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異世界攻略のススメ  作者: 渡久地 耕助
蒼炎の七英雄
33/238

英雄激突

2015/1/6 修正

 


「精霊剣【火炎斬】!」

「魔法剣【凍結剣】!」


 熱気と爆発の同時攻撃を行うカグヤの炎の剣を氷結系の呪文、スキルで相殺し続ける


「【無拍子】!」

「【凍結盾】」


 インターバル無しで、ほぼノータイムで烈火の如く斬撃と券撃

 加えて彼女が纏う蒼炎による熱が攻撃力を加算し、

 光と陽炎が攻撃全てに眼を晦ませ、幻惑する。


 彼女の攻撃を全て対応できているのは戟からカグヤの術理と記憶を読み取った事と

 事前に戦い方に予測が付いたからだ。


 氷属性、闇属性魔法で剣と盾を強化

 形状魔法で相殺する。


 反撃を加えようにも彼女の歩法と陽炎の幻惑効果で攻撃が当たらない。

 光が屈折し、正確な間合いが測れなくなる。


 これが武を幼少の頃から鍛えてきたものの実力か。

 只のお嬢様がこの異世界で神格化される程の強さは体得できない。


 元いた世界での下積みがあったからだ。

 武術の心得があった故に一足飛びで、これ程までの戦闘力を獲得したのだろう。


 技術模倣したことでその強さを図れると思ったがそれでも底が見えない。

 それは彼女の強さの一部に過ぎない。

 常に進化する程に技術を昇華していく彼女を相手するには足りない。


 接近戦ではリーチの長い倭刀が有利だ。

 剣に氷を纏わせリーチを伸ばしても直ぐに溶かされる。


 だがリーチが長い事が必ず有利になるとは限らない。


 距離感が掴めないなら中距離は不利。

 故に懐に飛び込む。


「闇纏・吸収剣!!」

「―――フッ!!!」


 闇魔法で周囲の魔力、生気、霊気を吸収し攻撃力、防御力を上げて戦う。

 そのままカグヤの蒼炎が起す光、熱、陽炎、全てを吸い取る。


 魔術的要素を一時的に奪い、逆に吸い取った力を利用して反撃に出る。


 加えて片手剣、拳闘術の接近戦の方が有利に戦える。


 なのに、コチラの攻撃を全て蒼炎が消えた刀のみで迎え撃ってくる。

 その勢いのまま攻撃に出てきた!!


 ――この状態で逆襲が出来るってどんだけだよ!!


 慌てて盾を構え烈火の様な連続攻撃で氷の盾が瞬く間に削れてしまう。 

 盾の構え、立ち振る舞いも模倣しているのにそれ以上の技量で上回る。


「甘い!! 過去の私の模倣では現在の私は越えられませんよ!!」

「――未だ技術が向上するか!!」


 模倣では追いつけない。

 辛うじて生きながらえるが長くは保たない。


 そして間を置かず再びボッと蒼炎が巻き起こる。

 それに応じて俺も周囲から魔力要素を吸収し対抗する。


 気づけば周囲は戦いの余波で命を吸われ、焼き尽くされ荒野に変わり果てている。



 一撃必殺の機を狙い一撃離脱と片手剣の防御に徹するしか無い。

 武器が同じならカグヤが有利。

 後ろにおいてある戟を使うか?

