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  資料 作者:神威 遙樹
フィ 「……」     作 「どうしたフィーネさん?」         フィ 「このサブタイトルの元ネタ、分かる人はいるのでしょうか?」    作 「……一人はいるだろうと思う。少なくともマニアックではないぞ? 有名だから」        フィ 「それは貴方の周りではでしょう?」    作 「……ごもっともです」
NO,28: 24karats
「痛い痛い痛い痛い!」

 現在、学院の医務室で吹っ飛ばされた時にできた痣に軟膏を塗って貰っているのだけど、激しく痛い。泣きそうだ。
 あれから三日、学院は何事も無かった様に授業を行っている。
俺達優秀斑は、勝手森に入った事についてみっちり教授方に叱られた。トラウマになるくらい叱られた。
 それでか、学院の生徒の大半が俺達優秀斑三班が森に殴りこんだのを知っている。生徒の情報網は意外と広い。
 そのせいか俺とアレンは同学年の男子に、セイラとミュウさんは女子から質問攻めを食らった。
殆どの部分をぼかし、大規模な呪力災害で通した。
 あれからあの目は出てこない。鏡の前で出てこい、と念じても呪力を流しても無駄だった。
この事を知っているのは俺とセイラ、あと大陰だけだ。アレン達には話そうか迷っているが、今は止めとく事にした。
 それで、この軟膏。
何でできているのか分からない謎の物質である。
緑で、ネタネタしている。物凄く気持ち悪い。
かなり効くけど。

「これって、何でできてるんですか?」

 激しく疑問に思ったから訊いてみる。
医務室にいる人は、どこの国でも、たとえ魔術師でも白衣を着ている中年のオバサン。若くて美人な保険医はあくまでもフィクションの世界の物であり、実際はそんなに現実は甘くない。

「まぁ……色々と調合して作っているんだよ」

 物凄く適当にあしらわれた。調合って、授業でやっている魔術薬のあれの発展版か。上級生になったらまたやるかもしれないね。
某小説のスネイプ先生の授業を思い出してみたら分かりやすいと思う。
でも、このネタネタ感はどうやってだしたのだろう? かなり特徴がある。

「あの、このネタネタ感はどうやって?」
「あぁ、それは多分水銀だね」
「水銀!?」

 あれって毒じゃなかったっけ? 四大公害病の原因にもなってなかったっけ? 大丈夫なの?

「微細な調合度合いで毒から有益な物を取り出す。古来いにしえからの魔術師の技術だよ」

 そう言って部屋の奥へと消えるオバサン。
なんか、この軟膏が怖くなった。

「おーい、軟膏塗ってもらったか?」
「医務室よ、静かにしなさいアレン」

 そんなやり取りをしながらアレンとミュウさん、その後ろからセイラとローブのポケットから顔を覗かせるフィーリア。
ちなみに、レメティアの皆さんは事件が終わるとすぐに帰られた。
そのさいセイラは何かを言われていた気がする。
 そのセイラの後ろから入ってくるのは、フィーネさん……あれ?
目を擦って再確認。
やっぱりフィーネさんがいる、霊かな?

「どうしました? 私の顔に何か付いてますか?」

 不思議そうな顔をして首を傾げるフィーネさん。
あぁ、これは夢か。フィーネさんがこんな感情豊かな顔をする筈が無い。声も変わってはいないが感情は篭りまくっている。夢に違いない。

「驚きなさい、ユーキ! フィーネさん復活よ!」

 ……夢ではなかった。
ババーン、と宣言するミュウさん、嬉しいのかニコニコだ。周りもニコニコ、フィーネさんは微笑んでいる。……え?

「え?」
「鈍いぞユウキ、フィーネさん復活だ」

 アレンがミュウさんの言った事をもう一度言う。

「えぇぇぇぇぇぇ!?」

 自分でもすっとんきょうだと分かるくらいの声だが、仕方ないだろう。
フィーネさんは一歩前に出て、微笑んだ顔で話し始めた。違和感しか感じないのは仕方ない。

「実はエドワード教授に修理していただいたんですが、生徒を守った功績を称えて感情等の自我を手に入れ、少しの錬金術を扱える様になりました!」

 今までと声は一緒、表情は微笑んだ感じ。
パワーアップして帰ってきたのか。スーパーフィーネさん、ここに爆誕。
 そんな事を思った後にすぐ、ある思いが頭に浮かんだ。
謝って、お礼を言わなくちゃね。

「フィーネさん」
「はい、なんでしょう?」
「俺のせいで、あんな事になってしまって……ごめんなさい。あと、守ってくれてありがとうございました」

 少しかしこまった感じだが、このくらいがいいと思う。
フィーネさんは一瞬虚を突かれた感じだったが、すぐに微笑み、言葉を返す。

「いえ、別に大した事はしてないです。感情も手に入れた訳ですし、私の為に凄い戦ってくれたそうですし、お礼なんて……」
「いや、でも命の恩人だし……何かお礼でも」

 微笑ましい雰囲気が心地いい。フィーネさんが無事で本当に良かった。

「そういえば、なんで無事だったの? かなり矢が刺さってたよ?」

 あれは思い出したくないが、修理できたレベルなのかな?

