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自分探し……、本当の私とは……。

やはり『私』とは他者との関係性の中で生じるものだと思う。そして『私』とは、けっして私個人のものだけでなく他者と共有される概念だと思う。そうじゃないと小説なんて存在できるはずがない。
水の色は、なに色?
作:九尾洲生


水の色は、なに色?

海。
もっとも水の多い場所。
やけるような白い砂浜。
夏の海は、すきとおるようなあかるい青。
━━水の色は、青色。

川。
よく遊びにいく土手の公園。
河原から見た、まっ赤な夕やけ。
太陽の色に染まって、赤くなった川の水。
━━水の色は、赤色。

池。
近所にある『立ち入り禁止』のため池。
魚が水面をはねる音やカエルの鳴き声。
藻と水草で池の底がみえない。
━━水の色は、みどり色。

水たまり。
舗装されていない道にできた水たまり。
晴れた日が続いても、なくならない。
土の泥が溶けだして、まるでコーヒー牛乳みたい。
━━水の色は、茶色

プール。
学校のとなりの五階建てのビル。
その屋上の窓から見下ろした夜の校庭。
まっ黒な水面にビルの明かりがゆれていた。
━━水の色は、黒色。

温泉。
秋田の山の奥の露天風呂。
白い湯気の中に静かに舞い落ちる雪。
底に白い湯の花がたまっている。
━━水の色は、白色。

わたしの不思議な体験、ザリガニ獲り。
エサのちくわの白。
浮かびあがるハサミの赤。
釣れたという手ごたえと喜び。
その時、一瞬だけど池の水が“黄金こがね色”にかがやいていて見えた。

水の色が、黄金こがね色?
おそらく目の錯覚。
私にしか見えなかった水の色。
だから絵に描いた。
池の水を思いっきり“黄金こがね色”にぬって。
とっても鮮やかな黄金こがね色の絵の具で。

図工の時間。
食べた後に歯みがきをするというポスターを作る。
『蛇口から流れる水』に色をつける。
水入れの中の水で塗っても“水らしく”みえない。
絵の具の水色を使うと、“本物の水”のようになった。

水の色は、水色?
水の色だから“水色”という名前。
水色は、人工的に作られた色。
実際の水は、水色ではないけれど。

水の色は、水色。
わたしは思う。
水色は、みんなが心の中に持っている共通の“水の色”のイメージではないか
と。

水の色は、なに色?
あなたの身のまわりにある水の色。
赤、青、茶色、白、黒、みどり、……。
そして、水色。
すべて水の色。

水の色は、なに色?
実は、水そのものには色はないのです。
つまり、<純粋な>水は無色透明。
だからこそ、溶けているものの色や光の加減で色がついているようにみえるの
です。

水の色は、なに色?
それは、あなたの心の中にある水の色。

水の色は、なに色?
あなたの水の色は、なに色ですか?














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