強力なのだろう。

「それは違います。呪力により具象化された物は、基本的に触れます。だから、あの剣で斬られたら死にます」

 だからあの宙に浮いてた人、最後に死ぬなって言ったのか……

「ここが怪しいわ!」

 セイラに色々とレクチャーされている間に、ミュウさんは封筒がありそうな部屋を発見した様子。

「ほら! 皆行くわよ!」

 先陣切って扉の中に入る。アレンもすぐに続き、ついで俺達が入る。

「……あれ?」

 がしかし、部屋の中には自分とセイラしかいない。

「どうなってるの?」

 確かにアレンとミュウさんはここに入った。
なのに、いない。神隠しか!?

「もしかして……」

 セイラは何かに気付いたらしい。

「どうしたの?」
「多分このお城、空間が歪められています」

 やはり、入試。
そう簡単に合格はさせてくれないようだ。
神威です。 やっと始まりましたよ、入試…ほんと、グダグダですね…精進します。 でわ、また次回。


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