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千年のときをこえて
作:一河善知鳥


 春は、夕暮れ。甘酸っぱい青春の思い出はどこか寂しい夕暮れのよう。あの人と手を繋いで歩いた散歩道。学校帰りの商店街。それは暖かくて、涼しいような春。


 夏は、夜。夏休みはつい夜更かしをしてしまう。どこからか虫の声もしている。太陽はもう沈んでいるけれど代わりにいくつもの星。そして月。風が舞う笑顔の夏。


 秋は、正午。枯葉がくるくる舞っているお昼時。まだ夕暮れには早いから、ゆっくりと色の移り行きを見ることができる。時には雨も多く降るけれど、台風一過は雲ひとつないお天気で。いつまでも笑っていたい秋。


 冬は、朝。雪は積もったかな、と期待して目を覚ます子ども。窓の外の世界は案の定真っ白で、友だちを集めて雪合戦や雪だるま。一緒になって外に出てみる。街は凍りついているけれど、やっぱり楽しい冬。


 一年は、人生。成長は年を繰り返していくこと。春夏秋冬を何度も何度も繰り返す。泣いた春を笑顔の夏で受け止めて、秋が寂しいのなら冬にだって花を咲かせて。寂しい季節なんていつだって存在しないんだ。永久のサイクルは途絶えることがない。時計も地球も丸いのはみんな時を刻んで動いているから。少しでも無駄にしないためにはきっと、冬を悔いても、夏に期待して、秋には希望の光をもって、春を生きることだ。こうしているうちにまた一秒過ぎていくけどそれが一生。



『年を通ぢて思ふは、季節の移りゆくはことに人の生きるに似るものなり』














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