レインの憂鬱
―レインがトリステイン魔法学院に入学してから1ヶ月程が経った。
朝は早朝トリーニングに始まり、朝食、学業、夕食までの間はほぼルイズ、キュルケ、タバサ、レインの四人で居ることが多い。そして夜はルイズと二人で魔法の特訓だ。
レインがブレスレットを渡したあの日からルイズの意識も徐々に変化があり、自分が『爆発魔法』の使い手だということを受け入れ始めたようだ。勿論まだ系統魔法を使えるのでは無いか?という思いは残っている。言われずともレインは理解しているし、早々割り切れるものではないと認識している為そのことについては言う必要はないと感じている。
それに、最近ではルイズのコモン・マジックに変化が訪れた。それはいままでどんな魔法も唱えれば爆発していたものが、『何も起こらなくなった』のだ。爆発魔法から失敗魔法へと一歩を踏み出したことになる。そのときは自分の魔法は『爆発魔法だ』という認識が強い所為か、上手くイメージのシフトチェンジが出来ていないのだろう、とレインは当たりをつける。
こうしてルイズの中では二人きりの秘密の特訓、レインの中では来るべき日の準備ということで夜の一日は過ぎていく。
そして学生である日常はというと、時たまタバサが数日間いなくなり、帰ってきたと思ったらレインが傭兵の仕事でこれまた数日間不在になることも、マジックアイテムの研究と言い丸一日授業をサボる日もあった。
それにキュルケの熱烈なアプローチも、ルイズとキュルケとの言い争いも、無関心に読書をするタバサも相変わらずである。
そして個性的な面々に囲まれている憧れのレインに近付くことが出来ない貴族の少女と一部の少年たち。
キュルケだけでも近付こうとする意志が削がれるのに、怒鳴り散らすルイズと、レインの隣には氷の様な少女、タバサが高確率で陣取っている。決してタバサは睨んだり、何か言ったりするわけではないのだが、無言のプレッシャーを感じざるをえない。
それでも諦め切れず、遠巻きに見詰め、隙あらば!と狙う女生徒の数は多い。
またそれなりに一部の男子生徒との会話もあるレインだが、基本的にはキュルケとルイズ、龍虎の双眼に睨まれ退場することが約八割を占める。
そして変わったことと言えば、早朝トリーニングの終わるのを見計らってシエスタがタオルと飲み物の差し入れをしてくれるようになった。意図せぬところでシエスタとの繋がりが出来た。というか朝から晩まで色々とあって忘れていたというのが本音なのだが、「結果オーライだろ」とレインは納得する。
シエスタは勿論、他の使用人とも関係は良好と言える。特にこれといって何かをしているわけではないのだが、レインの貴族、平民分け隔てなく接するのと、やはり一番の理由は人柄だと言える。
それとルイズのことになるが、大っぴらに“ゼロ”と呼ばれることがなくなった。これには常に側に誰か…と言っても決まっているのだが、居るためだ。それについてはレインの存在が大きいのだろうが、キュルケと言い争っているのも中々近付けない要素でもあるし、何より教師陣も授業中に爆発を起こさせられては困る為牽制しているのも大きいと言える。
そしてもう一つ、
「俺の噂?」
「えぇ…」
昼食も終わり昼休みと言ったところだろうか。木陰に腰を下ろしたいつもの面々はレインを囲むようにし、視線を送る。珍しくタバサも読書はせずに小脇に抱えている。どちらかと言えばレインはそちらの方が気になっていた。
「タバサが本を読まないほどの噂なのか?」
「あら、珍しいわねタバサ。親友の想い人が馬鹿にされるのはいやなのね!?」
それについては何も答えないタバサにキュルケは勢いよく抱き着く。その姿はまるで仲の良い姉妹そのままである。黙って捏ねくり回される無表情なタバサだが、どこか照れている様にも、困っている様にも見え、レインはそっとタバサに微笑む。
