第十二話 勝利と代償
「うおお!!」
サイエンサーは真っ先にゴッド・ガギグゲゴに突撃してきた。
「そんなもの…Gバリアー!!」
セロファンが声を上げると、右上腕の機械から機体を覆う薄い膜ができた。サイエンサーはそれで跳ね返った。
「バ、バリアーだと…聞いてないぞ!!」
敵は何かにそう叫んだ。
「…くそ、こうなったら逃げるが勝ちだ!!」
サイエンサーは攻撃は不可能だと確信したのか、走っていく。
〔セロファン、追いつけるか?〕
「…朝飯前だ!」
ゴッド・ガギグゲゴは、足裏のタイヤを利用してものすごい勢いで前進した。
「Gキャッチャー!!」
左上腕の武器から、網のような物が出てきた。網はサイエンサーに命中し、ガギグゲゴと繋がった状態になった。
「博士、強すぎませんか?」
〔いや、これぐらいがちょうどいい。〕
ガギグゲゴをセロファンに任せた次郎は、Gウォッチで通信をとっていた。
〔さすが『無敵』だな、バリアーがあるとは。あのネットもすばらしいい。あとは、破壊方法だな。〕
「破壊方法?」
〔Gブラストは効かなそうだ。合体後で設定も変わっているからギャギュギョも使えそうにない。となると…〕
〔Gバスターを使う。〕
入ってきたのはセロファンの声だった。通信が聞こえていたのだろう。
〔腰についている細長い武器だ。破壊力は高すぎるが、上空で発射すれば問題ないだろう。〕
「ど、何処まで行く気だ!?」
ガギグゲゴはサイエンサーを吊るした状態で舞い上がった。
〔セロファン、そんなに上がって、ガギグゲゴの飛行能力がもちますか?〕
「心配ない。背中のGウィングは、気流を最大限に生かして飛行できるようになっている。」
セロファンは無線を切った。そしてGバスターを展開し、レバーを手に取った。
「これで何もかも終わりだ。…射威認虞・紅羅ッ写亞!!」
空が光に包まれた。
〔…完璧だな。〕
「はい?」
ドッペルゲンガーは眩しい光を見ながらそう言ってきた。
「まあ、バリアーの時点で無敵なんですけどね。」
〔それに加えて、従来の数倍に跳ね上がった移動・飛行能力、そしてほぼ最強の武器…最高のメカだと思わんかね?〕
「…半分思います。」
「ギャアー!!」
キャッチャーに捕らえられていたため、サイエンサーは至近距離で攻撃を喰らった。
「…そ、それでも私は…最強のサイエンサーなのだ…!!」
彼は光の中に散っていった。
「セロファン、やりましたね!」
次郎はすぐに、成功の喜びを伝えた。だが、彼から応答はない。
「緊張が解けて固まってんじゃないのか?」
「まさか…どちらにしろ、僕が様子を見てきますよ。」
少年はコックピットへ向かった。
「大丈夫か?セロファン!」
男はぐったりとしていた。おそらく、眠っているようだった。
「…セロファン?」
彼は次郎の声で目を覚ました。
「…少年よ…最期の時間が訪れた…」
「え?最期の時間?」
「私は…死を迎えるのだよ…。」
次郎はまだ、彼の言っている事が理解できなかった。
「…この…巨大な兵器の、莫大なエネルギーは…どこから沸いていると思うのかね?」
「ま、まさか…」
「そのまさかだ。ゴッド・ガギグゲゴは…戦闘中、必要なエネルギーを補うために…パイロットの生命エネルギーを吸収していく…。」
セロファンは手を次郎の方に近づけた。次郎もすかさず、それに触れようとする。が…。
「…私は…生き過ぎた…。少年よ…いい戦士になるのだな…」
この瞬間、元悪人セロファン・フリーザンは、再び冥界に旅立っていったのだ。
基地内は、戻ってきたときには地震が起こった後のようになっていた。サイエンサーの攻撃の影響だろう。
「僕は…後悔しています。」
次郎は着いたとたん、椅子に座り込んだ。
「たしかに一ヶ月から十数分への短縮はまずかったな。」
「いえ、セロファンの話です。」
彼は続けた。
「セロファンは罪深い人物だった。でも…死んでほしいとは思っていなかった。」
「だが、彼の死は無駄ではない。某都市を…いや、世界を救った。」
「で、でも…」
「セロファンはお前の代わりに犠牲になったんだぞ!それを…一番理解しなければいけないのは、次郎、君自身だ!!」
ドッペルゲンガーはそう怒鳴って行ってしまった。
(…僕も…救われたのか…)
そして、次郎の頭に浮かぶものがあった。こんな時になぜこんなものが、とは思いつつも、彼はそれを呟いた。
「神は生死を操ることはできない…」
「…『神は生死を操る事はできない』。エルビウマンは死んだが、結果的にセロファン自身も息絶えた。この法則が正しければ、我々は目標に達するであろう。」
その頃、市役所の近辺、ちょうど今日、激戦が繰り広げられた場所に、またしても謎の男3人組がいた。
「間違ってたらおもしろいのにな。」
「失敬な。私が仕入れた情報に、偽りはない。」
その内の若い男と紳士らしい男が言葉を交わす。
「あとどのくらいだい?」
若い男が聞く。
「20秒ほどだ。成功したら、くれぐれも態度に気をつけたまえ。」
「へいへい。」
時間は過ぎてゆく。そして、男が答えてから20秒が経った。突風がその場所へやってきた。
「…成功だ!」
風は濁った色をしていた。それというのも、その中に砂などの粉上のものが散りばめられていたからだ。やがてそれは一ヶ所に集まり、不思議な事に、人型、いや、一人の人間になった。
「レイク・ザーズ…復活!!」 |