「あ、頭は無事でしたので。まぁ偶然ですが」
「偶然なんて無いわよ、あるのは必然だけ」

 フィーネさんがそう言うと、ミュウさんが横から口出しする。彼女らしい。
 しばらくそんな感じで過ごしていたが、なんとなくフィーネさんに向かって言いたくなったので、ある言葉を言ってみる。

「これからも、よろしくね」
「勿論です。あ、そうだ。お礼はこれで結構です」

 フィーネさんがイタズラっぽく微笑んだ。
嫌な予感がする。
 身を引こうとしたら、いきなりフィーネさんからタックルを食らった。
と思ったが、タックルではなく包容。
めっちゃ柔らかいです。
機械なの?
 しばらくボーッと時間が流れたが、それは驚愕で言葉が出なかっただけらしかった。

「フィ、フィーネさん!?」
「フフフ♪ はい?」
「ほほぅ……」
「あらら」

 一気に周りが騒がしくなる。
こういう騒がしくても心地いい時間がずっと続けばいいなと思うね。











「ここにおられたのですか、若」
「おっ! 帰ったか、ご苦労」

 黒い着物を着た男が、霧の向こうを見ていた男に話し掛けたのだった。

「百万ドルの夜景も、こう霧に隠されちゃ値が下がるな」
「知ってて来たのでしょうに」
「まぁな、でアミリアはなんて?」
「何も、強いて言えば、何故今の時期なのかと」
「そんなん俺も知りたいな。何故この時期か」
「本当に知らないのですかの?」
「……今はな、いずれ知る。その時はちゃんと皆に教えるさ」
「そうですかの」
「あぁそうだ。呪力のあり得ない停止、原因分かったぞ」
「何が原因なのですかの?」
「魔眼、神代の二大魔眼の一つ『聖霊ノ御眼スピリットビジョン』だよ」
「ほぅ……」
「あれ? 意外と冷静」
「今一分からないだけですのぉ」
「呪力を込めて見たら、そこの呪力の流れを停止させる金の目だ」
「それはまた、特異な」
「大陰に訊いてみたら『その事についてはなんも言えへん』ってさ」
「知らないのでしょうな」
「あいつはな、主に従順だ。多分、北藤君が絡んでるな」
「何故に?」
「『その事についてはなんも言えへん』の『その事』とは目の事だ。もし知らなかったらあいつは『はぁ? なんやそれ?』って言うだろう。だからあいつは何か知ってる。北藤君関連で、口封じでもされてるんだろうな」
「問いただすのかの?」
「んな事しねぇよ、自分で調べる。あいつも俺の家族の一員だからな」
「それは何よりじゃの」
「……世界が大きく捻れて歪むと言ったが、『奴ら』以外の事でも歪みそうだよ、ほんと」
「大して気にしてないじゃろう?」
「かもな……」

 男はそこで少し笑い、続けた。

「でも目は気になるな。色と能力が一致してて興味深い」
「どういう事かの?」
「金の目だ。きっと24カラットで輝いてるんだろうな」
「某にも分かりやすく言っていただきたいの」
「悪い、じゃあ簡潔に言う。金属が反射した光って、冷たいだろ?」
「……成程」

 二人の男は目を合わせ、ニヤリと笑い合う。

「うねり始める世界をいつまでも見てる気はしない。準備は抜かるなよ」
「わかってますのぉ」

 一陣の風が吹いた。
その言葉だけが不思議と響いているだけで、二人の姿は消えてた。
 こんにちは、神威です。
前書きで言っていた元ネタとは、EXILEの楽曲『24karats』から取りました。金の純度に使われる単位、カラットの最高値。純金でしかこのカラットは存在しません。純金のみ24カラットと言うのです。
歌詞には『本物だけが放つ光、24karats!』ってあります。私もこの意味合いで取りました。
最初の長編『禁忌』編はこれにて完結。次回からのんびりのほほんとした話が入るかと思われます。
 ではまた次回!
暇ならYouTubeで聞いてみて下さいね『24karats』


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