「元はと言えばアンタが原因でしょうが!!」
キュルケに怒鳴り付けるのは勿論ルイズしかいない。
「あら、恋愛は自由よルイズ。それにしても、トリステインの男も高が知れてるわね」
ルイズの怒鳴り声を気に止めることもなくヤレヤレと肩を竦めるキュルケ。そして「それに」と付け加えると、ルイズの近付いていた額に人差し指を挿し、一度、二度と突く。
「ルイズ、あんたもレインが馬鹿にされる原因の一端だってこと自覚してる?」
「そっ、それは…」
先程と打って変わり、肩を落としシュンと小さくなってしまう。
レインは首を傾げる。馬鹿にされる噂?それも二人が原因?全くもって心当たりが見当たらない。
するとタバサがゆっくりとその細く雪のような腕を伸ばし、ルイズを指差す。
「ゼロ」
そして今度はキュルケへと指を指し、
「“元”達」
レインの頭上にはクエスチョンマークが三つほどくるくると回っている。
「レイ、実はね…」
肩を落としたルイズが抑揚の無い声でポツリポツリと話し出した。
なんでもここ一ヶ月の間レインはルイズと一緒にいることが多く、それを見ていたプライドの高い、“学院内”では優秀な一部の男子の間で噂が流れているらしい。
それは『実はレインは大した実力を持っていないのではないか?』と言うものだ。
そこまで聞いたレインは更に首を傾げる。それがルイズの“ゼロ”とキュルケの“元彼氏達”になんの関係があるのだろうか。
なんでも、何故レイン・カーン・ファ・ラ・キュベレー程の噂通りの実力の持ち主が“ゼロ”であるルイズと親しいのか、それ程の実力の持ち主ならば自分達の様な、学院の優秀な生徒と交流を持つべきだ。自分達貴族は始祖ブリミルによって選ばれたメイジであり、更に有能な力を持つエリートなのだと。
それなのに魔法の一つも使うことの出来ない“ヴァリエール”の落ちこぼれと一緒にいる必要があるのか?と。
ここまでを聞いたレインは一杯に膨らんだ肺の空気をこれでもかと言うくらい吐き出す。
「頭痛くなってきた…」
引き攣る頬を隠そうともせず、蟀谷を押さえる。
「それで本当はレイも私と同じで魔法を使えないんじゃないかって…」
申し訳なさそうに沈んだ声を出ルイズ。
「それに授業でもレインに魔法を実践させようとする教師もいないしねぇ」
そうなのだ。キュルケの言う通り、レインは入学してからただの一度も授業でその杖を振ったことは愚か、黒羽を鞘から抜いたこともいない。
これは恐らく教師の面子を守るためだとレインは当たりをつける。この学院で働く教師は殆どがトライアングル、もしくはスクウェアクラスである。勿論そこに自身の系統魔法が一番という自負と、自尊心があり、生徒の前でその教鞭を振るう誇りとプライドはかなり高い。
その為、自身のプライドと尊厳を守ろうとする為自然と“七帝”のレインは避けられる。
意図も簡単に超えられては困るのだ。
その為、『侯爵家からなんらかの圧力がかけられているのではないか?』と噂を口々に言う者達からは言われている。
「それで、キュルケの元お付き合いしていた人達は?」
蟀谷を押さえ、閉じた瞳のまま苦笑いする。
「それが、その噂を流したのが私の前にお付き合いしていた人達ってわけ」
「あぁ、やっぱそうなるのね…」
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。二つ名は“微熱”。炎の様な燃えるロングヘアーと整った顔、男を魅了するそのボディーラインの微熱に感化され、燃え上がる情熱に変わる男達は数知れず。複数の男達を囲む逆ハーレム。
