ファーストキス
ジャンルとしてはホラーになれなかったホラ話といったかんじでしょうかねー
私には300字制限は厳しすぎました
今日は良い天気だ。そうだろう。私は空を見上げてそう思う。ビルの谷間の狭い空。それでも青空くらいはわかるのだ。しかしそんな狭い空を遮るように何か黒い影が降ってくる。
「人? 女?」
理解できたのはそれだけ。体も心も動かない。そうして女と私は激突した。顔を上げた私と顔を下に向けた女。唇と唇が重なった。たしかに触れた。けれど覚えているのはそこまでだ。
目覚めたら病院だった。色とりどりのチューブに繋がれた自分の体。首から下の感覚がない。動かそうとしても動かせない。声が出ない。酸素吸入器が自動的に私の胸を膨らませたりへこませたりし続けていた。
――――。
そうして私は一生を過ごした。死ぬまで「はい」と「いいえ」。まばたきで与えられた質問に答えた。何もすることなく。何も成すことなく。
一つだけ知りたいことがあった。最後まで誰も教えてくれなかった。あの女はどうなったのか。それだけが知りたかった。老人になって死ぬまでそれだけを知りたかった。
ああ、本当に知りたかったのだ。自分のファースト・キスの相手、それだけを。
よんでいただきありがとうございました
逆にもっと詰め込んだ方が良かったかな