 いや只の一撃が必殺の攻撃力を持ち烈火の様なカグヤ相手にそんな隙は無い。


 現状、圧倒的に俺が不利だ。


 俺の回避手段、部分的な転移によって点、線の攻撃をかわす。

 攻撃が当たる部分を影転移することでまるで透過能力のように攻撃を無効化する

 回避手段がある以上、本来なら接近戦は俺には通じない。


 だがカグヤの炎の刀は当たる瞬間、爆発、燃焼を加えるため攻撃範囲が大きい。

 その上、陽炎と光で幻惑され転移のタイミングが測れない。

 吸収したり相殺しても直ぐに着火される。


 部分転移による回避手段は通じないのだ。


 其れをカグヤも理解しているのだろう。

 霊力配分も攻撃7:防御3の割合にしている分、威力も段違いで強い。


 当たれば俺は火傷どころでは済まない。

 しかも体内の熱量を自在にあげ、信じられない速度での猛攻だ。


 回避能力は一切引けは取らない。

 防御に徹して全てかわし、片手剣で受け止める。


「【濃霧・乱打】!!」

「片手では弾幕が薄いですよ!!」


 冷気を纏った拳の弾幕を張り空気を冷やし陽炎を消しながら霧を起こして乱打を掛ける。

 しかし霧など無意味と言わんばかりに全て刀で弾かれる。

 そして更に炎が巻き起こり、氷結して出来た霧の水分を一瞬で蒸発させ爆風で吹き飛ばす。


 彼女の言うとおり手数が足りないし、小手先の技が通じない。

 正確に急所を捉えることができない。

 あたれば儲け物の攻撃を繰り返すが打開するのは難しい。


「召喚魔法・【腐竜・竜王撃!!】」

「塵に帰れ! 【蒼炎剣舞】」


 鉄人を仕留めた召喚魔法を放つも召喚した瞬間、炎を纏った剣舞で一撃で灰燼と化す。

 不死の眷属を召喚しても彼女の炎とは相性が悪すぎる。


 脳内で呪文を詠唱する【思考詠唱】を打ち合いながら行い、

 無詠唱で影から【闇撫】【闇の矢】を発して牽制するが、彼女の炎に阻まれ、届かない。


 全て対応され、無力化される。


 【窮鼠猫噛】は自身が瀕死状態の窮地に追い込まれなければ発動しない。

 其れを理解居しいるが故の一撃必殺の火属性の精霊剣だろう。

 天性の勘かしらんが厄介なことだ。


「ふふふ 楽しい、楽しいわ! アキラさん もっと私を楽しませて!」

「戦いを楽しいと思ったことは無いな! 今迄、一撃で相手を葬ってきたからなぁ。

 だから今日は驚かされてばっかりだ……なっと!」


【緊急回避】で横っ飛びに彼女の唐竹割りをかわし、距離を空ける。

 しかし直ぐ様距離をつめてくるカグヤに【幻想剣】の魔弾を10丁連続射出する。

 鉄人を追い詰めた過剰殺傷攻撃(オーバーキル)

 だがこの攻撃すら彼女は一閃幻想をぶち壊す! そげぶかよ!


「鍛えた鉄には魔を払う力が宿ります。闇属性攻撃も防御も効きません。

 更に火は歴史、神話でも初めて闇を切り裂いた人間の知恵の象徴です。 

 私の蒼炎で鍛え、強化された武具ではソレがより顕著に出ていますね。」


「なら是れは?」


 もう一度剣弾を射出し今度は彼女の間合いの外で爆発させ周囲の酸素を奪いつくし、

 爆風で攻撃する。


 だが、其処には何の効果もなく彼女は悠然と立っている。 

 今度は自身の体内温度を操作して空気の層を作って爆風を受け流したか!!

 呼吸も止めて酸欠を防いでいる。


「炎を操るという事は風も扱える。小学生でも思いつく事ですよ?」


「転移 雪達磨君、三連!」


 この隙に転移でエレノアを封じた雪達磨を三体落とすが、全てとかされる。

 水蒸気爆発を起こしても先ほどと同様に空気の層で防御している。


「通じないといってるでしょう? 渡辺さん!」


 彼女が一足飛びで間合いに飛ぶ込み必殺の一撃を放つ

 俺は片手剣の一閃で彼女の刀を破壊する。


「な!?」

「急激な温度変化による武器破壊だ。中学生でも習う事だ!!」


 初めから、これが狙いだった。

 魔を払う彼女の刀も金属だ。急激な温度変化で金属疲労を起こさせ脆くしたのだ。


 更に只の氷属性の黒魔法では効かない恐れがあったので魔法の氷ではなく、本物の氷、雪達磨を転移して冷やしたのだ。


 もちろんカグヤも金属疲労の武器破壊を考慮に入れていたが敵対魔法による温度変化をも愛刀は無効化していた為、危惧しなかったのだろうが…

 魔力なしの純粋な自然物を転移しての攻撃、剣弾を魔法攻撃として無効化。


 それらの要素全てが雪達磨も同様だと勘違いさせる為だ。


 我ながら巧妙な罠だ。


「そして隙ありじゃ~!!」


 一足飛びで向かってきた彼女に左拳でカウンターを打ち込む!


【氷結拳】冷気を込めた拳闘術【幻の左】でのカウンターをボディに叩き込む!


 冷気が彼女の炎の鎧を打ち消し、彼女の突進エネルギーが俺のカウンターの威力を倍増させる。


 しかし【窮鼠猫噛】の一撃を耐え切った生命力を誇る彼女は吹き飛ばない。


 足を地面にしっかり踏みしめ、その場に踏みとどまる。


 これでも届かないのか!!

 いい加減にして欲しい。


 本日2度目のダメージに怯みもせずカグヤは恍惚の表情を浮かべ、

 左手で俺の腕を掴み、右手で炎の手刀を創り出し俺のわき腹に突き立てる


「シャイニングフィンガーとはこういうものですよ?」

「がぁぁぁぁっ!!!」


 脇腹に突き刺さり、内部から焼き尽くされる!!

 直ぐに彼女の腹を蹴り飛ばし、引き抜き、白魔法で治療に取り掛かる。



 傷も一瞬で塞がるが、中を焼き尽くされた痛みは壮絶なものだ。

 あと一瞬遅れていたら、魔力抵抗力が低ければ俺は蒸発していただろう。


 いやその前にショック死を起こしてもおかしくないほどの痛みだ。

 精神的にもキツイ。


「肉を斬らせて骨を断つとはいうが実践する奴は初めて見たな」


「うふふ♥今迄傷を負わなかった私が初めて使った技です。今迄、私の肉どころか、皮すら斬られ


 なかった私が使うとは予想外だったでしょう? アキラさん?」


【源呼吸】で息を整え、精神を安定させる、。

【精霊化】でナミと精神共有も行っているので幾分マシになるだろう。


「うふふ まだこの手に貴方をさし貫いた感触が・・・ゾクゾクします。」


 恍惚の表情を浮かべ、自分の右手を舐めるカグヤ。

 やはり、彼女を止めるには心臓を狙うしかない。

 【心臓穿ち】斥候職の切り札、俺の禁じ手、アウタースキルもこの戦いを監視しているだろう観測者の前でこれ以上晒すわけにはいかない。


 次で決めるしかない!

 手札は未だ尽きていない!!



 選択肢ライフカード


 1【概念崩壊の法則】で精霊を狙う。


 2【複製の法則】で物量攻撃。


 3【転移の法則】で空間切断攻撃。


 4【心臓穿ち】で決める。


 5 諦める 現実は無情である。


 さぁどうする!? どうする俺!?

 

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