キュルケ自身は火のトライアングルメイジであり、ゲルマニアでは名高いフォン・ツェルプストー家の子女である。勿論その女が惚れる男達も一流のメイジであり、学院内でも美男子であり将来有望な能力を持っているものに限られる。
勿論、それに比例してプライドは人一倍高く、キュルケの彼氏の“一人”としてそれなりの自信がある。
その彼達の自信とプライドを見事打ち砕いたのは他でもないレインだった。
いままでキュルケの彼氏達としてそれなりの不満もあったであろうが、そこは流石と言うべきか、キュルケの手腕で微妙なバランスを取っていた。それがどうだろう、レインと言う突然現れた存在によって、その絶妙なバランスで建っていた塔は見事に崩壊したのだ。たった一人の男にキュルケの彼氏達全ては負けたことになる。全員フラれたのだ。
そして自然とその矛先はレインへと向けられる。中にはキュルケの誘惑に負け、付き合っていた少女と別れた者もいたであろう。はたまた付き合って数日の男もいたであろう。
ふとキュルケにフラれ、気付いてみれば他の女生徒はレインに羨望と熱い眼差しを注いでいるではないか。それも気にせず、キュルケのアプローチすら意に介さず、元彼氏達にしてみれば殺意すら沸き起こる。
それは何気ない一言がきっかけだった。
どんな小さな水滴でも、きっかけが有れば水面へと落ち、その波紋は時間を掛けることなく広がっていく。
「ゼロなんかといるくせに」
その一言が大きな波紋を呼ぶことになる。
一通りの説明を聞いたレインは面倒そうに頭をかく。元々そんな噂話を気にしているわけではないが、ただ面倒臭い。
「ごめんなさい」
ポツリと漏れた声の主はルイズだ。彼女はこのときばかりは自分の力の無さに責任を感じていた。噂話はただの噂話であり、レインに嫉妬した単なる逆恨みだとはわかってはいるが、自分自身がゼロと呼ばれ、実際魔法を使えないことが噂話の一端を負っている。ルイズ自身直にレインのその力を見たことは無いが“七帝”のレインの逸話は信じて疑わない。
「別にルイズが謝ることじゃないさ。まぁ、仕方ないんじゃないの?こればっかりは」
そう言うレインは苦笑いを浮かべる。
「そうよルイズ。誰にも責任はないのよ」
そう言ったのはキュルケだ。「お前は違うだろ」とその場の全員は思っただろうが敢えて口には出さない。言っても仕方の無いことだし、何よりレイン一本に絞ったのは彼女としては異例のことで、いまだに信じられないからだ。
「まっ、なるようになるさ」
自分でどうにかする気も無いし、とレインは一人内面で呟き寝転び目を閉じる。ふと、影がかかり、「またキュルケか?」とレインは困ったように目を開けると、そこには青い髪の少女が覆いかぶさっていた。
「タ、タバサ?」
困惑したレインの瞳をじっと見詰める。
「悔しくない?」
その一言でレインは悟った。「こりゃ焚き付けてるな」と。そしてその裏にあるどす黒い感情を理解すると共に、悲しくもこの少女の運命に強く歯を食いしばる。しかしそれを顔に出さずに、
「いや、言わせておけばいいさ」
と自嘲的な笑みを見せる。
「…そう」
それだけ言うとタバサはその身を引き、本を開いた。
しかし、運命とは時に悪戯にことを荒立てるらしい。
「それではこれより模擬戦を始める!二人一組になったか?」
そう言ったのはのギトーだ。ギトーは風のスクウェアメイジであり、自身の系統は最強と豪語し授業もほぼその自慢話と、他の系統を見下す鼻にかけた授業が多い為、あまり生徒間の評判はよくない。
さて、いまはそのギトーの授業であり、昼食後の休みを終えたすぐ後だ。
「ご都合主義も此処までくると、自分の存在を疑いたくなるな…」
苦笑いで漏らすレインにペアになったルイズは首を傾げる。
