表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/39

2話 全ての始まり

2話


全ての始まり






俺は必死だった。丸2日PCの前に張り付き、VRダイブのヘルメットをかぶりありとあらゆるチートやマクロ、BOTを試していたのだ。


「くそっ、固すぎるぞこのセキュリティ!」


つい2日前に始動したVRMMO『暗黒大陸』で、スタートダッシュでチートやマクロやBOTでゲーム内通貨を荒稼ぎし、それをRMT(リアルマネートレード)で現金に変え懐を潤そうと画策していたのだ。


チートとは、あり得ない筈の攻撃力やステータスを得たり、アイテムを無限増殖したり、何倍もの経験値を得たり……つまりゲームのシステムを書き換えることだ。


マクロとは、キャラを自動で単純な動きを繰り返させるものだ。ひたすら熟練度を上げたり、生産職で単純作業を延々と繰り返させることが可能だ。


BOTとは、ロボットが操縦しているような複雑な作業を行うもので、自動で狩りをさせ、24時間操作も無しにlv上げや資金・アイテムの収集をさせることができるプログラムだ。


こういうのは初めにやりだした奴が一番儲かるのだ。一度チートが対策されればそのチートや似たようなチートは通じなくなる。


もうサービス開始から2日、まだこのセキュリティを突破したという話は聞かないが、いつ誰が突破するかわからない。


こまめにwikiにも目を通し、一通りチュートリアルを済ませある程度ゲームの実地データをとってからはずっとプログラムを組み直している。


「おっ、これは……いけるか?いけた!やった!やったぞ!」


生憎とチートとBOTは起動できなかったが、マクロは起動できた。


これでとりあえずひたすら熟練度稼ぎをすることができる。


そしてその間にチートとBOTのプログラムを組めばいい。


もしセキュリティを突破できなくても、その間にマクロで稼ぐのだから無駄にはならない。




確実に動作テストを行うため、VRダイブヘルメットをかぶりゲームを起動。


前回チュートリアルクエストを終え、ログアウトした都市『センタータウン』の練習場で目を覚ます。


さっそくマクロを起動させ、初期装備で選択した剣を装備し動作を記録させる。


上段斬り、中段突き、薙ぎ払い、記録終了。


記録させたファイルを起動、上段斬り、中段突き、薙ぎ払い。先ほどと寸分の狂いもなく行動する。


よし!と飛び上がりたい気持ちを抑え、テストを続行する。


チュートリアルで習得した剣の初期スキル、「連続突き」。


HPを消費させスキルを発動。スキルlv1なので2回攻撃だ。これもまたマクロに記録する。


そしてそのマクロのデータを開くと、今行った「二段突き」の動作ログが書き込まれている。


『HPを消費してスキルを発動』→『素早い動作で1回目の突き』→『2回目の突き』


このログの内、『HPを消費させ発動したスキル発動』の部分を削除し、『スキルを発動して行った動作部分だけ』起動。


HPを消費させることなく2段突きが発動した。


(これで、属性攻撃や麻痺などの特殊な効果を伴わない、肉体的な動作のスキルはHPMPの消費無しに発動させることができる。

 

 ふふ、まさか成功するとは思わなかった)


さらに、マクロでスキルを模倣した『偽二段突き』は、スキル特有のディレイ(遅れ)という、1度発動したら○○秒間発動できないという制限もない。


『偽二段突き』→システムアシストを利用した「二段突き」→『偽二段突き』


という実質「四段突き」を放つことも可能だ。にやけが止まらなかった。





ぴこーん

[剣の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 刀剣スキル1 を習得します]


ぴこーん

[槍の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 長柄スキル1 を習得します]


ぴこーん

[長柄の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 長柄スキル1 を習得します]


ぴこーん

[ナイフの熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で ナイフスキル1 を習得します]


ぴこーん

[鈍器の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 鈍器スキル1 を習得します]


ぴこーん

[斧の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 斧スキル1 を習得します]


ぴこーん

[鞭の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 鞭スキル1 を習得します]


ぴこーん

[爪の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 爪スキル1 を習得します]


ぴこーん

[素手の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 素手スキル1 を習得します]


システムボイスが脳裏に流れる。


wikiで調べた、『熟練度が最も上がりやすい』素振りパターンを、100Gで貸し出される練習用の武器で行い、それをマクロで記録。


無現ループ起動をして自動で動作するかチェックをした。


勿論武道の経験なぞない自分は、ゲームのシステムアシストに身を任せ理想的な動作で素振りをしている。


システムアシストが無ければさぞ不格好な素振りしかできないだろう。



ぴこーん

[射手の熟練度が上がりました。現在熟練度2。あと98で 射手スキル1 を習得します]


弓や投石の練習場で弓と矢を20本を100Gでレンタル。


剣は初期に貰ったものを装備したためレンタルしておらず、これで最初に孤児院で貰った1000Gは残り100Gだ。


矢を放ち、命中したときの動作を記録。


それを20回繰り返し、矢を回収。所定の位置に戻る。


ここまでをマクロに起動すればあとは自動でスキル上げだ。達成感に胸がいっぱいになる。


"ぽーん"

スキル『武芸一通り素人:素人ながら一通り素振り程度は行える[全ステ微+]』を得ました


ふらり、とする。睡魔が限界のようだ。


一通りマクロの登録は済ませた。今日はこのまま寝てしまおう。


剣を振り回せる練習場に戻り、剣を装備。剣の熟練度上げ用のマクロを起動し、ヘルメットも外すのももどかしく、勝手に動くキャラに身を任せたまま眠りに就いた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