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そしてふたりでワルツを 作者:あっきコタロウ(カミユ)

外伝

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番外一   お注射のはなし

 メイン:ジュンイチ、カミィ ジャンル:いちゃらぶ、ギャグ

 ド下ネタです。先にあやまっておきますすみません。下品なものが苦手な方は読まないほうがよろしいです。



 窓から差し込む明かりが紙に反射して、ジュンイチは顔を上げた。

「眩しいな」

 研究やレポートに夢中になっているうちに朝を迎える。というのは珍しいことではない。物心ついてから今日まで、変化の無い日常の一場面。
 変わったのは……心境。そして、思考回路。全て、妻の存在によって。
 彼女を想うだけで意識が散漫するというのに、一時たりとも別の事を考えられないのだから、恋というのは面白い。

 少々仮眠を取ろうと立ち上がると、ペタペタと廊下から足音。小さくノックの音がして、ドアの隙間から妻が顔を覗かせた。

「おはようジュンイチくん。あのね、なんだかすごく早起きできたから、あそびにきたの」
「あれ? カミィちゃん、顔が赤いよ」

 頬に触れると、案の定、平時よりも体温が高い。推定三十八度。

「熱があるね」
「え? ほんと? そういえばなんだかちょっとボーッとするかもしれない」
「大変だ! すぐに診てあげるよ!」

 起きてきたばかりの妻を両手で抱え上げ、再び寝室へ。 
 ベッドに寝かせて体温を計ると、ピタリ三十八度。諸症状から判断するに、風邪である。独自に開発した即効性の液体解熱剤を直接体内に注入すれば五分かからずに熱は下がる。あとは数日安静にさせれば問題無い。

「すぐに楽にしてあげる。注射しよう」
「え~。注射やだぁ。注射痛いから怖いよぉ」
「それじゃあお薬飲む? どっちが良い?」
「どっちもやだよぉ。お薬苦いでしょ。もっと簡単に治りたい」
「それは出来ないよ。痛くしないから、今日は注射にしようね」

 実際のところ、苦くないどころか妻が喜んで飲むような甘い薬も生成可能であるし、刺したことに気付かないよう注射をすることも可能だ。

 けれど、それじゃあ、面白くない。

「ほんとに痛くしない?」
「うん。大丈夫だよ。ほら、目を瞑って」
「わかった」

 眉間にシワが寄るほど固く目を閉じる妻。その細く白い腕から血管を探し当て、ジュンイチはわざとゆっくり針を刺した。

「い、いた~い! ジュンイチくん痛いよぉ。痛くしないって言ったのに」

 身を震わせて文句を言っても、妻の瞼は固く閉じたまま。それを逆手にとってジュンイチは、

「え? 何言ってるの、気のせいだよ。まだ刺してないよ」

 しれっと嘘をついた。

「ほんと? 痛いような気がしたけど、気のせいだったのかなぁ……それじゃ、するときはちゃんと言ってね。こころの準備がいると思うの」

 こみ上げる笑いを必死でこらえ、解熱剤を注入。注射を終えて、患部を圧迫止血。
 その間も妻は口を横一文に強く結び、今か今かと震えている。もう、終わっているのに。

 一体彼女はいつ「おかしい」と気づくだろうか?
 目を開けて良いというまでずっと瞑り続けるのだろうか?

 やはり妻は面白い。
 関わるだけで疑問が尽きず、次々に新鮮な謎を運んで来る。だから妻から、目を離せないのだ。
 後程、妻と注射の関係性というタイトルでファイルを新規作成しなければ。

 しかし、その前に。

 むくむくといきり立った”探究心(悪戯心)”を、沈めるべきだ。

 ジュンイチは、まず妻の頬にキスを一つ。
 それから首筋、胸元。
 反応を楽しみながら、徐々に位置を下げていく。

 ……別の【注射】を挿入すときは、ちゃんと事前に通告してあげよう。
 そのとき彼女がまだ目をつぶったままだったらば。


 薬で下げた妻の熱が再び上昇しはじめるのを肌で感じながら、彼は楽しい実験に没頭――。





 途中涙を流しつつも、結局最後まで、妻は目を瞑ったままだった。

「ね? 注射痛くなかったでしょう?」
「ほんとだねぇ。わたしの知ってる注射とちょっと違ったけど、痛くはなかったよ」
「じゃあ、もう一回”注射”しよう。今度はゆっくり」
「どうして?」
「必要だからだよ」

 知ってしまった新たな感覚をもっと。
 歯止めが効かず溺れていく。
 貪欲に、なればなるほど馬鹿になって。

 だけど、それで良いのかもしれない。なぜならこれは、恋であるから。


END
 分かりづらかったと思うので補足しておきます。
『別の【注射】』はいわゆる下半身の注射です。子どもができちゃうお薬が出ます。
 本当にすみませんただの下ネタですみません。
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