先程ギトーが言った通りいまは二人一組による模擬戦の授業中だ。入学して経った一ヶ月足らずでこんな授業をするのはただ単にギトーの『風の系統こそ最強』を定説させたいが為の自己満足によるものだった。
それが解っている上、教師含め、実践経験の殆どない生徒のただのチャンバラごっこと、下手に力の制限が出来ない生徒達にもしものことがあったらどうするのだと、そんな事に付き合うのかとレインはやり切れない思いに肩を落とす。
そんなレインの内心など知らず、その姿を嘲笑う一画が存在した。
「やっぱりゼロと組んだぜ」
「ハハッ、お似合いだよな」
等など聞こえる囁きに、レインは溜め息をつく。ふとルイズに視線を送ると、どこか落ち着かない様子で不安の色が滲み出ている。落ち着かせようとそっと柔らかなピンクブロンドの頭に手をやると、ビクッと肩が跳ね上がる。
「心配すんな。俺に良い方法がある」
そう言うとルイズの耳元へ口を近付け、レインは何かを囁く。それを聞いたルイズは驚いた表情で離れていくレインの顔を見詰める。
「ルイズなら出来るよ」
穏やかな口調で、安心させる為に微笑みかける。
「やってみるわ!」
力強く頷くルイズ。その顔を満足げに見るレインに声がかけられる。
「はぁ〜い、お二人さん」
「キュルケ!?」
「…とタバサ」
声のかけられた方に視線をやれば、手を振るキュルケと身の丈もある杖を持ちながら本を読むタバサが写る。
「ルイズ、あんたレインの足引っ張るんじゃないわよ」
「そ、そんなことしないわよ!ふ、ふんだ!私達のことより自分達の心配したらどうなのよ?!」
腕を組んでツンと顔を背けるルイズにキュルケは不敵な笑みを浮かべ、タバサに視線を送る。そのタバサは本から視線を離さず、杖で自分達の背後を指す。すると先程まで模擬戦をしていたであろう場所に、固定化の掛かったマント以外を身につけていない黒焦げの男子生徒と、昆虫標本よろしく、数本の凍りの矢に貼付けられている男子生徒が地面に目を回し、横たわっていた。黒焦げの方は確かキュルケの元彼氏達の一人ではないだろうか。
「相手が悪かったな」
レインは呆れたように言い放つ。ルイズは呆然と口を開けている。その表情を見てキュルケは自慢げに髪をかきあげ鼻を鳴らす。その自信に裏付ける程の実力がこの二人にはある。教師合わせてこのペアに勝てるのはほんの一握りであろう。単独でこのペアに勝てるとしたら、学院でもオールド・オスマン、コルベール、ロングビルことマチルダ・オブ・サウスゴータ、レイン位だろう。
「どう?ルイズ。私といまからペアを交換する?」
「ふざけないで。私だってやれるわよ」
そう言うルイズの口調は抑えながらも覇気の篭ったものだった。ただ真っ直ぐに見据えた先にはいま模擬戦をしている者達を飲み込む色が見られる。そこに油断や慢心はない。否、出来る筈はない。しかし、確固たる自信があった。一ヶ月間だがレインと共に練習した『自分だけの魔法』を受け入れた証拠でもある。その様子にレインは薄く笑う。
「ミスタ・キュベレー、ミス・ヴァリエール、君達の番だ。出て来なさい。」
不意に掛けられたギトーの声にルイズが過剰に反応する。そしてその場にいる全ての生徒の視線はこれでもかと言うくらいに二人に注がれていた。
模擬戦の場には既に相手は立っており、腕を組んで下品に笑っている。ルイズを見下し、剰えレインの噂を真に受けた哀れな者達。
レインは一度ルイズの頭を撫でると「言った通りに」と一言呟き、無表情に歩き出す。ルイズは頷くとその背を追っていく。
「ふん!ゼロのルイズ、模擬戦だからって容赦しないからな。魔法使えるんだろ?」
馬鹿にしたように口の端を持ち上げるのはヴィリエだ。「こいつにはつくづく縁がある」とレインは見据える。
