魔法戦
2014/10/17 修正
「ラウンド2だ。」
傷が浅いとはいえ【窮鼠猫噛】は肉体と魂に防御無視、回復阻害の呪詛を掛ける一撃だ。
例えるなら全ての攻撃が9999のダメージを与える。
マシンガンでも使えば、秒殺でラスボスを倒せる。
正にボス殺し。
耐久力のあるボスも大軍も全体攻撃系か連続攻撃系のスキルとの合わせ技の前には意味が無い。
対七英雄、対魔物大進行用に開発した呪詛だ。
それを察してカグヤは傷が浅いにも限らず、
武器を手放し、俺から離脱した。
カグヤは直ぐには動かない。
トドメを刺そうとしても五将軍が邪魔だ。
傷は浅く深手と同じ、威力の低い治癒魔法では感知しない。
魂を深く傷つける呪詛だ。
「流石は最強の臨界者だな……大抵は一撃でケリが着くのにまだ動けるとは」
【精霊化】でケリをつける。
人間以上のスペックと不死身の力を有する古代魔法。
加えてカグヤの戦闘技術を複製し、方天画戟を奪ったこの状態、形勢逆転だな。
「東の帝国のフルコース料理。
前菜は食べ終わったしデザート以外を片付けるとしようか。」
【窮鼠猫噛】は精霊化した際に解除され、現在、体力、魔力、気力共に充実している。
東の帝国フルコース
前菜 七英雄 鉄人
スープ エレノア
魚料理 アデーレ
肉料理 アリア
メイン ユイファン
サラダ ヴィルヘルミナ
デザート 七英雄 カグヤ
ドリンク 勝利の美酒
「まずは、東の賢者、貴女から行こうか?」
「へぇ? 私を指名するとは…高くつきましてよ?」
現状、カグヤを除いて最も攻撃力の高い奴を仕留める。
そう言っても全員でかかってくるだろうが、
あくまで順番に無力化していく、全員ではなく一人ずつ狩っていくとするか。
「ただ、驕りが過ぎますわね。 『大地を焼き尽くせ!天を焦がす・・・』」
彼女が詠唱をはじめると同時に、他の将軍が襲いかかる。
(カグヤは治療中)だが精霊化している俺はさっきとは一味違うぞ?
「【影分身の術】彼女の詠唱が終わるまで遊んでやれ…『行け!!』」
精霊化した俺の影が実体化、黄泉の入口に配備していた分身たちを四体召喚する。
裏技とは別、精霊化し強化された分身はさっきの複製ドラゴンとは桁外れの戦闘力を持つ。
当然、彼女たちの進行を阻む位は出来る。
「な!?【身外身の術】!?」
シン国の皇女だったユイファンが驚く。
かの斉天大聖の秘技だから彼女の驚きもわかる。
この世界には孫悟空みたいな高位の猿の怪物がいる。
シン国は、本当に人外魔境だな。
この世界にも孫悟空の伝承があったのは驚きだった。
この分だと日本にあたる東方の島国には桃太郎でも居そうだな。
「シン国の猿神の分身だ【囮】を使った変わり身ではない
全員、実体を持った俺の分身だ 君達に勝てるかな?」
分身たちは精霊化した俺の影響で強化され、弱点である物理攻撃や閃光で消えない。
消しさるにしてもエネルギー量で攻撃しなければならない。
其れを可能とする手段を彼女たちは持っているだろうが、其れをやすやすとさせないし。
通常ではこうレベルの分身を長時間維持できない。
自動操作にしても魔力消費が激しいし、一体が限界。
しかし俺は精霊化と源呼吸を習得し、素の魔力量も訓練で増やし、拠点からの魔力供給もある。
魔力切れは無い。
だが、流石は賢者なのか、エレノアは詠唱を完成させている。
魔力が帯電し、雷系の上位魔法を放とうとしている。
「さぁ 詠唱の時間はやったぞ? 撃ってこい!」
「言われなくとも! 我が敵を穿て【神の雷】」
最上位の雷系黒魔法
威力、速度申し分無い。
「【転移門】」
雷の熱と電流を防ぐ様に絶縁体の純水を召喚して防ぎ
二次的な熱も轟音も魔法障壁を変えるだけで防げる。
閃光も、熱も、電流も全て致命打になる最速の雷だろうと俺には通じない。
他の将軍達との連携し状況を絶えず変えて攻めたからこそ、火竜吐息を食らったのだ。
分身で連携を見出し、正面から相対すれば、相殺も無効化も意のままだ。
これが転移。
汎用性がとてつもなく高く他の魔法効果をでっち上げる最上位魔法。
それを魔力なしに、科学技術のみで行う。
「お返しだ。万年雪、【雪達磨】」
転移で万年雪山で童心に返って転がし創った巨大な雪達磨を彼女の頭上に転移させ落とす!
死なない程度の威力に抑え彼女を無力化する。
「ふふふ さみーだろ?そう歯をカチカチ鳴らしてては詠唱できまい。」
顔だけ突き出た彼女はあまりの寒さで詠唱もままならない。
火の魔法を唱えようとするが口頭詠唱しかできない彼女に勝ち目はない。
「剣を武器庫から、氷を雪山から火を火山から、水を海から、イカヅチを雷雲から・・・
この場に無いものを転移させることができる。
俺の真骨頂その1 転移能力だ。記憶したか?」
ドヤ顔をしてほかに目を向ける、さて次は魚料理だな。