「それでは両者用意はいいな?・・・始め!!」
ギトーの一声に相手の二人はサッと目の前に杖を構え、馬鹿正直に詠唱に入る。
その姿を見たレインは小さな声でルイズを促す。
実践で言えばこの様な行為など命取りも良いところだ。本来メイジがその能力を発揮するのは中距離から遠距離であり、近距離においてその能力を発揮出来るものは少なくても魔法学院内でも数名しかいない。勿論相手の二人はその数名に入らないどころか掠りもしない。これはルイズとレインの実力を自身よりも下と判断し、尚且つ実践経験のない愚行と愚考。普通ならば足を動かし、相手との距離を一定に保つために円を書くように走り回るのが得策だが、所詮一介の生徒である。ただ杖を構えて詠唱をするのみであった。
しかし、その詠唱に入った二人よりも早く、高い良く通る声がこの場に響く。
「エクスプロージョン!」
ルイズだ。詠唱を必要とせず、その声に乗せて杖を相手の一人に指す。
刹那、一人の眼前の空間は歪み、けたたましい爆発音が辺りを包む。
「なっ?!」
突如起こった爆発にヴィリエは目を奪われ、詠唱は止まってしまう。その視線の先には仰向けに倒れ、顔が黒く煤け、アフロヘアーになり完全に気絶したペアの男子。
更に、
「エクスプロージョン!」
もう一度発っせられた声に、ヴィリエは対応出来ずに顔面を黒煙に飲み込まれる。
出来上がったのは見るも無惨なその姿。
仰向けになった物言わぬ肉塊が二つに増えていた。
「…やるじゃない」
ポツリと漏れた声はキュルケだ。周りを見れば皆同じように口を開け呆然としている。レインなら未だしも、勝負を決めたのは他でもないルイズ、他の生徒が“ゼロ”と馬鹿にしたあのルイズなのだ。
当のルイズは指していた杖を力無く下ろし、大きく息を吐いていた。
「なっ、言った通りだろ?」
片目を閉じ、ルイズに微笑みかける。
レインがルイズに耳打ちしたことは実に簡単だ。ただ「気絶させるイメージで相手を爆発させろ」それだけだ。それをルイズは成功させたのだ。ブレスレットの効力もあるが、この一ヶ月の特訓がある意味で身を結んだことになった。
満足げに頷き、踵を返す二人の背にギトーの勝負有りを告げる声が響く。
が、
「ミスタ・ギトー!ミスタ・キュベレーは何もしていません!」
その声を聞いたレインは足を止め、小さく舌打ちをする。「餓鬼が…」内心毒づきながらも、柔和な表情で振り向く。
「そ、そうだ!ミスタ・キュベレーは立ってただけじゃないか!」
それに同調するように噂を本気にした者は囃し立てる。中にはただ純粋にレインの力を知りたいと思っている者もいたであろうが、レインとしては迷惑以外の何者でもない。
その声にレインは大きく溜め息をつくと、
「うむ…それもそうだな。どれ、私直々に相手をしよう」
そう言ったのは他でもないギトーだ。余裕たっぷりの笑みで杖を片手に前に出る。
その姿を見て、卑下た笑みをレインに向ける者達にルイズとキュルケは憤る。
「審判を!」
その声に前に出たのはタバサだ。
「ちょっ!ちょっとタバサ!」
「ミスタ・ギトー!辞めてください!」
ルイズとキュルケは叫ぶ。
「良い機会」
ポツリと呟くタバサにキュルケは溜め息をつくと、お手上げとばかりに肩を竦める。
「ふん。七帝の名が飾りでは無いことを見せてもらおうか!」
あたかも挑発するようにギトーは薄く笑い、杖を正眼に構える。そしてレインは気に留めることもなく、黒羽に手を置き、無表情に抜刀の構えに入る。
「…始め」
そしてタバサの手が振り下ろされた。
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